サマリー:平等フィットを学問的に考察する試み(Futurist note第1回)
1.0サマリー作成にあたって
こんにちは、VARIETASのFuturistのRentaです! VARIETASは、構造的な問題によって発生するひとりひとりを取り巻く摩擦(=フリクション)がゼロな社会(=Friction0)を実現することを目指すスタートアップ企業です。
以前、Futurist note第一回を投稿しました。そのnoteは1万字使ってFuturistのあり方やアプローチを説明したものです。 しかし、さすがに1万字は長いと判断し、今回はそのサマリーを作成しました。
今後も1万字前後のnoteは毎月連載していきますが、それと合わせてサマリーも作成していきます。メインメッセージや世界観をとりあえず知りたい!という方はサマリーを、論証や詳しい説明を聞きたい!という方は、以下の1万字の記事をぜひお読みください!
2.0Futurist noteで行うこと
2.1Futuristとは何か
このnoteは今後連載していくFuturist noteの一本目のサマリーなので、この節では
Futuristとは何なのか
何についてのnote記事を連載するのか
を示します。
Futuristは、未来学者であり、あるべき未来像を示すことをミッションとしています。
その方法は学問的アプローチを使うことです。具体的には以下です。
あるべき未来像において大事にしたい価値観を示す
あるべき未来像に関して、学術的な議論に展開できる問いを示す
価値観に基づいて、あるべき未来像のブラッシュアップや問題点の指摘に学問を使う。
そしてFuturistが実現したい未来像は「平等フィット」であり、これについては次節で論じます。
2.2平等フィットとは何か
平等フィットとは、個性学の権威であるトッド・ローズ教授が提唱したもので、VARIETASが大切にしたい概念の1つです。具体的には、
とされています。
Futuristは平等フィットの概念に共感しています。ひとりひとりの個性が、誰にも邪魔されずに社会でフィットすることを重視しているからです。
しかし、平等フィットが実装された社会やプラットフォームはまだ実現されていません。
よって、平等フィットに向かって行動を起こすことは困難です。
であれば何が平等フィットか見えるようにしたらいい!というわけで「あるべき未来像を示す」ことをミッションとするFuturistの出番というわけです。
2.3自由と平等フィットにどのような関わりがあるのか
Futuristは、自由を大事にしたいという価値観を持っています。
そして人間の自由を大切にしたいので、平等フィットの概念に共感しています。ひとりひとりの個性が、誰にも邪魔されずに社会でフィットすることを重視しているからです。
しかし、現状としては人間が社会に縛られてしまうこともあります。能力主義がその好例です。
アメリカの政治学者であるマイケル・サンデル教授は、能力主義を批判して次のように述べています。
このような事態を防ぐためには個人が社会に合っている状態が全体に広がっていること、つまり平等フィットが必要です。
ここで強調したいのは、必ずしも「社会にフィットしている=社会で活躍できる=お金を稼げる」ということを意味しないということです。
2.4指針となる問い:「何が平等であることが平等フィットにおいて大事なのか?」
ここまでを踏まえて、Futurist noteで指針としたい問いを示します。それは「何が平等であることが平等フィットにおいて大事なのか?」というものです。
平等フィットには嗜好や経済活動、社会制度など様々な観点が必要です。
そうしないと、何をもってしてフィットしているのか分からないからです。平等フィットの提唱者であるトッド・ローズ教授は、平等フィットを
機会均等に代わる社会制度として見ています。
これを明らかにするために、「何が平等であることが平等フィットにおいて大事なのか?」という問いを掲げます。次章では、その問いに答えるための構造を示し、Futurist noteの連載スケジュールを提示します。
3.0平等フィット論の構造
平等フィット論の構造を示します。
A.人間の本質
B.人間の本質を踏まえた際の害
C.人間の本質が充実される社会
D.現状の社会と人間の本質が充実される社会のギャップ
E.ギャップを埋める原理
まずAにおいて、社会制度を導出する際、どの個人を縛るものでもあってはならないので、人間の本質をまず考察します。
