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ベトナム法務 | ベトナムでの個人起業、長期ステイ

以前、ベトナムにいる日本人は、その大半が企業の駐在員や出張者でした。今は、フリーランス的に活動している人、店を開業している人など、ベトナムステイを「ありき」とするスタイルが増えていると感じます。

では、日本から飛び出してベトナムステイしながら生業を立てていくことにはどういったポイントがあるのか。それを見ていきたいと思います。


1、ビザ(査証)やワークパーミット(労働許可証)


日本人がベトナムへ入国するのにビザは不要です。2023年8月15日からはビザなしで45日滞在できるようになりました(以前は15日でした)。

しかし、45日を超えて滞在したい場合には、その理由に応じたビザ申請またはレジデンスカード(仮居住カード)申請を行わなければなりません。

一般的には、以下の種別となるでしょう。

  • 労働ビザまたはレジデンスカード(LD1, LD2, NN1, NN2, NN3)

  • 投資ビザまたはレジデンスカード(DT1, DT2, DT3)

  • 親族ビザまたはレジデンスカード(TT, VR)

現在、ビザとレジデンスカードを比べて、機能上・手続き上の違いは特にありませんので、これ以降「レジデンスカード」については特に触れません。

労働ビザは、いわゆる組織勤めの方に発行されます。最大で2年間の滞在許可が得られます。

労働ビザを取得するには、現地採用者であれば、ほぼ大半がワークパーミット必須です。駐在者であっても、一部を除いてワークパーミット必須でしょう。

つまり、ビザなし入国で45日滞在してその間に労働ビザを申請するには、ワークパーミット手続き(最低3週間)が完了していなければならないケースが多いです。

しかも、労働ビザ申請前にベトナムを一度出国しなければなりません(ハノイ市・ホーチミン市・ダナン市などそれぞれでオペレーションが変わるときもあります)。

投資ビザは、個人投資家、外国企業が出資した持分や株式について委任を受けた者に発行されます。その金額によってDT1からDT4まで分かれています。

  • DT1:1,000億ベトナムドン(約5億円)超、最大滞在5年

  • DT2:500億ベトナムドン(約2.5億円)超~1,000億ベトナムドン、最大滞在5年

  • DT3:30億ベトナムドン(約1,500万円)超~500億ベトナムドン、最大滞在3年

  • DT4:30億ベトナムドン未満、最大滞在1年

DT4は、対象者が出資先法人の代表者などとして登記されているケースではワークパーミット必須ですので、注意してください。

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なお、ベトナム入国する際に「ビザなし入国で45日滞在」ではなく、「企業招へいビザ(DN1, DN2)入国」とした場合(最大90日滞在)または「電子ビザ(EV)入国」とした場合(2023年8月15日より最大90日滞在)は、労働ビザ取得前にベトナムを出国する必要はありません。

企業招へいビザは、招へい企業に作業をお願いする必要があり、その後労働ビザを取得する勤務企業と同じである必要があります。一方で、電子ビザは誰でも手続き可能です(アカウント開設が少し面倒ですが)。

その他、ビザには、弁護士(LS)、外交関係(NG)、政府関係・党関係(LV)、学生(DH)、ジャーナリスト(PV)、会合参加者(HN)などがあります。詳しくは割愛します。

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ワークパーミットとは、勤務先が私たち日本人を雇用することをベトナム当局から許可され、それがどのような労働契約書(や国外企業からの辞令)に基づいているか、どのような給与・職種・業務内容・勤務場所・労働期間などであるかを証した書面です。

職種や業務内容によってはワークパーミット免除の対象となるケースもあり、この場合でもワークパーミット免除確認書というのが必要となります。

学歴の証明書(最近は大卒以上が求められるケースが多く外交問題になっています)や業務の経歴書、無犯罪証明書、健康診断書などが求められ、現行法令で最低3週間ほどの手続き期間を要します。

ワークパーミットに関連する法令は2年に一度くらいのペースで変わってきていますが、本年後半がそのタイミングです。上記内容は最新の草案を踏まえています。


2、ベトナムで所得を得ること(働くこと)


(1)給与所得を得るにはワークパーミット(労働許可証)が必要です。それも、給与所得ごとのワークパーミットが必要です(複数所持可能)。

個人事業主・自営業として各社とコンサルティング契約、業務委託契約を締結すればいいじゃないか?そう思う方も多いでしょう。
でも、これはベトナムでは、原則「不可」なんです。

なぜなら、ベトナムから見て外国人である私たちがベトナムにて「事業」や「営業」を(継続的に)行う場合には、ベトナム投資法に準じたライセンス(投資ライセンス)を取得し、法人や事業として登記しなければならないからです。

個人事業主・自営業といったスタイルはベトナム人にのみ許されているのです(ベトナム人にも「個人事業主・自営業」としての登録手続きがあります)。

なお、スタートアップ起業としてベトナム当局に認可された場合、投資ライセンスを取得せずに、法人や事業として登記できる制度はあります。

(2)キャピタルゲインといわれる出資資本を基にした利回りを得る活動は「」です。証券その他金融商品や不動産に出資する段階で、上記のベトナム投資法に準じたプロセスを経ているからです。

(3)ベトナムに商品やサービスを持ち込んで短期的に販売する活動(3ヶ月未満)は「」です。

(4)「ベトナムにおらずして所得を得ること」も「」です。
ただ、ベトナムから国外への送金は非常に難しいですし、今回の目的から外れますので、また別の機会にします。


3、まとめ


少し情報が多くなってきてしまいましたので、まとめです。

① ベトナムで起業せずに(法人設立せずに)私たち日本人が個人として3ヶ月を超えてフリーランス(営利)活動するのは「不可」とされている。

⇒ ロングステイする方法は多くありますが(45日ごとに出国して再入国する、知人の会社から3ヶ月のDNビザを何度も出してもらうなど)ベトナムで自由にビジネスの権利があるわけではないので注意しましょう。

② どこか1社でワークパーミットを取得し、それをベーシック所得として、あとはアルバイトなので届出を行わないのは「不可」とされている。

⇒ 副職はもちろん自由です。アルバイトであってもすべてワークパーミット(或いはワークパーミット免除確認書)が必要となります。

③ ベトナム人が配偶者であっても①②の原則は変わらないが、自営業としての登録はする必要あり。

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日本では20年ほど前から少額でも会社が設立できます。1円や100円でも可能です。そして、会社設立前に資本金を振り込みます(見せます)。

ベトナムでも少額設立ができる決まりになっていますが、あまりに1円や100円のような少額だと投資ライセンス取得時に「資本の少ない事業は利益を生まない」と見られて先に進めないでしょう。

私の経験では、業種にもよりますが5,000ドル程度以上の資本金とすれば通す自信があります。

ベトナムは法人設立後90日以内に資本金を振り込むのが決まりです。善悪は別として、振込後すぐにほぼ全額を引き出している法人、数年にわたって資本金を振り込んでいない法人などのツワモノも見たことがあります(発覚すれば罰則があります)。

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今回はこのくらいにしようと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。




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