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第455回、正義ケンシロウ
ユリアを助けに向かう正義ケンシロウの前に、一人の男が立ちはだかる。
「私の名前は、吉悪吉影。
私の無敵の能力、バイツァ・ダストッポイにより、私が他人に倒されると、時間が1時間巻き戻るのだ。
よって私は、お前に負ける事は、絶対にあべしっ!!」
「経絡秘孔を突いた。おまえはもう死んでいる。」
一時間後
「私の名は、吉悪吉影。私はお前に負ける事はない。なぜならひでぶっ!」
一時間後
「私の名前は、吉悪吉影。私に攻撃する前に、まず私の話を聞いて欲しい。
いいか、私は人に倒されると、時間が1時間巻き戻る能力があるのだ。
だからお前が私に攻撃をしても、私は絶対にやられないし、1時間後に今と同じ状況になるだけなので、本当に止めて欲しい。」
「そうは言っても、お前は悪だ。
俺の名は、正義ケンシロウ。この世の悪を一掃する為に生まれて来た男。
俺は悪のお前を、絶対に見逃す事が出来ないっ!!」
一時間後
「私の名前は‥いやそんな事は、どうでもいい。
いいかケンシロウ、よく聞くんだ。お前は一体何のためにここに来たんだ。恋人のユリアを助けるためではないのか?
だったら私を倒すのをやめて、さっさとこの先のユリアを助けに行けっ。
いいか、お前にとって今大切な事は、私を倒す事ではないたわばっ!!」
一時間後
「いいかケンシロウ。お前が正義に熱い男なのはわかる。だが今お前に必要なのは、自分の正義を貫く事ではない。己の正義の気持ちを一旦心に収めてまずは、恋人のユリアを助ける事に集中するんだっ!!
お前にとって大切なのは、自分の正義を貫く事とユリアを助ける事の、一体どちらなのだ!?」
「俺は‥ 俺にとって大切な事は、ユリアを助ける‥」
「そうだ、今のお前にとって大切なのは、その事だけだっ。他の事は一旦、おいとくんばっっ!!!」
一時間後
「なぜだかお前とは、初めて会った気がしない‥」
「ケンシロウ、いいから私の事は、無視するんだ。どうしても無視する事が出来ないのなら、一発だけ殴らせてやる。いいか一発だけだぞ。それも私が気絶をする様な強力なのはだめだ。時間が巻き戻ってしまうからな。
あくまでも私が気絶をしない程度に、私の能力が発動しない様に攻撃をして欲しい。
それでさっさと、ユリアを助けにいけメメタァ」
彼の名は、正義ケンシロウ。
ユリアへの愛よりも自分の正義を優先する、この世の悪を見過ごす事の出来ない男。目の前に悪の存在がいたならば、それを倒さずにいられないのだ。
永遠に繰り返される時間の中で、ユリアは、いつまでたっても自分を助けに来る事のないケンシロウへの愛情を、次第に失って行くのを感じていた。
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