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私の気もちと猫の気もち(1) 夏休みと赤ちゃん猫
むせ返るように暑い朝、ラジオ体操から帰ってきた末娘が、いつもより大きく速い音で階段を駆け上がって来るのが、2階の台所でお弁当を作る私の耳元まで聞こえた。
「おかえりなさい」
そう言った私の声を一瞬で遮るように、玄関を開けた娘は、開口一番こう言った。
「お母さん、来て!赤ちゃん猫が大変なことになってる!」
娘の表情をみれば、小学生にとっては、緊急事態が起きている事は、容易に理解できる。
取りあえず、キッチンの火を止めて、娘に連れられるまま(寝間着+ノーメイクのまま)外へ飛び出した。
自宅から2分ほど小走りすれば、到着する小学校の門の近くで、娘が指差した物は、段ボール箱📦️。ごく普通にある電気炊飯器が入るくらいの大きさのもの。
ただ、その段ボールの外側には、ぶっきらぼうに太い黒マジックで、「愛♡♡♡」と書かれていた。
周囲には、ラジオ体操を終えてきた子ども達が、興味津々で段ボールをのぞき込んでいる。
ここまで見ると、なんだコレって感じになるが、次の瞬間。
「ミーミー」と甲高い声が聞こえ、段ボールの中から、今にも飛び出そうと必死に這い上がろうとしている、3匹の赤ちゃん猫の姿が見えた。
ペットを飼ったことがない私でも、毛が所々はげてて、不衛生な感じで、ちっちゃくって、痩せた野良の赤ちゃん猫だな…という事くらいはわかった。
ただ、3匹の赤ちゃん猫からは、超えられない段ボールの壁を超えて、外に出たい!そして生きたい!という想いが、強く伝わってきた。
びっくりしたのは、段ボールの中に、キャットフードと、水に溶かしたミルクが置かれていたことだ。
炎天下の中で、なんて不衛生なんだろうと、一瞬思ったが、あとになって良く考えると、ラジオ体操の時間の前に段ボールを置いた事を考えると、腑に落ちた。
きっと、この赤ちゃん猫をここに置いて行った人も、少なからず、人情というものがあったのだと思う。
しかし、問題はここからだ。
家事や育児に忙しい筈なのに、ペットも飼ったことが無い私なのに、この状況で
「なんとか助けてあげなきゃ!」と思ってしまった。脳って不思議だ。思った瞬間に、もう段ボールを持ち上げて、娘に向かって大声で
「取りあえず、お家に連れて行こう」と言ってしまっていたのだ。
そして、周囲にいた子ども達に向かってひと言、「おばさんが、連れて行くね」なんて発言してしまった。
それどころか、何の根拠もないこの宣言に対して、初対面の子ども達が、(おばさんに任せた!!!)なんて目で見られている気がして、絶対どうにかしなきゃと、心が燃え上がってしまっていた(笑)
そこから、私と猫の気もちが、始まった。
これは、偶然ではなくきっと必然的な出会いだったと思い、誰かに伝えたくて書いてみます。
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つづく