精索静脈瘤手術体験記(3)
はじめに
この記事は精索静脈瘤手術体験記(2)のつづきです。
手術開始まで
精索静脈瘤の手術にはおよそ2〜3時間かかります。いったん手術台に上がってしまうと排尿ができないので、当日はクリニックにむかう直前に排尿を済ませ、万全の態勢で手術にのぞみました。
クリニックに到着すると、すぐに手術室に通されました。広々とした、清潔そうな手術室です。まずは部屋のすみで服を脱ぎ、持参した半袖Tシャツ一枚に着替えます。この時点で下半身には何も身につけていません。はじめのうちはそれなりに恥ずかしかったですが、いさ手術が始まると、もうそんなことは頭から吹き飛んでしまいます。
その後すぐに手術台にあがり、手術の準備が始まりました。ここでは3名のスタッフの方々が並行して作業にあたってくださいました。内容を大きく分けると、剃毛、消毒、血圧測定、超音波検査、そして点滴です。点滴の中身は抗生剤とのことでした。これら一連の準備に、およそ30分ほどかかります。
準備が整うと、いよいよ手術を担当してくれる先生が現われました。わたしはすでに精液検査・問診・術前検査で計5回ほど顔を合わせていたので、同じ先生に担当していただけたことで安心感が高まりました。先生から開始の声かけがあり、いよいよ手術が始まります。
手術開始
前回の精索静脈瘤手術体験記(2)にも書いたように、わたしが受けた手術は局部麻酔でした。ですので、当然のことながら術中はずっと意識があります。手術中、基本的にはずっと目をつぶっていたのですが、当日の記憶にもとづいて詳細を書いていきます。
そもそも、このnoteを書こうと思った最大の理由は、この手術がそれなりに痛かったことです。わたし自身は事前に誰かの体験談を読むことはできませんでしたが、もしもそのようなものが読めていたら、もうすこし心の準備ができていたのではないかと思います。以下はあくまでわたし個人の体験談ですが、これが同じく(局部麻酔での)精索静脈瘤手術を予定している方の参考になることを願ってやみません。いまお読みいただいている精索静脈瘤手術体験記(3)は、おもにそうした方々にむけて書いたものです。
とはいえ、わたし自身は医学の素人ですので、以下の記述に事実誤認が含まれている可能性は排除できません。あらかじめその点をご了承のうえ、読みすすめていただければ幸いです。
手術前半:麻酔・切開
まず、男性器のやや上の腹のところに局部麻酔の注射をします。個人差もあると思いますが、これがけっこう痛かったです。注射は二本ありましたが、身体の内と外(血管と皮膚?)に麻酔をかけるためのようです。
麻酔の注射が終わると、すぐに皮膚の切開が始まります。実は、手術中でこれがいちばん痛かったです。切開しているとわかったのは、麻酔後すぐに電動カッターのような音と、ほんのり焦げるような匂いがしたからです。この施術中、わたしがあまりにも痛がって悶絶していたので、先生がそれを察して麻酔を追加してくれました。麻酔の効きについては個人差があるようなので、もともと麻酔が効きづらい体質の方は、ここでかなりの痛みを覚悟しておいたほうがよいと思います。
手術後半:結紮・縫合
切開が終わると、精巣の近くにある細い静脈が次々に縛られていきます。これを結紮と言うそうです。実際にこの目で見ていないのでわかりませんが、事前に渡された説明書を読むかぎり、顕微鏡を使って行うかなり細かい作業のようでした。ここでは詳しい説明は省きますが、精索静脈瘤の治療としておこなわれる結紮術には大きく二つの方法があり、今回わたしが受けたのは「顕微鏡下精索静脈低位結紮術」と言うそうです。
施術中、執刀している先生からも声かけがあったのですが、結紮の最中はつねに身体(血管)が引っ張られるような感覚があります。わかりやすく言うと、自分のお腹の中身がピンセットでぐいぐい引っ張られるような、なんとも言えない感覚でした。
結紮そのものにかかった時間は30〜40分ほどだったと思います。ひと通り手術が終わると、最後に切開部を縫合します。このときも(切開ほどではないですが)若干の痛みがありました。
手術後
以上の手順を左→右と繰り返しました。
終わってみると、左右両側の手術で、準備を含めて計2時間ほどで済みました。事前の説明では計3時間と聞いていたのですが、スムーズにいけばこれくらいの時間で済むということでしょう。
手術後は、30分ほど手術台に横たわったまま安静にするよう指示されます。最初にかけてもらった左側の麻酔が切れかけていたので、この時点で一度ロキソニンを服用させてもらいました。とくに痛みが強くなければ、帰り支度のときに服用すればいいようです。
手術終了から30分後、服を着て帰り支度をします。処方された薬は抗生剤が一種類、痛み止めが二種類です。痛み止めは普通のロキソニン(60mg)ですが、もしも当日夜にひどく痛むようであれば、もう一種類の座薬を服用するようにと伝えられました。座薬のみ、冷蔵庫で要保存です。
手術後、患部にはそれなりに痛みもありましたが、帰りは普通に一人で帰宅しました。このクリニックでは配偶者の方が付き添いに来ることもあるようですが、基本的には普通に歩ける程度の痛みなので、そこまで心配しなくても大丈夫です。二つだけ避けたほうがよいのは、「細身のパンツ」と「満員電車」です。日帰りとはいえ手術であることには変わりないので、帰り道になるべく患部を圧迫することのないよう、ゆとりのある帰宅をお勧めします。
なお、手術当日は入浴ができません(シャワーも)。翌日の消毒が終わるとシャワーが浴びられるようになり、一週間後の抜糸が終わると入浴が可能になります。
おわりに
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。わたしの「精索静脈瘤手術体験記」はこれで終了です。
最後の(4)では、手術を受けたクリニックやかかった費用など、すこし突っ込んだ話もしていきたいと思います(ややデリケートな話題のため、そちらは一部有料とさせていただきます)。よろしければ、あわせてお読みいただけると幸いです。
・精索静脈瘤手術体験記(4)[後日公開]