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自分に酔うのはほどほどにしましょう
最近、少し親しくなった女性が数名いる。親しくなったからといって決して個人的にお付き合いしているわけではない。そして、きっとこの先、個人的なお付き合いに進む可能性も低い。
それでも、そういう女性が一人でも二人でも増えることはボクにとって歓迎すべきことだと思っている。
そのうちのお一人の話をしよう。
大勢で同じお店に入ろうとしているとき、近くにいた彼女から「お誕生日が一緒なのね」と藪から棒にそう言われる。
「誕生日のお話しなんてしましたっけ?」
ボクは驚き、そして少し嬉しくなってそう訊いた。
「LINEのホーム画面に出てましたよ」
ボクはFacebookならかなり使いこなしているつもりだけど、LINEに至っては新しい人とLINEを交換する?繋ぐ?こともままならないくらい不器用だ。
彼女とのLINE交換も彼女に手助けしてもらって繋ぐことが出来た。だから自分のホーム画面に誕生日が出ていることすら知らなかった。
「じゃ性格や運命も似てるんですかね?」
調子に乗ってそんなことを口走ってしまい、すぐに否定する。
「誕生日が一緒だって、そんなことありませんよね」
そうしたら彼女は小さな声でこう呟いた。
「似てるかもしれないわね」
しばらく前のこと、LINE交換の中でボクがちょっと調子に乗ったことを書いたらしい。具体的に何を指してそう言われたのかは今もって分からないのだけど、
「お酒に酔うのはたまにはいいけど、自分に酔うのはほどほどにしましょう」
そう返信してきた彼女。
誕生日が一緒だから歳はぴったり4つ下だ。年齢に関係なくそのとき彼女の前では調子に乗らない方がいいと学んだ。失礼がないようにしなければと。
だからすぐに否定したのに、その小さな声はとても意外だった。
「Facebookに毎日10本投稿することを目標にしているんです」何かの折にLINEでそう書いたら
「お仲間相手に内向きな雑文をいくら書いても小説が書けるようにはなりませんよ」
Facebookをしていない彼女にそうピシャリと断言されてしまった。
あなたの書こうとしている小説の参考になるはずと、今ボクが読み漁っている「燃え殻」さんを紹介してくれたのがその彼女でもある。
ボクが調子に乗らない限り、この雑文を彼女が読むことはない。
けれど、もし読んでくれたとしたら
「いいじゃない。腕を上げたんじゃない?
燃え殻さんの文体に似てきたわよ」
そう言われたいボクなのである。