見出し画像

「うっせぇわ…なにやってもうまくいかない、かなわんなぁ…」なにやってもうまくいかない篇

※こちらの記事は「うっせぇわ」パートを先にお読みになることをおすすめします!

「なにやってもうまくいかない」
いい曲ですよね、聴けば聴くほど深みにはまるスルメ曲です。
(実際聴きながらライティングしています)

メジャーデビュー曲が「なにやってもうまくいかない」っていうのも皮肉でおもしろいですね。
実際、なにをやっても全て裏目に出て、「何もしないほうが良いのではないか」と思う場面って結構あるなぁと思います。
がしかし、この曲はもう少し一歩踏み込んだ意味合いを含んでいそうです。


閉塞的で既得権益で金儲けがしにくい状況下で経済的ステータスを満たすことを諦めた若者はSNSや動画投稿サイトで自己承認欲求を満たすことに活路を見出します。

用いるステータスが変わっただけでバブル時代の若者と多くは変わりません。自分自身が他者よりも優れていることを「お金」ではなく、フォロワーや再生数などの「大衆の評価」に切り替わっていったのです。

「バズれば正義」のネット上で有名になれば、地位や名声だけでなく莫大なお金まで手に入れることまで叶ってしまう。まさに一石二鳥。
かつ、承認欲求を満たすためのツールが数多くある時代で誰もが夢をつかむチャンスを持っているも同然。

しかも大きな経済的なリスクを負うことなく比較的安易な方法でそれが行えてしまうというのであれば、若者も誰もが一度はスマホを片手に夢を見てしまうでしょう。

しかし、承認欲求を満たすためにはもちろんリスクもつきものです。

この曲は複数の歌詞を同時に流しながら、スタートします。


(バカクソゴミクズきちゃない言葉で誰かを傷付けた)
(無視するつもりが真に受けタラレバほらまた傷付いた)
(大好きだったものちょっと嫌いになりそうな気がしてた)
(やりもしないくせ出来もしないくせ偉そうな口きくな)

なにやってもうまくいかない 歌詞より

この4つの歌詞のどれかは誰にでもドキッとするものが必ず含まれており、不協和音ながらも自分自身が現在心に刺さる歌詞のみが耳に残るようです。一時流行った、「文字の羅列表から目についたワードがあなたの悩み事です」みたいなものですね。


またこの歌詞は大きく2つのパターンに分けることができます。

1つ目はクリエイター目線(送り手側)
(無視するつもりが真に受けタラレバほらまた傷付いた)
(やりもしないくせ出来もしないくせ偉そうな口きくな)

2つ目はリスナー・ファン目線(受け手側)
(バカクソゴミクズきちゃない言葉で誰かを傷付けた)
(大好きだったものちょっと嫌いになりそうな気がしてた)


音楽だけに限らず、イラストや漫画などクオリティの高いものが無料で供給されるこの時代はとても恵まれています。
昔だったら誰にも相手にされなかった可能性が高い作品もインターネットの海に漂わせるだけで誰かの目に留まる可能性があるからです。

もちろん良いことばかりではありません。

インターネットには膨大な作品が無限に存在し、誰かに目を留めてもらう前に(留まったとしてもほんの一瞬)情報の海の中で溺れていってしまうことほうが多くなってしまった。

運よく目に留まったとしても、一部の人間から思わぬ評価を受けて誹謗中傷や炎上につながることも珍しくありません。

クリエーターのモチベーションは受け手側からの快いレスポンスです。
少し気に入らないからといって、作品を超えた人格否定などの度を越えた誹謗中傷は本当に胸糞が悪くなるものです。
日本人のねちねちとした陰湿さは匿名性の高いネットに悪い相乗効果を生んでしまっている気がします。
(本名や個人が特定できる状態で誹謗中傷ができる人はほとんどいないはずです)


最近さらに問題視されているのは、クリエーターの誤った先鋭化です。

迷惑系ユーチューバーが一時期世間を騒がせました。
(個人的には迷惑系ユーチューバーという文字面が日本語として気持ち悪いのであまり使いたくないのですが、わかりやすさのために使っています。)
(人に迷惑をかけることはエンターテインメントではありません。実際、法を犯して捕まっていますし)

人気を得るために一定数の人間が傷ついても問題ないと考えているのは正直理解できません。

もちろん表現というのは誰もが気持ちの良いものにならないことは皆さんもお分かりだとは思いますが、最初から誰かを傷つけても構わないと思って表現を行うクリエーターはいないはずです。

このやり方はいわゆる邪道です。意図的な炎上はやはり見るに堪えないことが多いです。

直近だと、とあるカップルユーチューバーの目標チャンネル登録者達成でのプロポーズ。
企画段階で批判が集まることを予期できなかったのでしょうか?
(まぁ、予期できていれば人間の尊厳を踏みにじるようなあんな企画を思いつかないでしょうね)


