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IPA高度試験の過去問合格答案-SA(システムアーキテクト試験)-2017年-午後Ⅱ-問1-「非機能要件を定義するプロセスについて」
自己紹介
営業職やSEOマーケター、コンサルタント、システムエンジニアとしてIT関係の仕事を20年ほど経験し、現在はメーカー系企業の情報システム部門で働いています。
IPA高度試験は5区分(ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士)を取得済みです。
記事群の主旨
これから高度試験を受験される方のご参考になればと思い、かつて論文系試験の対策時に作成した、午後Ⅱ過去問の練習答案(論文部+アンケート部)を公開します。
※令和6年度のITストラテジスト試験午後Ⅱ講評冒頭には、以下の記載があり、平成28年頃から「評価の対象となる」旨が明示されているようですので、アンケート部分も、事前対策においては重要だと思います。私が講評における「評価対象」の明示を確認したのはSTだけですが、アンケートの重要性はSTに限られないと思われます。
一応5区分合格済みで、論文のコツは掴んでいるつもりなので、これから合格を目指される方にとっては、ジュース代よりは価値がある内容になっていると思います。よければご笑覧ください。
この記事で対象とする過去問
試験区分:SA(システムアーキテクト試験)
年度:2017年
問題:午後Ⅱ-問1
問題のテーマ:非機能要件を定義するプロセスについて
問題(問題文と設問)
問1 非機能要件を定義するプロセスについて
情報システムは、非機能要件の考慮漏れによって重大な障害を引き起こすことがある。非機能要件とは、信頼性を含む品質要件、運用・操作要件など、機能要件以外の要件のことである。利用者は非機能要件を明確に認識していないことが多いので、システムアーキテクトは、利用者を含む関連部門へのヒアリングによって必要な情報を収集する。収集した情報を基に、業務及び情報システム両方の視点から非機能要件を検討し、検討結果を意思決定者に提示し、判断してもらう。
例えば、信頼性要件の場合、次のようなプロセスで検討する。
・リスクを洗い出し、想定される損失並びに事業及び業務への影響を分析する。
・分析結果に基づき、目標とすべき復旧時間を設定する。
・設定した復旧時間を達成するための情報システムの実現方式を具体化する。
その際、前提となるシステム構成、開発標準、システム運用形態など、非機能要件を定義するに当たって制約となる事項を示した上で、例えば次のように、意思決定者に判断してもらうための工夫をすることも必要である。
・複数のシステム構成方式について、想定される損失と、対策に必要なコストの比較を示す。
・信頼性を向上させるためにデュアルシステム方式にすると効率性の指標の一つであるスループットが下がる、といった非機能要件間でのトレードオフが生じる場合、各非機能要件の関係性を示す。
あなたの経験と考えに基づいて、 設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問ア あなたが要件定義に携わった情報システムについて、対象業務の概要と情報システムの概要を、800字以内で述べよ。
設問イ 設問アで述べた情報システムについて、どのような非機能要件を、業務及び情報システム両方のどのような視点から、どのようなプロセスで検討したか。検討した結果とともに、800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
設問ウ 設問イで述べた非機能要件の検討の際、意思決定者に判断してもらうためにどのような工夫をしたか。 600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
答案の採点結果
ChatGPTへの質問(論文採点の依頼)
以下は、2017年のIPAのシステムアーキテクト試験の午後2の[問題]と、私が作成してみた[答案(論文本体・アンケート部分)]です。IPAの採点者になったつもりで、100点満点で採点をし、講評を行ってください。
[問題]
上記をはりつけ
[答案(論文本体)]
以下、有料部分に掲載の内容をはりつけ
[答案(アンケート部分)]
以下、有料部分に掲載の内容をはりつけ
ChatGPTの回答(論文採点結果・講評)
あなたの答案を採点し、講評を行います。
=====採点(100点満点)=====
・設問ア(20点満点): 18点
業務の概要が明確で、システムの役割とリニューアルの背景が適切に記述されている。
具体的な受発注プロセスの説明も適切。
もう少しシステム全体の構成や主要な技術的な選択肢(例えば、Web技術の選定理由)があるとより良い。
・設問イ(40点満点): 37点
非機能要件を業務とシステムの視点から詳細に検討している。
各要件の定義が具体的で、合理的な説明がなされている。
プロセスの説明も適切で、業務部門・管理部門との調整が明確。
ただし、非機能要件の優先順位付けや、リスク分析の詳細が少し不足している。
・設問ウ(30点満点): 27点
意思決定者への説明の工夫が具体的に示されており、実際のレビュー時のやり取りもリアル。
過去データを活用した説明が論理的で、判断をスムーズに進めた点は評価できる。
もう一歩踏み込んで、判断をサポートする具体的な資料や可視化の工夫(例: コスト比較表、シミュレーション結果)を示せばさらに説得力が増す。
・アンケート(10点満点): 9点
一貫性があり、論文内容と整合している。
企業・業種、業務領域などが適切に選択されている。
もう少し具体的な業務領域の詳細(例えば「販売管理」だけでなく「不動産業の受発注管理」)があればさらに良い。
合計点数: 91点
=====講評=====
あなたの論文は、非機能要件の定義プロセスを非常に明確に述べており、論理展開も分かりやすいものとなっています。
特に、意思決定者とのコミュニケーションや、非機能要件を実際の業務ニーズに沿って具体化する手法は優れています。
■良かった点
・実体験に基づいた説得力のある説明
実際に非機能要件の検討を進めた過程が詳細に描写されており、現実的なプロセスが示されている。
・明確な要件定義と実装方針
セキュリティ、保守性、信頼性、ユーザビリティ、応答速度などの観点を具体的に定義している。
・意思決定者への説明方法の工夫
要求定義の確認、過去の実績データの活用、意思決定者の疑問に即応できる体制が整っている。
■改善できる点
・非機能要件の優先順位やトレードオフの明示
例えば「応答速度1秒以内を目指す」方針があったが、もしコスト面での制約があった場合にどのように調整したかなど、具体的な判断基準を示すとより説得力が増す。
・リスク分析の詳細化
非機能要件を決定する際のリスク(障害発生時の損失や、トレードオフの影響)について、もう少し具体的に示せると良い。
・図表の活用
文章での説明が非常に優れているが、比較表やシステム構成図などを用いることで、さらに分かりやすくできる。
■総評
全体的に完成度が高く、合格水準を十分に満たしている優れた論文です。
いくつかの点を補強することで、より高評価を得られる論文になるでしょう。
本番の試験でも、このレベルの論述ができれば十分に合格点を狙えると思います。
合格答案例
論文本体部分
第1章 概要
1-1. 業務の概要
A社は社員数300名の建物管理会社で、私はA社情報システム部に所属するシステムアーキテクトだ。A社は老朽化した販売管理システムを2024年2月にリニューアル予定であり、その要件定義、全体システム設計を私が担当した。
販売管理システムに関連する業務は受発注の登録、承認、帳票の出力、会計連動だ。例えば、マンションのオーナー様から「駐車場の…
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