お米作り・・・その弐:準備
田んぼ仕事は1月の種籾の注文から始まります。
うちの田んぼは小さいので、お湯消毒した籾1袋に土5袋をJAに申し込みます。
3月になるとその籾が届きます。
4月になるといよいよ動き出します。
まずは思子淵神社横の谷(梁が谷)から引く水路の掃除です。
思子淵神社までは常時水を流しているのですが、
そこから先は水田用の水路なので、稲刈り前に水を止めてしまいます。
冬の間水を引いていない水路には、シカやイノシシなどの動物が上り下りして石や砂利などを思いっきり落としています。
そのうえ、水路脇の杉林から冬の間に木枯らしで舞い落ちた杉葉が、堆積しています。
それらを水路から除き、
古くなった水路のU字構にできた穴から水が漏れないよう、
セメントで穴埋めしていきます。
夫が米作りを始めた頃(二十数年前)には水路の土手は草が茂っていて、
水路掃除にはその草刈りも必須でしたが、
最近はシカの食害で草はほとんどなくなってしまい、草刈りはしなくなりました。
その頃はこの水路を使う田んぼが我が家の前に11枚あり、
そこで3戸が米作りしていました。
だから、水路掃除は3戸一緒に行っていたのですが、
今、米作りを続けているのは我が家だけです。
掃除も二人だけで行います。
家の前に、水をたたえ田植えが終わったた田んぼが広がり、その水面に
神社裏や横の山々の緑と空の青が映り込む夢のように美しい風景は
二度と帰って来ないのでしょうか。
水路が綺麗になったら、神社裏の水路にある水取り入れ口を開けます。
最初は土色の水ですが、
しばらくすると奥山から流れくる冷たくて透明な水に変わります。
この水が家前の水路を流れ出すと、
あぁ、春になったんだなぁ・・・と感じます。
水路掃除の頃になると、
久一さんが息子さんを呼んで、田起こしをしてくれます。
これはトラクターでするので、
我が家の小さな田んぼは半日で終了です。
小入谷で地鶏を飼い、卵を売っている方が、鶏糞を持ってきてくれました。
昨年も頂いたのですが、肥料などを使わない我が家の田んぼの
唯一の栄養源です。
二つの田んぼにしっかりと撒いて、美味しいお米を作っておくれ、と祈ります。
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私たち夫婦が書いた本です。
奈良時代に木材を平城京へ搬出した記録が残る山村、滋賀県高島市朽木小川には、筏流しの神を祀る思子淵(しこぶち)神社への信仰をはじめ、昔ながらの民俗行事が受け継がれてきた。榊治子・著者が、おばあさん、おじいさんによる語り言葉をそのまま用いて、集落の寺事、祝い事、普請、山仕事、麻布作りのことなどをまとめた、学者による記録とはひと味違った民俗誌風フォトエッセイ。
ボク、 ゴン太! 大阪から父と二人で、滋賀の奥山・朽木小川に移住。柴犬・ゴン太くんとの奥山暮らしを、写真と文で綴る一冊です。
「ボク ゴン太!」と「聞き書き 朽木小川」・・・サンライズ出版、お近くの書店・又は取り寄せ購入も。Amazonでの取り寄せ購入もできますヨ。我が家にも在庫あり!