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冬の野草ラーメン
※今回は対象が植物ですので、画像を載せています。
※一つ、「オオトキワツユクサ」という新しい野草にチャレンジしています。本文にて詳しく述べますが、多分真似しない方がいいんじゃないかと思います。……真似しないでください。
冬です。寒いですね。
この季節は食える野草がなかなか無くて、野食にも難儀します。愛娘ペルセポネーのいない間、デーメーテールの悲しみは相当なものらしい。
しかし、食える野草はあります。神が実りを与えようとしないならば、こちらから見つけに行けばよい。
一年草はほとんど枯れちゃってるので、多年草を探せば良いのです。
この時期にも手軽に入手できるもののうち、「食べられる野草」として有名なものでは、オオバコ、ギシギシ、タンポポなどが挙げられます。
オオバコとタンポポは今回食べているので、ギシギシだけ、わかりやすい紹介サイトを載っけておきますね。
その上で今回食べた野草はこちら。
①、オオバコ ②、トキワツユクサ
③、タンポポ ④、セリ
採集の様子は後ほど書きます。まずはこいつら、イカれたメンバーを紹介するぜ!
○紹介
①、オオバコ
タンポポに並んで、道端などでしょっちゅう見かけている(いた)人が多いのではないでしょうか。
特徴はなんと言ってもこの花穂。
こいつ食えるんですよ。葉は薬草として、漢方にも使われます。食べれば鎮咳去痰や強壮効果があり、炙った葉を貼れば腫れ物にも効果があるだとかなんとか。利尿・整腸作用まであるらしいですね。
これについてはですね、YouTube投稿者である「ホモサピ」さんの「タニシでダシ取ってラーメン作ってみた」という動画を観てからずっと食べなきゃなと思ってたんですよ。
今回はこいつを探しに出たと言っても過言ではない。
②、オオトキワツユクサ
まず、ツユクサってご存知ですか?これ、食べられる野草として有名なんですよ。
こいつとかなりよく似ているんですよね。そして、ツユクサは一年草ですが、オオトキワツユクサは多年草です。つまり、冬でも生えているわけですね。今回は後者、オオトキワツユクサを食べました。
……はい、ツユクサと「かなりよく似ている」だけです。この時点では、あまりにも命知らずな判断です。
しかしここで一先ず、こいつの紹介を終わらせます。「採集編」にて、より詳しく述べます。話が長くなるので…。
③、タンポポ
これは有名ですよね。タンポポコーヒーなどをご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。コーヒーを抽出できるのは根ですが、葉も健胃薬などとして用いられてきたようです。
タンポポの根はあまりに深すぎて抜くのが超大変なので、葉を食べます。
タンポポの葉は独特の香りがあり、苦味が強いです。ちぎると白い液が出てくることから、「乳草」とも呼ばれますね。小学校の校庭で飼ってたウサギが好きだった。
今回、採った数は少なめです。主役はオオバコとオオトキワツユクサですからね。
④、セリ
(「食べられる」という文脈の上では)タンポポ以上に有名な春の味覚ですね。スーパーなどにも売られるほどメジャーな野草です。
あったので少しだけ採ってきました。
今回食べたのは、河原などに生えているような「縦に長く伸びていく」タイプですが、セリ特有の香味をより味わいたいならば、田んぼなどに生えているような「横に這うように伸びていく」タイプのものがお勧めです。
○採集
これは昨日、木曜日の出来事です。
昼に起きましたが、とにかくやる気が出なくて出なくて、体もとにかくだるい。
最近ずっとだるかったんですけど、ピークが来た感じありましたよ。
というわけで、こんな時は、寒さに怯えて引きこもり、縮こまるのではなく、積極的に立ち向かっていく。これに限るんですよ。
流れ、変えていこうぜ。
切り替えていくぞ。ちょっと食える草探してくる。
— 村人D (@varietas_1) January 13, 2022
実家の近くのよく行くスポットに。
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道凍ってるけど大丈夫そ?
目当ては「紹介」①で挙げたオオバコ。炒めて食べるのが美味いらしい。
こんなもんすぐに大量入手できるやろ!と思ってたんですけど…無い。
マジで無い。
しかし、まあ、無い。あんなによくあるのに。
見てるところが悪いのかな。最近この辺りもあんま歩いてないしな。色々変わったのかも、というか風花が舞ってきたんだけど。
寒いよ。BUMP OF CHICKENは「冬が寒くって本当に良かった」と言いますが、それは自分の右ポケットに、冷えた左手をお招きする相手がいるからそんなことが言えるんですよ。俺が右ポケットにお招きしてんのは雑草を入れるためのビニール袋ですよ。泣きそう。
まあいいや、なんとなく水辺に行ってみます。ちなみに、うちのギンちゃんはここの出身です。
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冬というのもあって、水が少ない
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こっちからみて一番左の子がギンちゃん
あっこれ、ツユクサか?
