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精索静脈瘤手術体験記(2)
はじめに
この記事は精索静脈瘤手術体験記(1)のつづきです。
この精索静脈瘤手術体験記(2)では、手術の予約から当日までの流れについて書いていきます。手術当日のことに興味のある方は、次の記事に目を通していただければ幸いです。
精索静脈瘤
そもそも精索静脈瘤(せいさくじょうみゃくりゅう)とは何でしょうか。わたしは、自分が男性不妊の精密検査を受けるまで、そもそもこの言葉を聞いたことがありませんでした。
後日ネットでいろいろと調べてみると、「精索静脈瘤」という言葉は、男性不妊の原因を説明した記述に必ずと言っていいほど出てきます。いくつか見てみましょう。
精索静脈瘤とは精嚢内の静脈が怒張して瘤状に太くなる状態のことをいいます。精索静脈瘤は、男性の6人に1人に認められるとされ、思春期以降に認めます。また男性不妊症を認める男性に頻度が多いことが知られています。精索静脈瘤の存在は、精子の産生を低下させ精子の質を低下させるため不妊の原因になるとされています。しかしながら精索静脈瘤があってもすべての方の精子の産生が低下するわけではありません。
精索静脈瘤は、一般男性の15%に認められ、男性不妊症患者の40%以上に認められ、後天性の男性不妊症(二人目不妊)の78%の原因です。WHOの報告では、9,034人の不妊男性の調査で、精液所見が悪い男性の25.6%で、精液所見が正常の男性の11.7%で精索静脈瘤が認められました。
要するに「精巣内の静脈の肥大化」ということのようですが、この静脈瘤がしばしば精子の質や生産力を低下させ、不妊の原因につながるというのです。この精索静脈瘤についてはまだわかっていないことも多いようなのですが、これまでのケースでは、静脈瘤の手術によって多くの不妊患者さんの精液所見に改善が見られるということでした。
同意書提出
精密検査の結果を受けとった日に、クリニックのスタッフの方から精索静脈瘤手術についての説明を受けました。そのとき渡された書類(同意書)には精索静脈瘤の治療に関する詳細が記されていましたが、煩雑になるためここでは省略します。この同意書はいったん家に持ち帰り、実際に手術を受ける場合は、後述する術前検査の日に「住所・氏名・日付」を記入して持参するという流れです。
複数の男性不妊クリニックのHPを読み比べてみると、精索静脈瘤手術には、クリニックによって大きく二つの違いがあるようです。
①保険適用 or 適用外
②一泊二日 or 日帰り
2018年4月より、精索静脈瘤の手術は保険診療の対象になったようです。わたしの場合、二度目の精液検査をしたクリニックでそのまま精密検査→手術という流れになったので、手術前はそのことを知る由もなく、そのクリニックで保険適用外の手術を申し込みました。
わたしが受診した男性不妊専門のクリニックの治療は、すべて保険適用外でした。そのため、毎回の再診料が5,000円ほどかかることに加え、手術の金額もそれなりに高額でした。なお、具体的な金額については、後日執筆予定の精索静脈瘤手術体験記(4)にまとめる予定です。この(4)のみ、すこしデリケートな情報も含まれるので、一部有料記事とさせていただきます。
また、このクリニックの手術は「日帰り」でした。わたしの場合、もともと手術を考えてクリニックを決めたわけではないので、この点についても選択の余地はありませんでした。保険適用、ないし一泊二日の手術を希望する方は、あらかじめ該当するクリニックを調べておくことをおすすめします。
また、麻酔についても、クリニックによって局部麻酔か全身麻酔かという違いがあるようです。わたしが受けた手術は局部麻酔でしたので、術中もずっと意識がありました。そのおかげで、次の精索静脈瘤手術体験記(3)に書いたような手術中の様子も、詳しく記憶(記録)しておくことができました。
術前検査
手術の申込みをすると、まず術前検査を受けるよう指示を受けました。これは手術日の1ヶ月前から1週間前のあいだにおこなわれるもので、身体に問題がないかどうかをチェックするためのものです。内容は血液検査、心電図検査、超音波検査で、おおよそ30分ほどで終わりました。
この術前検査を受けるときに、手術の日程も決定します。このクリニックの場合、いったん決めた手術日の変更はできませんでした。そのため、事前に勤務先の仕事を調整し、手術日に大事な仕事が入らないよう、念入りに準備をしました。
術前準備
当日の手術にむけて、特に大きな準備は必要ありませんでした。クリニックから言われていたのは、コーヒーや紅茶など、利尿性の高い飲み物は当日避けること。その一点のみでした。
それに加えて、わたしが個人的に準備したことを二つ書いておきます。
ひとつは、あらかじめ自分で剃毛をしておくことです。もともとわたしはスポーツをする関係上、体毛を剃るためのシェーバーを日常的に使用していました。剃毛は術前にクリニックの方がおこなってくれると聞いていたのですが、その作業時間の短縮になればと思い、手術前日に精嚢まわりの体毛を処理しておきました。
もうひとつは、先にも書いたように、確実に手術ができるよう仕事の調整をしておくことです。わたしが受けた精索静脈瘤手術は日帰りでしたので、手術当日、翌日、一週間後と、計3回通院する必要がありました。このうち手術日は変更がきかなかったので、すくなくともこの日は確実に休めるようにしました。翌日(消毒)と一週間後(抜糸)については多少の融通がきくとのことでしたが、この両日も半休が取れるように、職場の仲間に協力をしてもらいました。
わたしの勤務先の場合、年休取得のさいに詳細な理由を聞かれることはなかったのですが、個人的に理由を話さなければならなかったときは、「ちょっと足を軽く手術をすることになって」と曖昧にごまかしていました。これは恥ずかしいからという理由以上に、不妊治療の手術というと、相手が反応に困ってしまうのではないかという懸念によるものでした。
そうして無事に手術当日を迎えることができました。いよいよ本番。精索静脈瘤手術体験記(3)に続きます。