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私の気もちと猫の気もち(6)          赤ちゃん猫を飼う時

 さあ、赤ちゃん猫達を飼う準備だ

  動物病院を後にした私と娘達は、まずホームセンターに向かった。
 本当は、一刻も早く家に戻りたい気もちであったが、なんせ我が家には、赤ちゃん猫を飼うために必要な物品が何ひとつない。
 ホームセンターは、動物病院から自家用車で2分位の所にあったし、日影のある立体駐車場もある。車社会で、年中暑い沖縄は、多少規模のあるお店なら大体そのような作りが多い。
(かなり田舎の地域は別として…)

 先にネットで調べた物、動物病院の待合い室で会った猫の飼い主さんに教えて貰った情報、
動物病院の看護師さんから受けた説明。それぞれの情報をまとめて、最低限買う物は長女がスマホのメモに記録して、LINEに送ってくれていたので準備万端だ。

 3匹の赤ちゃん猫は、相変わらず、段ボール箱の中で「ミーミー」と泣いていたけれど、もう赤ちゃん猫ってこんなものだ!と、不思議と焦りは無くなっていた。
 実は、我が家の長女が赤ちゃんの頃、親戚中に驚かれる程の泣き虫だった。こんな大きな泣き声の赤ちゃんは、体の何処かが悪いのかも知れないので、病院で検査を受けた方が良いのじゃないかと言われてた位であった。
それに比べると、「ミーミー」なんて、可愛い物だよなと、半分開き直っていた自分がいた。

 立体駐車場の、1番涼しそうな日陰の場所に車を停め、娘達と赤ちゃん猫を車に残して、私は駆け足で店内に向かった。
 このホームセンターには、インコなどの小鳥類や熱帯魚が売られており、犬猫用の餌やトイレやケージなど、多くのペットに関わる商品が売られていた。
 私が学生時代から、かれこれ何十回と通ったホームセンターだ。しかしいつもは、家電とか台所用品とか、家庭菜園に関わる物とか、DIYに関する物とかを買いに来ていたので、ペット用品コーナーなんて、じっくり見たことは無かったし、記憶があるのは、インコや熱帯魚などの生き物をこっそり覗く程度だった。

 そこで、一番驚いたのは、ホームセンターの入り口に、ペットを乗せるショッピングカートが置かれていたのだ。何度も通った場所なのに、何故これまで気付かなかったんだろう…。
 しかもカートのそばに、丁寧にも「ワンちゃん、猫ちゃんと一緒に買い物に回れます」と書かれたポスターまで貼られていた。可愛い字体で、手書き感満載な感じが、なんとも素敵である。
 きっと、バイトの学生さんに書いて貰ったのかも知れないなぁと思いながら、私は一旦、立体駐車場の車に戻った。

 3匹の赤ちゃん猫達の入った段ボール箱を、不安そうに覗き込んでいる娘達の姿が見えた。車の窓をノックし、
「猫ちゃん達も、一緒に入れるよ!みんなで行こう!」と声を掛けた時の、ホッとした様なワクワクした様な娘達のあの表情を、私は今でも忘れない。

 早速、私と娘達は、3匹の赤ちゃん猫の入った段ボール箱を、ショッピングカートに乗せ、ペット用品売り場に向かった。
 夏休みとはいえ、流石に、平日の昼前にペットを連れて訪れているお客さんはいなかった。
 赤ちゃん猫達は、相変わらず、ショッピングカートの上に置かれた段ボール箱の中で、「ミーミー」と泣いているし、その泣き声が店内に響き渡り、少し恥ずかしい様な気もちであったが、数人の店員さんに、「子猫ちゃんですか?可愛い泣き声ですね〜」「ゆっくり回って見て下さいね〜」と、声を掛けられ、凄く安心した。
 やっぱり、人って、声掛けなんだよな〜と、思いながら、ペット用品コーナーに着いた。

 まず、食べる物やミルクは動物病院で処方して貰ったし、1週間後に再診の予約があるから不要だ。
 トイレに使う物は、猫用の砂石で取りあえず足りそう。色んな猫用のトイレも売られていたが、待合い室で会った女性が教えてくれた様に、店内の百円ショップにあるA3サイズで深さ5cm位のプラスチック製の収納ケースで良さそう。
 それから、赤ちゃん猫達はまだ小さいので、同じケースを色違いで買えば、寝床にもなる。
 数日は、最悪段ボール箱を変えれば、充分に寝床として使えると言われたので、無駄な物は買わなかった。
 百円ショップでゴミ箱も買った。
 あとは、体を清拭するウェットシートや使い捨て手袋くらいだった。

 思ったより、買う物は少なくて、すぐに買い物を終えた私達は、会計を済ませたあと、使用済みのショピングカートの消毒をしている店員さんに、会釈をしてから、自宅へ向かった。


空とパパイヤ

                  つづく

#猫 #ペット #振り返り日記 #沖縄
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