【観劇日記】READING WORLD ユネスコ世界記憶遺産 舞鶴への生還『約束の果て』
表題朗読劇:READING WORLD ユネスコ世界記憶 遺産舞鶴への生還『約束の果て』8/11(日)昼公演を観劇した時の日記です。
これは公演日の翌々日、SBCのしょっぴーの広告と向き合いながら盆時期ガラガラの通勤電車に乗車している最中に8割がたを書き上げ、9月末に加筆修正してします。
チケット
追加販売(先着)の立見席を取得。いけるもんだ。
初現場はどうせなら正しくアイドル業の佐久間が良かったので個人仕事はスルーするつもりではあった。ただし直前にドリボで全滅の洗礼を受けたこと、そして現場に行けず24 年を終えるのが恐ろしかったこともあり、結論とれて良かった。公演の1週間前のことだった。
舞鶴市総合文化会館(立見ってどこ?)
京都駅から1時間半、最寄りの東舞鶴駅から徒歩17分。バスもあったものの、健康で歩きやすい靴さえ履けば真夏でも問題なく歩ける距離感。京都-東舞鶴の電車は時間帯にもよるが1時間に1本。途中乗り換えた2両編成の電車はオタクでいっぱい。シャトルバスが出なかったら全く機能しなかったと思う。
わたしのいた1階立見席は画像のピンク線部分。2階の事情は不明、1階については最後列よりも若干前に位置した1ブロック5人で×3ヶ所あったはず。手すりに番号が振られる形式なのでもたれかかりながらの観劇が可能。事前にネットで探してもこの会場に立見席詳細について触れているメディアがなかったのでとりあえずここに書いておく。公演によって変わるのかも?
トイレは奥に長い個室のたくさんあるタイプなので回転は早かったが、その構造ゆえ最奥が空いているのか空いていないのか分かりにくい仕様。オタク同士で空いてますよ!の声かけをしないと一生手前側の個室だけで回さないといけなくなる。
本編感想(ネタバレあり、考察なし)
史実ベースの話なので特別に捻った展開はなく過剰と感じるようなエンタメにも振っていない。引揚兵の話で言うと水木しげるさんやジャングルに潜伏し続けた横井さんの話があるけれど、シベリア抑留関係の話はよく考えるとあまり触れてこなかったかもしれない。
本作は椅子と飲み物を置く小さなテーブル以外はほぼ何もないシンプルな構成の舞台で、メインの演者5名は基本着席か立ちでの演技になる。そして大勢のアンサンブルの役者さんたちが雪山で隊列を組んでの行進や引揚後家族との再会などさまざまな場面において動の演技で画をつくる。
緑川光さんが演じる大森は物語の中心となる人物。敗戦後残る階級意識を早々に切り捨て、他の引揚兵たちと対等に接しようとする。抑留地での厳しい生活の中で規律を守り人々と助け合って日本への復帰を目指す。過酷な暮らしの中で過去の仲間との再会、別れを経て希望を失くさんとしているところを島津(佐久間の役)に救われる。
岡本信彦さん演じる竹本は当初敗戦の事実を受け入れきれない(ように見える)役柄で、旧ソ連軍と引揚兵たちの間で通訳としても機能する。作中の登場人物たちのの交流を経て最も心の持ち方が変わっていく。その様子はいちばんリアルな人間らしさを感じる。大森を軸に進む物語の中で、彼の存在はラストの展開を導くための重要なキーとなる。
佐久間演じる島津は当時としては少し変わり者だが明るく人懐こい若者という役柄だった。パブリックイメージの佐久間らしい良い役だったと思う。READING WORLDのラジオその他の事前情報できっと佐久間の役は日本に帰って来られないんだろうなあ、と予想はしていたがその通りになった。さらに公演後に放送された同ラジオを聞くとあてがき風味なことを語られていたのでやはりな、という感想。
どこで起きた出来事であろうが戦争での人々の苦しみは最悪なもので、正直なところ本作を契機に新たに知る内容は多くはなかった。
ただその中でも「死んだら着衣を剥ぎ取って遺体を雪の上に放置する」は特に強く心が痛んだ。別れのかたちとして人が人にそれを強いることを考えたくもないからだ。
この公演は例の大きな南海トラフ臨時情報が出た地震発生の直後だった。終演後に引揚記念館にも行きたい気持ちもあったが、やむを得ずまっすぐ帰宅の途についた。
初めて見る佐久間と声優のお仕事について
繰り返しだがわたしは声優素人なので巧拙はわからない。ただわたしの見に行った回は台詞を噛むこともなく、素人目線では悪いところが見当たらなかった。最後まで安心して見聞きすることができたと思う。
わたしが佐久間を好きになった理由のひとつに表情の作り方とそのバリエーションがあるが、顔の演技がトータルでの表現の説得力をより強めていた。
ただしこれが完全に声のみの演技、声しか情報を得られないような媒体になった時にきっと声優佐久間大介の評価や捉え方は変わるのだろうなと思った。そんなこんなで結論、わからない。ただ本当によくやっていた。ように見えたので満足です。
この仕事のために銀髪にしたのかなあと考えたりもしたけれど、9月末時点でなぞのまま。本当にあのきゅっと上がった口角に、カラコンなしだなんて信じられないレベルの丸くて大きな黒い目は本物だった。
そして普段デカい男たちと並んでいるからか、佐倉さん井上さんら女性キャストさんと並ぶとあまり小さく見えずなんだかとても男性だった。それはそう。
今回初めて佐久間を見にいくことで、彼がいまのまま声優業をやるのは難しいだろうと感じた。技術の問題ではなく、他の俳優さんと同じような声を吹き込む以外の活動には制限が出るだろうということだ。大前提として作品によるだろうけれど、佐久間はメインを張る作品でキャラソンを歌える?声優イベントに出られる?ベテランから新進気鋭の若手声優、多くのアニメや漫画の関係者とのつながり、業界への知見がある中で声優業を志すなら今後も端役の出演に甘んじるなんてことないだろう。いまのままだと影響力が作品の邪魔をするみたいなことが絶対起こるのではないか。とか考えてしまう。
今年アニサマに出たキスマイの宮田くんはその辺うまくやっているのだろうか。松村北斗さんはどうなんだろうか。この公演前後であった色々なこと、公式サイトプロフィールへのボイスサンプルの掲載、ただアイドルの副業として声優の仕事をもらうのではなくきっと目標あってのことだろうから佐久間の思うような未来が描けているといいなと願う。重いよ。
いかんせん「芸能人のひと」に入れ込むことがなかったからこういうことを延々考えてしまって、よくない。
おしまい
この公演のあと、8月末に友人の誘いを受けて藤沢文翁さんの手がけるVOICARION(ボイサリオン)という朗読劇を見にいく機会があった。こちらはメインキャストの演技形態は「約束の果て」と同じだが、舞台セットから特効から演出もりもりの内容だった。朗読劇の観劇経験は「約束の果て」を含めて二度しかなかったため、朗読劇は本当にさまざまなものがあることを知る。
そしてつくづく「見に行きたい時に行くことができる」というのは本当に良いことだと思う。公演日間際で追加のチケット販売があってよかった。そしてその取得手段もマジでほぼオタクの頑張りのみで取得可否が決まる端末紐付の一般電子チケットであったことから業者の参入を極小化できていた。この取得に関しては本確マンたちも黙るしかない。
次回予告案
・多分モーツァルト!の感想
・日本のトップアイドル
・ゆうぴー退所に寄せて