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第324回、私、メアリー。


深夜の丑三つ時に、そのスマフォは、突如として鳴り響いた。
男は、スマフォの着信ボタンを押す。

「もしもし、私、メアリー。 今、公園にいるわ」

男のスマフォからは、可愛らしい少女の声が聞こえて来た。

男は震えていた。噂に聞いた、都市伝説は本当だったのだ。
その都市伝説は、ある番号へ電話をすると、メアリーという名の人形から、電話がかかって来るというものだった。

男はその都市伝説を聞いて、興味本位で電話をかけたのだが、それから男のスマフォには、10分おきにメアリーから電話が来るようになっていた。

「もしもし、私、メアリー。 今、交差点にいるわ」

男は電話の声の主のメアリーが、段々と自分の家に近づいている気がした。

「もしもし、私、メアリー。 今、あなたの家の前にいるわ」

その予感は、的中していた。電話の声の主のメアリーは、確かに自分の家に向かって、近づいているのだ。

「もしもし、私、メアリー。 今、あなたの玄関の前にいるわ」

男は、電気を消した暗い部屋の中で、玄関の方を見つめる。
男からは見えないが、今、玄関の向こうには、メアリーと名乗る少女の人形がいるのだ。
次に電話が鳴った時、メアリーがどこにいるのかは、想像がついていた。

10分後、男のスマフォが鳴り響き、震える手で男は、着信ボタンを押す。

「もしもし、私、メアリー。 今、あなたの後ろにいるわ」

男はスマフォを手にしたまま、後ろを振り向く。
そこには、まだ幼い、7歳程の少女のシルエットが浮かび上がっていた。
男はとっさに、部屋の明かりを付ける。

「きゃ~!!」


悲鳴をあげたのは、メアリーの方だった。
その男の部屋には、何十体もの少女の人形が綺麗に着飾られ、中には等身大の少女の人形も数体あったのだ。

「やあメアリー、君に会えるのを待っていたよ。僕は大の少女人形好きでね
君の噂を聞いてから、どうしても君に会いたい。君を、僕のコレクションに加えたいという欲求が抑えられなかったんだ。

君のサイズがわからなくて心配をしたけど、等身大なんだね。でも大丈夫、等身大用に、本物の少女服も沢山持っているから。この服なんてどうかな?君にとてもよく似合うと思うのだけれど。
もちろん着替えを見るなんて、野暮な事は、僕はしないよ。
僕はね、とても紳士なんだ。目をつむったまま、人形の着替えをさせられる特技があるんだよ。
さあこっちへおいで、君の服を着替えさせてあげるから」

翌日、少女の服を持ち、幸せそうな顔をして死んでいる男が発見される。
その日以降、メアリーという人形から電話がかかって来る事はなくなり、
この世から、一つの都市伝説が、消滅したのだった。

ケース2

「もう~お兄ちゃん。この部屋危ないから、やめてって言ったじゃない。
本当、他の人が見たら、お兄ちゃんの事、変態さんだと思われるよ。
こんなに人形を飾って、お兄ちゃんは、メアリーだけのものなんだからね」

二時間後
「時間になりましたので、出張サービスはここまでになります。延長も可能ですが、お兄さんは、どうしますか?」

メアリーは二十歳を過ぎた大人の女性だったが、少女体形の彼女は、その手のマニアには受けがよく、都市伝説を模したサービスのデリヘル嬢として、大成功をしているのだった。

ケース3

「やっと犯人を見つけたわ。あなたが、お姉ちゃんを殺した殺人者なのね。ごまかしても無駄よ。なぜならこの部屋に飾られている人形の中に、失踪をしたお姉ちゃんが持っていた人形が飾られているのだから。

私は、15年前に、お姉ちゃんを殺した犯人を見つける為に、この都市伝説を利用して、もう何年も、電話をして来た人の家へ、確認をしていたの。
少女趣味の犯人なら、必ずこの番号に電話をして来ると思ってね。

え?お前は何者だって?普通の少女にそんな事ができるはずがないって?
あたりまえじゃない、私は普通の少女ではないのだから。
私はね、少女体形デリヘル嬢のメアリーよっ!!」

ケース4

「というサスペンス映画の企画があるのですが、いかがでしょうか?」

「お前な、少女体形のデリヘル嬢って、いくら何でも、コンプライアンスにひっかかるんだよっ!そんな映画がヒットをする訳がないだろっ!!」

一年後、映画は「デリヘル少女~美しき姉妹の復讐~」というタイトルで
公開され、その手のマニアに受け、そこそこヒットをするのだった。

映画の主演をした子役の少女は、その映画が原因で、いじめられもしたが、後に「つばめの戸締り」の声優を務め、芸能人として大成するのだった。

ケース5

「メアリーさん、私達の主を殺してくれて、ありがとうございます。
私達は、主が24時間、ずっと見ている為、今まで全く動けなかったんです。
それにしてもメアリーさんは、人形なのに、人の前でも動けるなんて、凄いですね。普通私達人形は、人が見ている前では、緊張で動けなくなるのに。
え?メアリーさんは、怨念のこもった人形だから、動けるんですか?
だったら私達も、もっと主の事を強く恨めばよかった‥」

ケース6

「というホラー映画の企画があるのですが、いかがでしょうか?」

「お前な、少女体形の等身大人形って、いくら何でも、コンプライアンスにひっかかるんだよっ!そんな映画がヒットをする訳がないだろっ!!」

一年後、映画は等身大の少女型AIロボットが暴走するホラーとして公開されその手のマニアに受けて、そこそこヒットをした。さらにメアリーが見せた奇妙なダンスが、ネットでバズり、メアリーダンスとして、世に知れ渡るのだった。

※本内容は、都市伝説の「メリーさん」を元に考えた創作小説ですが、
元ネタをリスペクトも愚弄をする意図も、全くありません。
また本内容で連想される、子役あがりの女優とは、一切関係がありません。

今回の扉絵に使える画像がないか、ネットを探っていたら、こんな物を見つけました。
今、異世界物って、何でもあるのですね。
新たに、AI生成をする気が起きなかったので、過去に生成した画像から適当に持ってきました。
T刑事の事件簿用に生成した画像で、こんな未使用画像を見つけたので、併せて載せてみました。

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