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怪談24「不思議が重なる日」

 これも幽霊がはっきりと出るわけでもありませんが、なにかが起こる時というのは、その前触れに不思議というか、普段出会わないようなことが連続で起こるかもね?というお話です。

 20歳の時に、友人と後輩2人の計4人でカラオケにいきました。
 そのカラオケは特にそれまでなにかあったわけでもなく、普通のカラオケだったんですね。
 ですが、その日だけはなんだか違ったわけです。

 始まりは、カラオケの途中で友人がトイレに行ったところから始まります。

 友人がトイレに行き、そして帰ってくると、カラオケの薄暗い照明でもわかるぐらい顔が真っ青なわけです。

 歌うのをやめて、ボリュームを下げ「どうした?」と聞くと友人は、「トイレで中学生が○モってた」と言うのです。

 どういうことかというと、友人がトイレの個室に入り、用を足そうとすると隣の個室からなにやらあえぎ声っぽいものが聞こえる。
 「さては、女連れ込んでヤッてんな?」と思って、便器にのって、隣を覗いたそうです(ちなみに友人は高身長なので、そのぐらいで覗くことが可能)。

 すると、あきらかに男二人、しかも中学生っぽい2人でシてたそうです。

 今は知りませんが、当時としてはありえない(でも、このぐらいからそういった話は聞くようになった)し、友人はその手が大っ嫌いなやつだったので、出るものも出なくなって、そっとトイレから出てきたそうです。

 まあ、その時は大爆笑だったわけです。
 そして気を取り直して歌えよ!なんて言ってました。

 そしてしばらくすると後輩が「てか、男だけだと寂しいっすね、ナンパしてきていいですか?」と言い出す。

 「え~面倒よね~それ、まあでも好きにしろ」と答えると、よろこんで後輩は部屋から出ていきました。

 そしてしばらくして「先輩、助けてくださいよ~」と戻ってくる。

 ?となっていると、後輩曰く、めちゃくちゃかわいい子2人組を見つけたそうで、その部屋にノックして入ってナンパを始めたそうです。

 まあ、なかなか反応が薄く、難航してるけど、なんとなくもう一押しでナンパできそう!という微妙なラインだったそうです。

 で、これは助け舟欲しい!となって戻ってきたそう。
 「めんどくせ~」とか言ってましたが、後輩がやけにその女の子のうちの1人が気に入ったらしく「マジでお願いします」と食い下がります。

 ・・・・・普段、あんまりそんな食い下がるタイプじゃないんだけどなぁ、コイツ・・・と思いながらも「なら、ダメもとでついていこうか?」となり、私もその女の子たちの部屋に。

 で、後輩が「来たよ~」と言って、部屋のドアを開けるわけですが・・・。

 部屋には誰もいないし、誰かが歌っていた形跡もない。

 後輩が「あれ?」とか言い出す。
 「部屋間違ったんじゃね~の?」と私が言うと「いやぁ、ここのはずですけど・・ちょっと戻っててください。俺、探してきます」と言うので私は元の部屋に戻ることに。

 そして友人と残ってた後輩に、その話をすると「変なの来たから急遽帰ったんだって!」と笑ってました。
 
 そうこうしているうちに探しに行った後輩が戻ってくる。
 「おかしいです、どこにもいねぇ」と言うので「逃げたんだって!お前コエー見た目だから」とツッコミ入れながら笑いました。

 しかし、後輩がなんかあきらめ悪いんで「なら、店員にその部屋の女の子たち帰ったのか聞いてみよう」となってフロントへ。

 フロントの店員とは顔なじみなので、すぐ調べてくれました。
(基本、ダメですよ?)

 が・・・「その部屋、今日は誰もお客さん入れてませんよ」と言うんです。

 後輩が「んな○○さん(店員の名前)、ウソでしょ?またまた~」というと店員さんは「いや、ウソじゃないですって」と言ってました。

 部屋に戻り、他の2人にその話をすると「お前、とうとう薬に手をだしたか・・・」とか冗談を言ってました。

 後輩はなっとくいかない感じでしたが、まあ、どうしようもないのでまた歌い始めました。
 それから1時間ぐらいたった時でしょうか?(実はこの時、耐久8時間カラオケなので、かなりの時間歌う予定だった)。
 ドアがノックされる音がして「すいません」と女性の声が聞こえた気がしました。
 それが、歌とか音楽とか流れているのに、歌ってた後輩まで「?」となるぐらい聞こえました。

 私がドアをあけて確認すると、誰もいない。
 「気のせいじゃね?」と気を取り直して歌を再開するとまたノックが聞こえる。

 ドアをあけると誰もいない。
 これが数回繰り返した後に友人がナンパに行った後輩に「お前、もしかして幽霊ナンパしんたんじゃね?」と笑う。
 私も「とうとう、幽霊デビューじゃん!やったね」って笑ってました。