話をもどしましょう。

過激な作品や仕掛けは前回を越そうとするため、段階を踏んで過激さを増していきます。
煽るリスナーやファンも手伝って、最終的にコンテンツは炎上しながら燃え尽きてしまう。
奇跡的に不死鳥のように復活しても、あんなに盛り上げていたリスナーやファンは似たような他のコミュニティに移動しているという悲しい状況を生み出しています。

一過性の盛り上がりはあくまでも一瞬の激しい炎で長くは続かない。麻薬や覚せい剤と同じようなもので、手を出してしまったら最後なのです。


(私がこれまでどれだけ努力したかしてないかにかかわらないまま 独自の物差しあてがってんなよ今に見てろクソが)
(汚い言葉を吐いて自分を納得させるのは簡単ですけど ところでお前の生きがいソレなの?悔い改めろよな)
(適当なところで飽きたと投げ出したその実 力量不足の誤魔化し 黙っておいたら良いのに甚だ宝の持ち腐れ)
(うだうだ言ってるお前にゃ将来ないからどうぞ楽しみに生きなよ 何にも成し遂げないまま三途の川でも眺めてな)

なにやってもうまくいかない 歌詞より

ここも曲の途中で入る部分です。
さっきよりも長めになっていますがこれも先ほどのパターンに分けられます。

クリエイター目線(送り手側)
(私がこれまでどれだけ努力したかしてないかにかかわらないまま 独自の物差しあてがってんなよ今に見てろクソが)

(汚い言葉を吐いて自分を納得させるのは簡単ですけど ところでお前の生きがいソレなの?悔い改めろよな)

(うだうだ言ってるお前にゃ将来ないからどうぞ楽しみに生きなよ 何にも成し遂げないまま三途の川でも眺めてな)

リスナー・ファン目線(受け手側)
(適当なところで飽きたと投げ出したその実 力量不足の誤魔化し 黙っておいたら良いのに甚だ宝の持ち腐れ)


上記は主にクリエイターからの困った現状が見て取れます。

1つめはアンチの増加が挙げられるでしょう。

数多くのファンを集めることができるようになると困るのがアンチによる嫌がらせ行為だと思います。
私はこういった類の人間は無視するに限ると思いますが、人間ですのでその時の精神状況で過剰に反応してしまうこともあることでしょう。
もちろん誹謗中傷を言うほうが圧倒的に悪なのですが、ここに反応してしまえば思うツボ。クリエイターとして普段、公で言えないことが歌詞に込められているなと個人的に強く感じました。


2つめは正義感・偏愛によるファンの暴走です。

実はアンチよりもこちらのほうが厄介。自分を応援している側だからこそ無視はできないというジレンマに陥ります。
ましてや暴走している本人は悪いことをしている自覚がないため、非常に扱いにくい。
ここでの対応を少しでも間違えると、偏愛は反転し強烈なアンチへと変貌してしまいます。
例を挙げればVtuber関連のガチ恋勢はこの辺にあたりそうです。
(このあたりは触れるとキリがないので省略します)


少し余談ですが、AKB48は「会いに行けるアイドル」として一世を風靡しました。
秋葉原には専用の劇場があり、そこに行けば推しのアイドルのライブを至近距離で見ることができ、CDを買えば同封の握手券で実際に握手しながら、お話ができる。
これは画期的な新しいシステムでしたが、アイドルとファンの間の距離があまりにも近くなってしまいアイドルに危害を加えるような行為も増えていきました。

人間関係すべてに言えることですが、距離感を誤った関係構築は必ずどこかで歪みを生む結果となります。
のめりこむことが悪いとは言いませんが、アイドルやVtuberが好意を持ってくれると軽々しく思ってはいけません。

大勢いるファンの中のモブの1人であることを忘れずに推していくことを肝に銘じてほしいと切に願います。
(文化がこういったファンの暴走で衰退していくのは私も悲しいので…)


筋がずれまくっているので、まとめに入りましょう。

社会での不平不満を口に出すことがなかなかできない私達は匿名のネット社会では自由に意見を言うことができるし、表現ができる。

しかし、それらの行為は度を越したものになっていき、刑事事件に発展するものも散見されるようになりました。

芸能人への誹謗中傷は「言われるが花」なんて言われた時代もありましたが、殺害予告や悪質なデマの流布などをあげればキリがありません。

誹謗中傷したところであなたの生活は一変しないし、あなたの価値が上がるわけでもない。

待っているのは誹謗中傷でしか自分を認めてあげられない歪んだネットモンスターに変わり果てた姿かもしれません。


「なにやってもうまくいかない」「何にもやってないだけじゃない?」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?