海の底を思う(ゴジラ)
実家の集落、麓に佇む千葉山。
遥か大昔、この地形が誕生する遥か大昔。
此処は海の底。
貝の化石が出土する。
側から見ればただの田舎。
その山の遥か上空を仰ぎ見た少年。
それが私。
数々の映画を観てスクリーンに収まるゴジラ。
足りない。
何が?
神々しさ
微動だにしない貫禄
圧倒的な存在感‥
それがどうだろうか
放射線を放つ巨体
禍々しい風貌
人類を圧倒する力
そのネガティヴををまるでおもちゃを蹴散らす様に私の視界から消えていくゴジラ達。
集落に収まりきれない3000mを超えた巨体が姿を見せ、衝撃の一言を放った事を知るまで、どれほど時間がかかっただろう。
今日に至るまで気付いてハッとした。
「陳腐」
そして向けられた霊視線。
今までこんな衝撃は無かった。
魂が打ち震える程感慨深い。
自分が陳腐に思える。
そしてもう二言
「我、ここに有り」
「我、忘れるべからず」
そして千葉山を枕元にし、眠りにつく。
半霊半物の彼が消えていく。
どんなに歴史が変わっても、
陸地となった此処にいた。
不動の精神で出会った彼を
私は決して忘れない。
私に教えてくれた、たった一度の奇跡と、そして深い眠りにつき、遥か大昔の海の底を思う。
今までと違う気持ちで。
地元の天狗様でさえ教えてくれなかった事。
精神世界のサプライズ。
ゴジラファンの皆様方はどう思うだろうか。
どうか穏やかに
そして海の底を再び思い
千葉山の遥か上空を仰ぎ見る。