2023年に観た映画30本の一口感想
2023年は徒歩5分圏内にIMAXのあるシネコンがあるという環境優位の立ち回りで、30本以上を劇場で映画を観ることができたので、その感想を書いていこうと思う。
上記の環境のため、全国公開系の映画が多め。並びは観た順です。
BLUE GIANT
音楽、演出、脚本全てが最高だった。ジャズのライブのエッセンスがめちゃくちゃ詰まっていていい。正直、改めて原作を読むと平さんの雪祈へのゴン詰めするシーンはもう少し間があっても良かったと思うけど、気になったのはそれくらいでCGの出来とかも別に自分はきにならなかったなぁ。原作の内容を2時間弱にシュッとまとめているのでめちゃ観やすかったし、最後の原作改変も自分的にはGood。めっちゃ良作。
バビロン
マーゴットロビー凄すぎ。最初の30分だけでも観て欲しい。圧巻の出来だった。3時間あるんだけど体感マジで一瞬!ブラッドピットのイケオジっぷりも健在。これも今年の中ではトップクラスに好きな映画でした。
エブリシング•エブリウェア•オール•アト•ワンス
主人公の女性がADHD気味で職を転々としがち…そのせいで色々な世界線の別宇宙が広がっている…という設定はめっちゃユニーク。自分も似たようなもんなので、その設定を活かしたアクションとストーリーはめちゃよかった。後半やや失速気味ではある。特に「母と娘」というテーマ性があまりまだ自分には刺さらずぽかんとなってしまった。時間をおいて見直したら再評価するかもしれない。
シン•仮面ライダー
鑑賞当時は映画としてはあまり感想がないと思ってたけど、改めて観直したら映画とかしてはダメダメな部類かもしれない。
とはいえ、仮面ライダーの原作漫画や元祖1話のオマージュとか浜辺美波とか浜辺美波とか浜辺美波とかはよかった気がする。自分は面白く観れたし、シンシリーズのなかではウルトラマンよりは好きかもしれない…。むずっ。
ベイビーわるきゅーれ2
大傑作の一作目の続編で、アクションもパワーアップした感じ。ただ、part1の方がテンポが良かった気がして着ぐるみのアクションシーンとか顔出てたらまた少し違ったのでは…とか思う。とはいえアクションもコメディも引き続きめちゃくちゃ面白いし、来年はpart3もやるらしい。part10まで続いて欲しい。
ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー
あー、俺ってマリオこんなに好きだったんだなぁって逆に気付かされてしまった映画。マリオ自体はそんなに思い入れがないと思ってたけど主要なタイトルはほぼやってたし、最近でよくマリオワンダーをやってるわ。そんな身近な存在でありながらマリオのことよく知らなかったんだけど、映画になってはじめて人格が与えられたような気がする。ゲームだとキャラクター=プレイヤーという構造になっているので、キャラが希薄だけどそうじゃなくなる感じがする。あとピーチの顔がアニャテイラージョイにしか見えなくなる。
ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー: VOLUME 3
いや〜〜〜〜終わってしまうのが悲しい…。第二の主人公としてロケットを中心のストーリーになっていてとても良きだった。そうだよな、そこを回収しないといけないよなっていう部分をちゃんと拾って丁寧に終わらせるお手本のような感じ。ちゃんとラストに相応しい映画だった。続編あって欲しいがこれ以上は蛇足な気もする。
岸辺露伴 ルーヴルへ行く
漫画原作映画としての出来は満点に近い。ただ悪い点が気になって、邦画独特の間がすこし悪い気がした。回想シーンのところとかね、過去露伴の演技も含めてなんとかならんかったんか…とも思う。高橋一生はもう露伴ちゃんにしか見えないくらいの完成度。
怪物
「怪物だーれだ?」という主題に対して、自分もきっと誰かにとっての怪物なのであろうな、生きてる以上誰かを傷つけたりすることはあってしまうんだろうな、というよう気持ちになる。子役を含めて役者陣が凄すぎてめちゃよかった。坂本龍一のAquaがエンドロールで流れた瞬間めちゃくちゃ泣いてしまう。ただ、その後友人と話したマイノリティが悲劇製造装置になっているのでは?という感想を聞いてなるほどなとも思う。
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
絵の綺麗さとか動きとかアニメーションを超えたクオリティの作品。ただ、戦闘のテンポは素晴らしいがストーリーはやや中だるみ感があった。いやおもしろいんだけどね、ラストこれどうたたむのかなと思ったらそのまま終わって、続編ものと知らなくてえぇーーってなった。どう完結させるのか今から楽しみすぎる。
憧れを超えた侍たち
今年は何故か野球にハマってしまったので、WBCのドキュメンタリー映画まで観てしまった。ちゃんと映像として色々残ってるのは凄い。大谷選手ばかり話題に上がるが、個人的にはダルビッシュ選手の働きっぷりにすごく感銘を受ける。
彼のやってることは、我々の界隈でいうエンジニアリングマネージャーとしての仕事だと思う。後輩をメンタリングし技術継承しつつ、本人も試合で活躍するという。調子は良くなかったみたいだけど、考えてみれば3月はシーズンオフだし当たり前の話だ。佐々木朗希選手や宮城大弥選手などの超将来有望な若手が活躍しているのも良いとこよな〜
君たちはどう生きるか
