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第443回「火の鳥」が、とても優れた作品である理由
この作品もいつも通り原作未読で、アニメのみの視聴ですが、手塚治虫原作のアニメ「火の鳥」は、東洋的な価値観で描かれた、とても優れた作品だと思いました。
今放送中の黎明編の登場人物は、意図せず国を滅ぼす事になってしまった男と夫婦になる女や、敵対する立場の者同士で疑似的な親子関係を築く者達、
疑似的な息子を生かす為に、己の武士の誇りよりも敵の配下になって生きる事を選ぶ者、敵の陣地の中で、生きる為に痴呆を演じる女等、皆それぞれに自分の意図しない生き方を強いられています。
しかしそんな登場人物達の誰もが、自分や他人の生き様を下卑する事なく、人としての誇りを持って生きているのです。
これがハリウッド映画等の西洋作品なら、絶対的な善悪感や、己のプライドの為に、自分と敵対する者は全て悪とみなして、相手が滅びるまで徹底的に戦う事でしょう。
とりわけ西洋映画界に近年蔓延をしている、ウォークと呼ばれる思想では、ディズニー映画「ウィッシュ」の様に、「あなた達の生き方は、人間として間違えている。人はもっと気高く正しくあるべきだ」と、全ての人間にもれなく自分の生き方を強いて、そうでない者達を、容赦なく下卑します。
彼らは「世界は正しくなければならない。正しくない世界は存在してはいけないし、正しく生きない者も愚かな人間であり、どの様な状況であっても、人間は正しく生きなければならないのだ」と、説教をぶちかましてきます。
しかし彼らは、何もわかっていないのです。
世界は、片方の側の善悪の価値観だけで、成り立っている訳ではない事を。
自分にとって敵の立場にある相手もまた人間であり、自分とは異なる正義や価値観があるのだという事を。
生き残る為に自分の正義を鞘に納めて、敵対する者と協力して生きる事が、どれほど尊くて、人間として志の高い生き方なのかという事を。
自分の一方的な正義感だけを振りかざし、自分にとって敵対する人間達や、自分の価値観に沿わない生き方をしている人達を、正しく生きようとしない間違えた人間なのだと罵る事が、どれ程、稚拙な行為なのかという事を。
「悪の存在は絶対的に悪であり、正しい自分は他人を愚弄する資格があり、間違えた者達を制裁しなければならない」と考えている、ウォークの概念を持った人達には、何を言った所で無駄なのかも知れませんが‥
※お前は、日本人が嫌いな、反日家ではなかったのかと言われてしまうかも知れませんが、自分は「世界で日本人が一番謙虚で、人間的に優れている」という傲慢な考えが嫌いなだけで、片方の善悪感だけで物事を決めつけない一部の日本人が持つ感性には、とても共感をしているのです。
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