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たおやかに散ったあの子のもとへ EP3
11月13日 長崎市から佐世保市へ
朝方、少し早く出発したので暇をつぶそうと、カフェへ訪れた。車が波打ち際のように現れたり、消えたりを繰り返す道にあり、大村湾へ突き出たように佇むそれは、洋風のつくりで、海と森に囲まれたこの地に似つかわしくないピンク色の外壁をしていた。この時、空は青ひとつない曇り空で、対岸は霧に覆われ、雄大な山々が見え隠れしていた。
カウンターからは大村湾が一望でき、窓の縁に切り取られたそこはまさに白銀の世界であった。しかし雪はなく、どことなく流れる雲と霧と、それを移す大きな水面が、ほとんど色を寄せ付けなかった。水面は風はよく表し、はじめは私の方に波を立てていたのに、帰るころには、落ち着いた様子でゆらぐばかりであった。
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片島公園。魚雷実験場だったが今は木々に喰われていて、その様相はまったくなかった。魚雷と言われて思いつくのは人間魚雷で、当時この施設でもその実験が行われていたのかと思うと、現代において映えを求めてきた人との不一致さに頭が痛くなった。もし、ここでその実験が行われていたとしたら、人々はどんな思いだったのだろうか。より正確により強力に、どちらを追求しても人を殺すことにつながる。その罪悪感をこの美しい海辺の景色と中和させていたのだろうか。
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今日はとても疲れた。昨日長崎で歩きすぎて脚があがらない。明日は黒島へ行くつもりだったが、波戸岬でゆっくりと本と映画でもみようと思う。