正直、パヤオの説教くさい映画だと思って観に行ったら、親への心情などなどプリミティブな心象が描かれていてパ…パヤオ…!!となって思わぬダメージを受けた感じがした。齢80を超えても、あの感情を作品に込めるのかという狂気、歳取っても幼少期のコンプレックスから解脱できないのかという絶望がある。あんだけ映画作っておいて結局のところお前の願望はそれなんか〜っていう納得感と人生が終わりゆく諦観みたいなのを感じてしまった。ナウシカを描いた30代から80代までずっと続く「どう生きたか」の結果のコンプレックスを見せつけられてしまった。いや〜めっちゃいいものを観た。
ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
うーん…。トムクルーズのアクションは相変わらず素晴らしい。60超えてもまだそれできるの?!っていう。ただストーリーが正直、行き当たりばったりで退屈。勢力が多すぎるのに、その説明があんまりなくて最初の1時間くらいは意味がわからなかった。アクションが始まったらめちゃくちゃすごいけど、ちょっと長すぎかなあ。パート2も観るけど。
響け!ユーフォニアム〜アンサンブルコンテスト〜
https://ensemble.anime-eupho.com/
短いながらもちゃんと面白い映画だし見どころも多かったな。来春のテレビシリーズがめちゃくちゃ楽しみ。久美子…めっちゃ成長しとるやんという気持ちになってとても良い。ただただてぇてぇ映画。
バービー
マーゴットロビー、凄すぎ(2回目)。コメディ要素は正直言ってあんまウケなかったけど。現実世界のバービー作ってる会社をボロクソに皮肉ってるシーンは面白かったな。最後のシーンでバービーが「あの場所」に行くことの意味がよくわからなくて、妻と話してようやく気づいた。そういうところでも男女で認識の差があるのかぁっていうメタ的な部分でも発見があって、それが1番面白かったかも。
アリスとテレスのまぼろし工場
Not for meオブザイヤーかも。キャラクターに誰一人として感情移入ができなくてつらかった。愛だの恋だの言ってる映画で見ていて恥ずかしかった。あ、あとキスシーン長すぎてちょっとキモい。ただ、まぁああいう世界になってしまったら、中学生がやることといえば性愛くらいしかないのかな…ということで無理やり納得することにした。演出や絵は綺麗でよかったな。
パプリカ
今敏のリバイバル上映イベントでやってたので、観てきた。大きなスクリーンで観るのは初めてだったし、無機物のパレードはやっぱ圧巻だよなぁ。平沢進の音楽も良い。最後のシーンで、今敏の映画の前にポスターが並んでいて、今敏の未完の遺作になる夢見る子供たち(夢見る機械)の出てくるところで悲しい気持ちになって、エンドロール中ずっと泣いてしまった。
ジョンウィック:コンセクエンス
アクション、すごすぎ、くどいくらいに。本作で4本目だからか敵もレベルアップしすぎていて、アクションゲームの最後の方の敵、硬すぎ(笑)みたいなのを映画でやってる感じ。何回起き上がるのっていう。あとヘンテコジャパンが最高に良かった。ライバルキャラ、あいつ今作が初出なのにずっと因縁の関係みたいな感じで出てくるし、超カッコいいじゃん。程よいバカ映画だけど、3時間はちょっと長い。
くるりのえいが
人にアイディアが降りてくる瞬間というのを捉えていて貴重な映像だった。おじさんたちがかわいい。若い頃の衝動をおじさんたちが作り直すというコンセプトにすごく惹かれた。おじさんたちが20年前の20代だった時の衝動で作ってしまった名曲(東京、ばらの花など)を意識的に再現できるのか、というドキュメンタリーとしてみるととても貴重な映像。バンドの音楽ってこうやってできるのかというクリエイティブの過程、歌詞を書く苦悩、メンバー間の関係性など随所に見どころがあってめちゃくちゃよかった。
キリエの歌
出てくる登場人物全員がうっすら頭悪いせいでみんなが構造的に不幸になるという相変わらずの岩井俊二の映画っぷりで、そういうのを期待して観に行った自分としては💯出せるくらい最高の岩井俊二映画だった(映画としておもしろいかは...)尚、一緒に観た妻はブチギレていた。全体的にストリートミュージシャンに対しての軽薄な演出が酷くてあそこはもはやギャグだと思う。
キラーズ•オブ•ザ•フラワームーン
ディカプリオが困ったり怒ったりする演技が好きなのでもっと不幸な目にあって欲しかったなぁ(いや十分ひどい目にあってるけど)。あと、ロバートデニーロの表裏の演技が怖すぎて震える。マフィアじゃん。最初は登場人物が多すぎてその家族関係がわからなすぎて誰が誰?ってなって混乱したので、人物相関図がほしいところ。ただ映画としては文句なしに面白すぎた。3時間40分ある映画だけど、あっという間だったな。今年1番よかったかも。
ゴジラ-1.0
今年の Not for meオブザイヤー。間違いなく。悪いところをあげればキリがないのですが…。全体的に日曜劇場2時間スペシャルみたいなのを見せられてる感じの映画だった。自分が邦画の嫌いなところぜんぶ詰まってたので、ああこういうの苦手なんだーっていう確認ができた感じかなぁ。自分にとっては今年一、つまんない映画でした…
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎
しっかり大人向けのいや〜〜な話で大変良かった。見終わった後の嫌さはしっかり初期の鬼太郎感あるし、ちゃんとホラーだわ。人外と人間のバディモノとしても大変良いよな、オタクはこういうの好きだろ?がめちゃくちゃ詰められていて、色々な感性が刺激されてめっちゃ良かったなぁ。作画も演出も文句なしの一本。めちゃ面白い。
駒田蒸溜所へようこそ!
