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サマリー:「何の平等」が平等フィットにおいて大事なのか(Futurist note第6回


イントロダクション

こんにちは、VARIETASのFuturistのRentaです! VARIETASは、構造的な問題によって発生するひとりひとりを取り巻く摩擦(=フリクション)がゼロな社会(=Friction0)を実現することを目指すスタートアップ企業です。Futuristとは、目指すべき未来像を示す未来学者です。

今回は、Futurist note第6回のサマリーです。
第5回で明らかになった社会的束縛のおさらいを踏まえ、「何の平等」が平等フィットにおいて大事なのかという問いに答えるnoteです。


社会的束縛のおさらい

前回のnoteで、個々人の個性を実現を縛る要因を以下の図にまとめました。

これらの問題点を整理すると以下のようになります。

  • 自分が取りたい選択が分からない:脳の構造

  • 自分が取りたい選択を取れない:集団とのフィット、コミュニケーション、規範

  • 選択を取れたとしても、機会を得られるか分からない:競争と機会均等

ここから、それぞれの問題点について解決策を考えていきます。

「何の平等」が平等フィットに重要なのか


「自分の取りたい選択がわからない」という状況は、選択のパラドックス(選択肢が多いほどかえって選択が困難になる)だと考えられます。1)

解決策としては、もちろんAIによるレコメンドが挙げられますが、別方向の解決策としてここではミメーシスによる方向付けを挙げています。

ミメーシスとは、各々の個性を発揮して方法で周囲に貢献している人に触発されることで、「このようになりたい」と思うことを言います。これによってある程度の選択の方向付けが可能になります。2)

本当にそのような人に出会えるのか?という疑問があるかと思いますが、これをスモールワールドの実現によって担保します。
スモールワールドとは、「世界中の人は平均6人の知り合いを介して高度に相互連結している現象」を指します。つまり、ミメーシスが起こるような人間とも平均6人を伝っていけば出会えるのです。3)

次に、「自分が取りたい選択肢を取れない」という状況に関しては、「これまで自分は何とかやってきた。だからこれからも大丈夫だ」という自己信頼が必要になります。4)

自己信頼は、将来への希望・良好な人間関係・自分への信頼に支えられています。
「自分の取りたい選択肢を取れない」と思っているということは、少なからず自分への信頼が薄い可能性がありますので、良好な人間関係を築き承認を得ることで挑戦心を養うという方策が考えられます。
また、信頼できる友人が現在いなくてもスモールワールドを実現すれば出会えるかもしれません。

「選択できたとしても、機会を得られるかわからない」というものに関しては、そもそも競争が希少なリソースを巡る争いだから、ということがあります。

ならば、個々人が欲望するものが希少ではなければよいということになります。それは結局のところ何かというと、個々人が持っているビジョンや理想の個人像・社会像です。5)

これらは個々人の体験や資質に中身が大きく左右されます。だから、そのビジョンを叶えたい、という願いは基本的にその人しか持たないはずです。
これに加えて、「キャリアの仮面」という本業以外で自分が貢献できる場所を持つことで自分の役割を模索するというルートもあり得ます。「キャリアの仮面」での貢献によって周囲からの信頼を得て、自己信頼に繋がるかもしれません。6)

「何の平等」が平等フィットに重要なのかという問いに答える時が来ました。その答えは「各々のビジョンを実現するためのプロセスへの平等なアクセス権が大事」ということになります。

機会均等だけですと、競争に勝てる人だけが機会を得ていくことになりますが、スモールワールドを実現させれば自分の個性と合致した機会を持っている人と出会うことが出来るはずです。その人に出会って自己信頼を築いたりミメーシスを発生させたりすることが可能です。ひいては新たな自己ビジョンの確立につながるでしょう。
次回からは、上記の平等フィット像をもとに機会均等の象徴である就活制度への提言を行っていきます。最後までお読みいただきありがとうございました!


参考文献

  1. rica. [おすすめTED解説]選択肢の多さがもたらすパラドックス. TED English Channel TEDで英語とライフハックを学ぶブログ. https://ted-english-channel.com/2020/08/the-paradox-of-choice/

  2. 阿部学.(2011). ミメーシス概念がしめすキャリア教育の教育方法への示唆 ―大澤真幸・宮台真司『「正義」について論じます』をたよりに―p.27

  3. md345797. 複雑ネットワークの理論(1) 「スモールワールド」ネットワークの集合的ダイナミクス. 一人抄読会.https://syodokukai.exblog.jp/20760933/

  4. 自己信頼 現在の自己、将来の自己に対して信頼と希望をもっていること.Recruit Works Report 2012

  5. 山口周.これからの時代、「問題解決に長けた人」はオールドタイプとして急速に価値を失っていく.新R25.2019.https://r25.jp/article/721640326239841648

  6. 古屋星斗.人生を豊かにする、キャリアの“仮面”という補助線.ワークス1万人調査から見るしごととくらしの論点.https://www.works-i.com/project/newcareer/issue/detail001.html

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