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美味いらしいよな、ツユクサ。
でも冬に生えてるっけ?
そもそも、こいつら夏あたりに花つけてた気がするけど、白かったような。
調べてみると、「トキワツユクサ」という名前が出てきました。
更に調べると、「オオトキワツユクサ」。多分こいつだ。トキワツユクサはそこそこ「食べた」って記述も出てくる。しかし……、オオトキワツユクサは少ない。そもそも情報量が少なすぎて、毒の有無もわからん。
さて、ここで先程、「紹介」-②にて省略した「オオトキワツユクサに関する説明」に入ります。
まず「トキワツユクサ」という植物についてご紹介します。
トキワツユクサは南アメリカ原産の植物です。昭和初期に観賞用として持ち込まれ、その後野生化して帰化植物となったようですね。その繁殖力の強さから在来種を駆逐してしまう恐れがあるとされ、要注意外来生物にも指定されています。
ここまではオオトキワツユクサと同じ。
さて、このトキワツユクサ、ネット上で調べると「食べられる」という内容と「食べられない」という内容が大体半々くらいで出てきます。
しかし、共通しているのは「(おそらく)無毒である」ということです。
そして、“トキワツユクサを食べているYouTube動画”も出てきます。
トキワツユクサは日陰や水辺に生えます。そして、この時期にも地上の部分が枯れず、夏には白い花を咲かせます。
この特徴に関しても、今回食べたオオトキワツユクサと同じです。
ところが、トキワツユクサの場合は葉裏と茎が茶褐色がかった紫色であるのに対し、オオトキワツユクサは葉裏と茎も緑色であるようなんです。
そして、トキワツユクサと比較し、オオトキワツユクサはより広範囲に生息しているようなんです。
なぜ、こんなところで「トキワツユクサ」の紹介なんかして、話をややこしくしたのか。答えは簡単、ややこしいからです。
こちらをご覧ください。
クリックするのがめんどくせぇ!という方向けに軽く要約しますと、
【トキワツユクサとオオトキワツユクサは混同しやすいぜ!実際、ネット上でトキワツユクサに関するサイトを見てると、混同してるのもあるぜ!】
みたいな感じです。
とはいえこの辺りは、「トキワツユクサであっても葉裏と茎が緑色の場合もある」だとか、「オオトキワツユクサにはミドリハカタカラクサという近縁種もある」だとか、もうややこしくてしゃーないです。ですので、この辺りについては割愛します。
とりあえず、ここで僕は考えた。
「トキワツユクサとオオトキワツユクサは混同が起こりがちで、なおかつオオトキワツユクサの方が広範囲に生えている。
ならば、トキワツユクサを食べたと言う人達の中には、実際のところオオトキワツユクサを食べている人も多くいるのではないだろうか?」
ここで、先述した“トキワツユクサを食べているYouTube動画”を見てみました。
……これオオトキワツユクサじゃね?
いや、付け焼き刃の知識に基づく判断なのでどうとも言えないですが…、もうオオトキワツユクサにしか見えない。
そして、この動画の投稿者さんですが、件の動画を投稿したのが2019年。結構な量を食べてましたが、その後も元気に動画投稿をしている。
行ってみるか。白黒つけようぜ!
(いや、これで僕が食べて平気でも、白黒つくわけじゃないですからね。安全性の保証にはなりませんからね。本当に)
オオトキワツユクサ、ゲット。
ついでに小さいセリも見つけた。まだ採るべきじゃないだろうが…、3〜4本程度ならフライングさせてもらってもいいだろう。すみません、ちょっとください。
しかしこれだけでは、あまりにも寂しい。そもそも本来の目的はオオバコ。こいつを炒めて、ラーメンに乗っけて食べたいんだ。
というわけで、あぜ道に行ってみる。
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あった!この特徴的な穂、オオバコだ!
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しかし、まだ小さいな…いくら冬に強いと言っても、今はこの程度が精一杯か。
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できるだけ状態の良い葉っぱを、できるだけもらっていこう。
あ、タンポポ。
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タンポポも貴重な食材ですね。ただ、やはり春〜夏のそれと比べたら、「今は雌伏のとき」って感じ。
タンポポも数枚もらっていこう。
もうちょいガッツリ、オオバコを食べたかったが…まあ仕方ない。冬だしこんなもんか、と思って、帰路につきました。
しかし。
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なんか緑多いな…?
