
立憲民主党代表選 枝野幸男氏出馬会見報告
2024/08/21
15;30より、衆議院議員第一議員会館において、枝野幸男氏による立憲民主党代表選出馬記者会見が行われた。
一昨日の小林鷹之候補の会見の時より幾分か狭い会場は開始10分前にもなると、八割方記者とカメラで埋まっており、窮屈さとそれによる緊張感が漂っていた。
司会進行は渡辺創衆議院議員。
一礼して入場した枝野氏は、ゆっくりと壇上に赴き、演説が始まるとまず、歴史的な経済の混乱と自然災害、そんな中で昨今高まる政治不信を指摘した。
そして「人間中心/ヒューマンエコノミクス」と青字で書かれたパネルを掲げ、「日本の活路はここに尽きる」と言い切った。
一方、注目の野党共闘については、「特定の政党と全国一律で協力関係を結ぶのではなく、これまで自民党を支持していたが、いま自民党に呆れ怒っている人も含めより幅広い民意を包み込む。」と語り、事実上否定する形となった。
そして、立憲は批判非難ばかりという世間的イメージ対し、「いまこそ新しい国民政党へと脱皮するとき」と政権交代への本気で政権を奪取する姿勢を示した。
また代表選出馬の理由について、「政治は損得でやるものではない。永田町の内側のためではなく、国民のために外側に開いた政治を行うべきだ。」そのために、「次の世代が力を発揮できるようバトンを引き継ぐ。これが私の使命であり、新しい時代の先頭に立ちたい。」と、若手を推す世論の方も意識しつつ決意を示した。
一方で、「なぜ情勢を鑑み「若い人」あるいは「女性」を推し出すのではなく枝野氏なのか」という記者からの直接的な質問に対しては、「(自分は)カマラ・ハリス氏と同じ1964生まれ。年齢を理由に出馬そのものにブレーキを欠けるような話は聞いたことがない。」さらに、「官邸での仕事の経験がないからこそ官僚の振り付けに従うしか無くなるのではないか。その失敗を繰り返さないためには、政権運営の経験こそ重要だ。」と、自身の官房長官としての経歴をアピール、同時に永田町の課題を指摘した。
また、昨今必要が叫ばれる教育政策については、「基礎研究の上にイノベーションがある。一人一人の可能性や能力を引き出しすため、AIなどの先端技術産業や文化芸術、コンテンツ産業へ投資する。」とした。
また「ヒューマンエコノミクス」と題し、自身の政策の中心においた経済政策については「給付付き税額控除による、消費税5%分の戻し税策を採用する」点を強調した。
⭐︎給付付き税額控除制度とは、
「限界税率の高い 高所得者に減税効果がより大きくなる所得控除から、低所得者に対してより手厚い税額控 除に、さらには控除される税額が納付すべき 税額を上回る者、あるいは税を納付していない課税最低限以下の所得の者に対しては現金を給付する仕組みである。」(国税庁)という制度である。
これに対し、記者からは「先進国では景気対策として消費税減税は普通。野党共闘を考えたときにも必須と思うが、なぜ消費税減税と言わないのか。」との質問があがったが、枝野氏は「消費税そのもの税率を下げれば、所得の少ない方よりも圧倒的に多額の税を納めている富裕層から税金をいただけなくなる。戻し税策によって、低所得者の人々にとって実質的に減税と同じ効果をもたらすことができる。」とするに留まった。
さらに日々深刻な議論のある防衛政策については、「日米同盟を基軸とし、対話外交を切り開く。」具体的な政策として「自衛官の処遇待遇の底上げし、現実的な防衛力の強化を目指す」とした。
会見終了間際、会場内からは、横田一記者などから、「防衛費について一言言ってください。」「逃げるんですか。」との声が上がった。一度は帰ろうとした枝野氏であったが、その後「基本的には日米同盟を基軸としつつ、現場の自衛官の方々の環境設備を整えていきたい」と先程と同様の内容を述べ、肝心の対米従属問題や沖縄問題等には触れず、会場を後にした。
会見終了直後より、アークタイムズにて放送された、インターネットメディア記者たちによる会見の振返りでは
「野党である限り「お題目」は何とでも言える。しかし「お題目」は政権を取らなければ実現しない。立憲は他の野党の協力を得ないと政権交代など出来ないだろう。だが枝野氏は他の野党に冷たい場面が多い。「(立憲は)この3年間で変わらなかった」との発言があったがそれにより寧ろ、一層後退したのではないか。」(佐藤章氏/一月万冊)
「代表選立候補には自民党と同じ二十人の推薦人が必要。(しかしそもそも自民党と立憲では全体の国会議員数に大きな差があるため、)二十人という数は変えていった方が良いのではないか。」(望月衣塑子氏/アークタイムズ)
「厭な質問に対する柔軟性があっても良かったと思う。原発に関するNHK記者からの質問にも「書いてあるとおりです」としか言わなかった。しかし書いてある内容でわからなかったから聞いているのである。」(尾形聡彦氏/アークタイムズ)
「今回の選挙のキーワードは刷新感。(石丸現象を受け)自民党は無理矢理でもそれを演出しようとしているが、立憲はまったく演出できていない。両党間の“緊張感”の差への疑問は、一般国民の自然な感覚ではないか。」(白坂和哉氏/フリーランス)
との声があった。
※アークタイムズ研修兼助手として参加