 すると、いきなり部屋の電話がなります。
 フロントからでした。
 電話に出ると「ご注文ですか?」と言う。
 私が「???いや、別に」と答えると「あれ?そちらから電話呼び出しあってたみたいですけど」と店員。

 私は???となりつつも、まあついでに電話も来たことだしと「じゃあ・・・ポテトとカラアゲと、飲み物ピッチャーでコーラ追加」と注文する。

 しばらくすると料理とコーラが運ばれてきました。
 そしてそれから少しするとまた電話が鳴る。
 次は友人が出ました。
 そして何やら話している。
 電話を切り、私に「お前、フロントに電話した?」と聞くので「いいや?」と答えると、友人は「だよな?」と言いソファーに座る。

 そしてその直後にまた電話が鳴る。
 友人が出る。
 そしてまた切る。
 「どうした?」と聞くと「いや、なんかこっちから電話があったから」と言われたらしい。

 そしてまた電話。
 友人が出る。
 そして今度は大きな声出して「だから電話してねぇ!なんだお前、あ?」とか言い出したわけです。

 ちょっとちょっと・・・と私が止めると「おい、フロントいくべ」と友人が言い出したのでついていくことに。

 フロントでは顔見知りの店員さんが待ってました。
 「なあ、いちいち電話すんなよ」と友人はキレている。
 それを私がなだめながら、店員にくわしいことを聞きました。
 店員曰く、ちょっと席を外して、厨房に行って帰ってくると、私たちの部屋から電話があったランプがついている。
 ということを数回繰り返したそうです。

 「なら、故障だろが!早くなおせや!」とかキレているので、とりあえず黙らせる。

 店員が悪いわけじゃないだろと説得し、部屋に戻ることに。

 部屋に戻ろうとすると、ナンパに行かなかったほうの後輩が外に出てました。
 「中に入らないの?」と聞くと「いや・・・なんか今日、アイツ気持ちわるくないっすか?」と言う。
 「?」となっていると、後輩曰く「気が付きました?アイツ、ナンパから戻ってから、ずっと恋愛ものも歌ばかり歌ってるんすよ」。

 「いや、別にいいじゃんw」と返すと「で、先輩たちが歌ってる時も俺の耳元で「ぜったいあの女の子たちはいた!あきらめねぇぞ俺は」なんてずっと言ってるんですよ」と言う。

 「あいつ、今日はなんか変ですよ、あんなしつこいやつじゃなかったですよ・・・」とかブツブツ言っていましたが、なんだかめんどくさくなってもいたので、とりあえず部屋の中に誘導。

 部屋に入って、次なに歌おうか眺めていると「なあ、今日、なんかいろいろ変じゃね」と友人が言い出す。

 「俺が見た○モからいなくなった女の子たち、部屋のノック、電話の件、そんなに変なことが重なるかね?」と言っていましたが、まあ偶然だろと私は答えました。

 で、そこからさらに30分ぐらいたった頃、突然、店員が部屋に走りこんできたんです。

 いきなりですよ。
 全員「ビクッ」ってなったわけです。

 「なんだ?お前!ノックぐらいしろや!ビビるだろうが!」と友人がキレて襟首つかむと、店員が「いや、それどころじゃないんですよ。今日は代金はいらないって店長が言っているんで帰ってください!」と言う。

 あちゃー、友人が電話の件でキレたから、それ聞いて店長が私たちに「出禁」でも出したのか?と思いながら聞いてましたが、どうやらそういう話ではないようです。

 とにかく帰るよう急かすので、荷物をまとめて、フロントに移動。

 すると店長が立っていました。
 店長が「本日は申し訳ありません。今から急遽閉店いたしますので」と言う。
 「なんで閉店するんですか?なんかあったんですか?」と聞くと、「いえ、今さっきの話なんですが、包丁持った男が店に入ってきたんですよ。それで警察に電話したわけですが、どうやら店の前にある銀行で強盗失敗して、逃げる際にうちに一度駆け込んだみたいです」との事。

 「で、今は警察来てるんで近くにいないとは思いますが、お客様の安全を考えて、今日はここで店閉めて帰ってもらおうとなったわけです」と言ってました。

 私たちは「ほぇぇ」となりながら、とりあえず、カラオケ屋を出ることに。
 すると、確かに店の前にある銀行にパトカーが数台来てました。

 後日、お店に行った際にその話となり、ついでに女の子の件についての聞き込みをしたわけですが、本当に別になにか自○とかなにかあったわけでもないし、特に今まで幽霊騒ぎなどないそうです。

 今は、そのカラオケは無くなってますが、結局、そんな変な事が起きたのはその1日だけでした。

 と、結局なにがなんだかわからない話なわけですが、不思議なことが起こる時って、きっかけは些細な非日常的なものから始まったりします。

 なお、ナンパしていた後輩ですが、この銀行の事件のあと、なにかが抜けたように、その時の事をおぼえていませんでした。

 「女の子2人組?なんすか?それ?」

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