冬の原っぱは枯れ草がメインなので、この緑の多さはかなり目を引く。行きは気付かなかったんですけどね。帰りは散々荒れ地を見た後だから、気付きやすいのだろう。
降りてみるか…。何かが俺を呼んでる気がする。
「水辺」で「何かが呼んでる」って、なんかホラーのニオイしかしないんですけど、本当に何かが自分を呼んでる気がしたんですよね。
引き寄せられるようにちょっとちょっとちょっと、
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なんやこれ。
でかくね?多くね?
というわけでして、マジで興奮のあまり、呼吸が荒くなって足がガクガクしてました。雑草相手に興奮しまくるその姿、完全に不審者である。
いい歳こいて平日の真っ昼間から食える草を探し田舎道を彷徨ってるだけでも相当な不審者なんですけど、一つ上のステージに到達しましたね。
というわけで今回の成果です。
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左上がタンポポ、左下がオオトキワツユクサです。
真ん中上があぜ道のオオバコ、真ん中下が川辺のオオバコです(こうして見比べると一目瞭然ですね)。
そして右上がセリ、右下が俺の手です。
これより調理に入ります。
○調理
今回は4種類あるので、
A.オオバコとタンポポは炒め、
B.オオトキワツユクサとセリは茹でる、
ということにします。
それをC.ラーメンに乗っける。
まずはAです。
1、フライパンに油をひき、オオバコとタンポポを入れ、中弱火で炒めます。
2、しんなりしてきたらこちら、
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クレイジーソルト。
まあ、「クレイジー」だなんて、こんなに常識的な僕には相応しくない商品名です。でも美味いから仕方がない。
3、火を強火にして、10〜15秒ほど強めに炒め上げたら、皿に移します。
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お、この時点で割とうまそうじゃないですか?菜っぱの油炒めみたいですよね。まあ菜っぱの油炒めなんですけど
次にBです。
1、炒めるのに使ったフライパンをキッチンペーパーで拭き、そこに今度は水を入れて沸騰させます。
2、沸騰したらブツを入れます。
3、10秒ほど茹でたら、そのまま火を止めて放置。
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最後にCです。
ラーメンを茹でます。
使うのはこれ。
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野草や山菜に合う袋麺、No. 1です。
これにですね、茹でたセリをドサっと乗っけて食うとですね、これがウマいんですよ。サッポロ一番塩ラーメンに合わない野草(山菜)は、あんまり無いです。
先述したホモサピさんも、これを使ってタニシラーメンを作ってました。
これはパッケージの指示通りに作ります。今回はタマゴを落としました。
では盛り付けましょう!なお、(俺に盛り付けのセンスは)ないです。
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完成。
○実食
うまくね?いやうまいよこれ。
まずは炒めた2種類。オオバコ、香ばしいような(いい意味で)青くさいような、独特の風味がありますね。
タンポポも負けてない。特有の強い香味が鼻に抜けていき、心地よい。
そして、これらとクレイジーソルトが、またよく合う。このままでも食べられる、そういうレベルで美味しい。
対する茹でた2種類。オオトキワツユクサは、とにかく風味にクセが無い。クセが強めのオオバコやタンポポと良い対比になっている。味付け無しで茹でたのも大きいかな。
ただ、セリは流石に少なすぎたようで、全く風味が来ない。まあ春を待とう。
いずれも野生のものですし、歯応えはかなりのものです。ジャキジャキとした歯応えが脳に響く。
ところがですね、噛み切れるんですよ。これは相当なアドバンテージです。というのも、野草を食べる時に良くあるのが、繊維が強すぎて噛み切れないパターンなんですね。しかし、これらは噛み切れる。ストレスフリーに食べ進めることができました。
サッポロ一番塩ラーメンとの相性も◎で、素晴らしい。
あっという間に完食。ご馳走様でした。
さて、結局「オオトキワツユクサは安全なのか」。
クソつまらん結論ですが、どうとも言えません。だって僕が安易に勧めて誰か食っちゃって体調崩したりしたら嫌だもん…。
ただ、これ、(「採集」の冒頭でも言いましたが)昨日の出来事なんですよね。
2022年1月14日現在、僕が元気なのは確かです。
ただ、汚い話で申し訳ないんですけど、変なもの食った時に特有の「水みたいな下○」が一回だけ出ました。
それだけですがまあ…、多分食わない方がいいです。とはいえ、オオトキワツユクサのせいなのかどうなのかも分からないので、僕はもう一度、次はオオトキワツユクサだけ、今回と同じくらいの量を食ってみます。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。今回は植物ということで、インパクトが弱かったでしょうか?
次はアオイソメでも食べてみようかなと思います。