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精索静脈瘤手術体験記(1)

はじめまして。クサナギと申します。現在、都内在住の30代の会社員で、専業主婦の妻と二人暮らしです。このnoteは、わたしの精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)の手術体験をシェアするために開設しました。

このnoteの記事について

昨年(2021年)わたしは精索静脈瘤の手術を受けました。夫婦の不妊治療の一環として受けた手術ですが、術後にいろいろと検索してみても、同様の手術を受けた方の体験記があまり見つかりませんでした。そこで、これから同じような手術を受けようとしている方々の参考になればと思い、個人的な記録もかねてこのnoteを書くにいたった次第です。

体験記は、全4回に分けました。

いま読んでいただいている精索静脈瘤手術体験記(1)では、この手術を受けるにいたった経緯を説明するために、おもにわたしたち夫婦の「妊活」について書いていきます。具体的な手術の詳細にのみ興味がある方は、この先は飛ばして、以下の記事に目を通していただければ幸いです。

精索静脈瘤手術体験記(2)

精索静脈瘤手術体験記(3)

・精索静脈瘤手術体験記(4)[後日公開]

わたしたち夫婦について

わたしたち夫婦は、夫35歳、妻30歳で結婚しました。わたしは会社員、妻は専業主婦です。妻は遅くとも35歳までには出産したいという希望をもっていたので、結婚から約2年後に、自然な流れとしてゆるやかに妊活を始めました。

妊活をはじめた最初の年は、いわゆる「自己タイミング法」を試しました。日本生殖医学会のHPによると、タイミング法とは、

排卵日を予測して性交のタイミングを合わせる治療です。まず、排卵予定日より前に、経腟超音波検査で卵巣内の卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測定します。一般に、卵胞の直径が20mmくらいになると排卵するため、この計測値から排卵日を推定します。補助的に、尿中や血中の排卵を促すホルモン(LH)の値を測定して、排卵日を予測することもできます。排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われています。

http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa08.html

ちょっと専門的で難しいですね。わたしたちが行なった「自己タイミング法」は、専門医の指導のもとにおこなうものではなく、より一般的なものでした。つまり月に一回、妻の基礎体温をもとに排卵日を推定し、妊娠しやすいその前後を狙って子作りを試みるというものです。

しかし、タイミング法を始めて一年が経っても、妻はいっこうに妊娠しません。妊活をはじめて一年妊娠しないというのは、いわゆる「不妊」の定義に相当します。日本産科婦人科学会のHPによると、

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものをいいます。日本産科婦人科学会では、この「一定期間」について「1年というのが一般的である」と定義しています。

https://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=15

わたしも妻も元来のんびりした性格ですが、この段階になってはじめて「もしかしたら、どちらかの身体に問題があるのかもしれない」と焦りはじめました。そこで、それぞれ近所の婦人科で精子・卵子の検査をすることにしました。夫(わたし)37歳、妻32歳のときです。

精液検査①

二人で検査を受けたところ、所見に問題があったのはわたし(夫)のほうでした。精子の量は問題なかったのですが、運動率の数値が悪く、自然妊娠は絶望的ではないがやや難しい、というのが担当してくれたお医者さんの所見でした。より平たく言うと「自然妊娠に至る可能性は低いが、まったくないとは言えない」といったところでしょうか。

このnoteを読んでくださっている方々のなかには妊活中のご夫婦もいらっしゃると思います。そこで、参考までに具体的な数値も挙げておくと、この最初のクリニックでは「精子自動性指数(Sperm Motility Index:SMI)」をもとに担当医の所見をもらいました。それによるとわたしのSMIは「38」で、基準値である「80以上」を大きく下回るものでした。

もしタイミング法で妊娠できないとなると、そこから先は人工授精、顕微授精……といったほかの治療法に進んでいくしかありません。ですが、わたしたちが検査をしたクリニックの方針なのか、お医者さんのほうからその先の積極的な提案はありませんでした。妻の身体にまったく問題がないということも、もしかしたらその一因だったのかもしれません。実際、身体に問題があるのは明らかにわたしの方でしたので、妻と相談し、わたしのみ男性不妊専門のクリニックで再度検査を受けることにしました。

精液検査②

最初の検査から一ヶ月後、東京都内の男性不妊専門のクリニックで、二度目の精液検査をしました(ここは保険適用外のクリニックでしたので、受診のたびに5,000円程度の再診料がかかりました)。すると、一度目とほぼ同じ検査の結果、やはり精子の運動率が低いという結果を突きつけられました。

ただ、このクリニックでは(さすがに男性不妊が専門ということもあり)検査結果が出たあと、より具体的な原因を探るための精密検査を受けることをすすめられました。これは通常の精液検査よりも高額です。わたしが「精索静脈瘤手術」という言葉をはじめて耳にしたのは、その精密検査の報告を聞いているときのことでした。そのクリニックの担当医師によると、わたしの精子の状態は、この手術を受けることによって大幅に改善する可能性があるということでした。

提示された手術の料金はそれなりに高額でしたが、それでも人工授精、顕微授精……と長い治療が続くことに比べれば、ここで手術を受ける方がずっとましだ、と直観的に思いました。しかしその場で即決はせず、帰宅して妻と相談し、数日熟慮したうえで、クリニックに手術を申し込む電話を入れました。

精索静脈瘤手術体験記(2)に続きます。


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