お仕事系アニメ映画のお手本のような映画。主人公(男)の方に微笑ましくもイライラしてたけどちゃんと怒られてることとか。後半の酒造りパートもめちゃくちゃ良かったなぁ。ウイスキーが飲みたくなるいい映画。
首
戦国版アウトレイジと思いきや、アウトレイジよりちゃんとタケシ映画してた感じがする。ホモソーシャル的な価値観の馬鹿馬鹿しさをシニカルにやるっていう視点が個人的にめちゃくちゃハマる。戦国時代だ謀叛だっていっても結局、男同士の痴情のもつれだし、秀吉のいう「侍の矜恃も百姓にはわかんねー」みたいな、いままで美化されてきた様式を意図的に矮小化してる感じで。「こいつら全員アホか」はその通りでしかない。ちょいちょい挟まるコミカルなコントシーンと戦国ならではの暴力シーンのギャップがクセになる良作。
青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない
このシリーズの特徴として、アニメ的な奇抜なこと(思春期症候群と作中ではいわれている)が起きてもそれは物語のエッセンスであって、基本的には主人公と当事者の「対話」で物語が進むというところがある。
それが自分はめちゃくちゃ好きだ。本作では今まで触れられてこなかった、いわゆる典型的なラノベ的主人公(なぜか両親とは別居して妹と二人暮らし)とその親の対話っていうある種メタ的なテーマになっている。
物語がシリアスになるにつれて、その辺りのリアルさとラノベ的な部分のアンバランスさが際立ってきて、自分の中でどう処理していいのかわからなくなってきた。最終的に、病気の当事者である中学生の妹を置いて別居した判断をした父親が異常ぶりが気になってだんだんムカついてきた。原作も気になって読んだけど、やっぱり父親は許せないんだよなぁ。
ナポレオン
ホアキン•フェニックスの演技力凄すぎ……、戦争シーンのどことなく牧歌的な感じとか好き。ただ年表をだーっとなぞるだけのシナリオだったので、もう少し戦闘シーンをみていたかったのがある。ナポレオンの人生の盛り上がりと映画の盛り上がりが一緒って感じ。
市子
マイノリティや難病に関わった人+貧困という要素で人が不幸になる映画は同じ数だけ不幸にならない映画がないと不公平だよなぁと思う。杉咲花さんの演技力や演出とかは好きだけど、その物語の構造が引っかかってしまい素直に楽しめなかった。これは前述の悲劇製造装置の概念を知ってしまったからかもなぁ。
窓際のトットちゃん
まったく油断して観に行ったら涙腺が崩壊するくらい衝撃を受けてしまった。ここまで戦争を悲劇として描かない悲劇的な映画がかつてあっただろうか。徐々に戦争に巻き込まれていく社会情勢を子どもの視点で描くとこんなにも恐ろしいものなのかっていうのが質感をもってリアルに感じられてめちゃくちゃ怖い。間違いなく良作なのでぜひ全人類観るべき映画。
トーク•トゥー•ミー
今年最後の最高ホラーエンタメ映画だった。ホラー映画のフォーマットのような、バカな若者が下手に怪異に手を出して不幸になるっていうのを逆手にとったような話。弟の病室のシーンとかめちゃくちゃ怖かったなぁ。そうだよな怖さってクセになるしみんなでそれを享受するのってドラッグみたいなもんなんだよな。ラストも良い、最高!
まとめ
というわけで、劇場で観たのがちょうど30本でした。あえて、ランキングをつけなら
1位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
2位 窓際のトットちゃん
3位 鬼太郎誕生
4位 バビロン
5位 首
特別賞 君たちはどう生きるか
みたいな感じかな。
全体的にアニメ映画のレベルが高い気がした一年でした。屋根裏のラジャーとSPY FAMILYはまだ観れていないので来年に持ち越し!来年の目標は50本映画を観ることです。
それでみなさん良いお年を!!