次にBでは、人間の本質がもたらしてしまっている社会的弊害を指摘します。何を直せば良いのか可視化するためです。
Cでは、人間の本質とこのnoteなどでの議論を踏まえると、どんな社会が理想なのか考えます。
Dでは、理想の社会と現状の社会のギャップを示し、Eではそのギャップを埋める原理を示します。
Futuristの進め方として、学術的な問いを展開することを最初の方で示しました。これから、毎月1本のペースで、A~Eに関する問いとその回答を示すnoteを書いていきます。具体的には以下のようなスケジュールです。
A.人間の本質とは何か
2023年10月 「人間の本質は自然法則からの自由であり、それは社会の構成によって為される」
11月 自由な人間はどのように社会を構成するか
B.人間の本質を踏まえた際の弊害は何か
12月「人間の本質は自由であるにも関わらず、社会的抑圧が確認されている。それはどんなものか」
C.人間の本質が充実される社会とは何か
2024年1月 人間の本質は自由であるのに、社会的抑圧が起きてしまうのはなぜか
2月 人間の本質が充実される社会とはどんなものか
D.現状の社会と人間の本質が充実される社会のギャップは何か
3月 現状の社会と人間の本質が充実される社会のギャップは何か
4月 人間の本質が充実された社会はこれまで実現されてこなかったのか
E.ギャップを埋める原理はなにか。「何の平等」が平等フィットにおいて大事なのか。
5月 「何の平等」が平等フィットにおいて大事なのか
6月 その原理は本当に機能するのか
追記(2024年2月24日)
第5回までの平等フィットを巡る考察を続けた結果、以下のようにスケジュールを変更することになりました。
2023年10月 人間の本質は自然法則からの自由であり、それは社会の構成によって為される
11月 自由な人間はどのように社会を構成するか
12月人間の本質は自由であるにも関わらず、社会的抑圧が確認されている。それはどんなものか
2024年1月 人間の本質は自由であるのに、社会的抑圧が起きてしまうのはなぜか
2月 「何の平等」が平等フィットに大事なのか
3月 就活への提言1(就活共通テストについて)
4月 就活への提言2(就活共通テストの拡張可能性)
5月 Futuristの視点でダークホースを読み直す
2024年1月まではスケジュール通りですが、2月からスケジュールが変わっています。
2024年3月の問いである「現状の社会と人間の本質が充実される社会のギャップは何か」は2024年の1月で十分に探求できました。
そこで、2024年2月のnoteで平等フィットの全体像を示します。
ここまでで平等フィットの理論的な面の整理が終了するので、具体的な状況への適用を試みます。まずVARIETASから「就活共通テスト」というプロダクトがリリースされますので、3月は平等フィットと「就活共通テスト」の関係性について、4月はその拡張可能性について論じます。
5月のnoteは平等フィットという言葉の原典であるトッド・ローズ著「ダークホース」をFuturistの視点で読み直す、ということを行います。
この変更によって平等フィットの具体的な側面への言及が増えますので、ぜひお読みいただけると幸いです。
まとめ
冒頭においてFuturistの議論の進め方を以下のように示しました。
VARIETASのFuturistとして、あるべき未来像において大事にしたい価値観を示す
あるべき未来像に関して、学術的な議論に展開できる問いを示す
価値観に基づいて、あるべき未来像のブラッシュアップや問題点の指摘に学問を使う
そして人間の自由のためには平等フィットが必要とし、「何が平等であることが平等フィットにおいて大事なのか?」という問いを掲げ、学術的な議論の準備としました。最後に、学問的知見によって問いに答えるために、このnoteのスケジュールを示しました。
次回は「人間の本質とは何か」ということを考えます。平等フィットが人間にフィットしているかを考えるためには、そもそも人間がどんな存在なのか知る必要があるからです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
出典
1)トッド・ローズ、オギー・オーガス. Dark Horse(ダークホース) 「好きなことだけで生きる人」が成功する時代. 三笠書房. 2021. p.284
2)HUFFPOST「能力主義」はなぜしんどい? マイケル・サンデル教授と平野啓一郎さんが語る日本社会の問題