愛知県稲沢市の小学校統廃合問題 その1
市を二分する対立が生じている現状
令和6年1月に、平成17年に合併した旧祖父江町と旧平和町の小学校全9校を最終的に2校へ再編・統合するという計画案(稲沢市学校施設整備基本計画)が唐突に策定され、パブリックコメントには424件もの意見が寄せられました。
計画案の内容に異を唱える意見も多く見られますが、それらの声が行政(教育委員会)に反映されないまま計画策定が進められており、市を二分する対立を生じさせています。
パブリックコメントの意見に全く取り合わず強引に統廃合を進めようとしている行政(市教育委員会)の暴走に待ったをかけ、民主的に市民の声を反映させた計画の策定に向けた議論が起きることを願いこの文章を書いています。ぜひこの投稿と稲沢市学校整備基本計画やパブリックコメントの意見を踏まえて稲沢市の将来を担う子供たちや地域にとって学校がどうあるべきか考えていただければと思います。
私が問題だと思うこと
1.行政の暴走、結論ありきの計画策定手続き
市教委は10年前に策定された指針「稲沢市の義務教育と学校のあるべき姿」に固執。全ての小学校を12 学級(各学年2学級)とし、それを満たさない学校は全て再編統合するという乱暴で画一的な方針です。各地域の歴史・事情、通学距離が長くなることなどを本質的には考慮していないようです。(教委は否定していますが、本音は経費削減と思われます。)なお各学年2学級に固執するのはクラス替えを行うメリットが何よりも優先するためとのこと。「クラス替えができるが通学距離が倍以上になる」ことと、「クラス替えができないが、現状の通学距離のままである」こと、どちらを優先したいでしょうか?
2.行政(教育委員会)による恣意的な委員会運営、アンケート調査
学校施設整備基本計画策定委員の人選において、統廃合を推進する意図をもった人選がされています。
実際に統廃合される学校名が明らかになるのはアンケート終了後の第4回の会議であり、意図的に隠されていたと思わざるを得ません。アンケート調査用紙においても具体的な学校名を上げての統廃合の記述はあえて記載せず、常識的に選択するであろう選択肢を恣意的に配置し、再編統合することはやむをえないとの回答が導き出されるよう巧妙に作成されています。始めから再編統合ありきで行政(教委)のシナリオに沿った、策定プロセスで進められており、お飾りの委員会であると言わざるを得ません。
3.説明会・パブリックコメントによる市民の声の無視、切り捨て
パブリックコメントに寄せられたクラス替えができるように再編統合するよりも、通学の安心・安全のための現状維持を望む声に対して、地域協議会で検討すると逃げたり、あいまいな回答でお茶を濁すなど計画案をより良いものにしていこうという気構えがまったく見られません。結論ありきの回答でしかなく、パブリックコメントの424件の意見で考慮されたものはほとんどありません(形式的な部分のみ)。
4.合併により吸収された地域の差別・切り捨て
合併した旧祖父江町と旧平和町の小学校は全9校を最終的に2校へ再編・統合する案に対して、旧稲沢市の小学校については14校を10校に再編する計画であり、旧町地域に対する差別・切り捨てによる行政コスト削減意図を感じるものとなっており、地域間対立を生じさせてしまっています。小学校は他の公共施設と違い、地域の基盤となる施設であり、その小学校を無くしてしまうことは、旧祖父江町と旧平和町は衰退しても構わない、切り捨てると言っているようなものです。早急な計画の撤回とより地域の実情に配慮した形式での議論の再構築が必要ではないでしょうか。
経緯
稲沢市教育委員会は、将来の学校施設の再編・建て替えについての計画を策定するため、稲沢市学校施設整備基本計画策定委員会を令和5年度に開催
第1回令和5年6月、第2回7月、第3回9月、アンケート実施10月(小5、小2、年中対象)、第4回11月、第5回12月、パブリックコメント・説明会1月、第6回3月
https://www.city.inazawa.aichi.jp/0000002135.html