連続小説「アディクション」(ノート完結)
ギャンブル依存症から立ち上がる
この物語は、私の誇張された実体験を基に妄想的に作られたフィクションですので、登場する人物、団体等は全て架空のものでございます。
〈「スリップしても」〉
私が「正力クリニック」に1年9か月通い続け、ギャンブルに対する認知とか、それ以上に大切にすべきものは何かとか、一方で私はギャンブルに対しては「無力」であるとか、それについて理解や共感をしつつ、社会復帰してもギャンブルには手を出さないことを続けていくために、規則正しい生活とか、身体を鍛えるとか、まぁ少なくとも、通院以前よりはギャンブルに手を出す「確率」は下がったと言えるでしょう。
ただ、ギャンブルはいくら「悪」だと理解しつつも、他の人がギャンブルをやることについては辞めろとは言わず、むしろ楽しむ程度ならいいんじゃないかと思っていて、ギャンブルを「悪」だと「思うならやらない」ではなく、「思うけどやる」っていう方が、なんとなく本質的のような感じがしています。
だから、いくら自分の認知を変えたところで、それは確率が下がるだけで、何かの弾みでやらかすことがいつ起きてもおかしくないと思っています。
それでも私はギャンブルを二度とやらないと心に誓い続けていて、2022年8月時点で6年ギャンブルが止まっている状態となっています。しかし、日々薄氷は踏んでいる自覚があって、夢でスリップした経験は何度もありますw
さて、もしスリップしたら、このことについては考えないほうがいいと指摘される方も相当数いらっしゃると思いますが、私はほぼルーティン的にこのことを考えています。そしてもしスリップしたらクリニックに連絡して診察を受け、自助グループにも繋がろう。そして、仕事はストップし、生活保護を貰いながら当分の間通院しようと思ってます。
この物語でいうところの、大北さんのスタンスが自分にとって、一番共感するものだと思ってます。まぁ卑屈なまでに自分にダメ出しできるかはわかりませんが、勘違いされがちなのは、大北さんは自分にダメ出しはするものの、決して自己否定はしていないということです。自分を疑うことと、自分を責めることとは全然違っていて、自分を疑うことは究極の自己肯定感というか、自分を受け入れているからこそ自分を疑うことが出来ていると思っています。
この物語を書いているうちに、私はスリップするかもしれません。しかし、どんな自分でも受け容れることが大切だということがら、このクリニック生活で私が最も学んだことです。
あと、私には怖い人はいません。世の中で一番怖い人物は自分自身です。人間関係の良好な構築には、自分の感情のコントロールが重要となっていきます。つまり、人間関係を良好に構築できているうちは、スリップする危険性は少ないとも思っているのです。
そして、ギャンブルはやりませんが、レースは見ます。むしろ私は見ない方がスリップの可能性が高くなると思っているからです。
スリップして、人生が終わるわけではない。どんなスリップもそうだ。
〈「そして今」〉
現在2022年8月で、私は58歳になっています。ギャンブルは6年止まってます。
当時の皆さんとは、お会いする機会がなくなってきてます。たまにラインなどで近況を知ることはできるのですが、皆さんそれぞれお忙しいようで、さらに例の感染症の影響で玉井さんのお店も一時閉店し、営業再開が六本木になったりして、なかなか皆さんと集まれる機会も薄らいできました。
ただ、皆さんそれなりにご顕在でいらっしゃいますw
そして私は、調理師専門学校を無事卒業して調理師資格を取ったのですが、なかなか働きたい場所もなく、そうこうしているうちにこれまた例の感染症で働く場所自体もなくなってしまい、
結局、ハローワークに駆け込み、たどり着いた仕事が「理事長ご推奨」の介護職ということで、現在不慣れながらも、実は結構楽しく働いております。
ただ、私にも「野望」があって、それは前にも申し上げた「屋台ラーメン」です。儲けとか考えずに200円でラーメンをどうにか提供できないかを水面下で模索しておりますw
で、この日は仕事休みで、ある人と再会をしております。
「しかし屑星さん、久しぶりね。」
「はは、こういう形であおたんと再会とはなw」
「プレイなしとかでいいの?」
「いやあ、私の話だけ聞いて、そして焼肉屋付き合ってくれるだけでいい。ていうか、1時間2万円のとこ、2時間でいいのかい?」
「うん、プレイなしで、ご飯も奢ってくれるんなら、それに屑星さん面白いし。特別サービスよw」
「これからも、ちょいちょい会ってくれないかな?」
「それは私も望むところよ。Win-Winっていうやつかしらねw」
まぁ、分類的には「パパ活」ですw
なんでそんなことしてるかと言うと、
何でも話せる友達がいない
という問題がありまして、これまでの自分のやってきたこととかを傾聴し、ウソでもいいから共感してくれて、そして会いたいときに会えるそんな「都合のいい人」なんていないかなと思っていたら、灯台下暗しで該当者がいたということでした。
あおたんは、とにかく「聞き上手」で、私の「承認欲求」というのをことごとく満たしてくれて、私にその才能がない分、本当に羨ましいです。
ちなみに、プレイはホントに無しで、そっちの欲求もなくなってきたのは単に年を取ったからだと思ってますw
で、ただいま焼肉屋で、これまでの募る話を聞いていただいてるということで、
「その『200円ラーメン』って、面白いと思うわよ。実現できたら私も行くわ」
「うん。儲ける以上に楽しそうだから、半ばボランティア活動みたいな形でやりたいと思ってるんだ。」
「いつごろ達成できそうなの?」
「まぁ、資金をためるには数年かかるかな?てか、年金生活やって安定収入が入ってからになると思うけど。」
「それまでは色々と大変ね」
「今の仕事も楽じゃないけど、基本的に楽しんでというか、楽しいところ探しながらやろうかと。」
「あ、それは私も同じよ。なんだかんだでこの仕事10年超えちゃったわ。来年30になっちゃうしw」
「そうなんだね。でもホントにあおたんと会えて良かったよ。なんかこの時間が楽しすぎるw」
「ハハハ。それは良かった。あら?なんか『くずぼしパパ活』ってラインが来てるわよ。」
「え?」
どこで嗅ぎつけたか、隣の席で石焼ビビンバを頬張りながら、鼻息の荒い男がスマホを連打しておりました。
これにて完結です。
ありがとうございました。
GOOD LUCK 陽はまた昇る
くずぼしいってつ
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