雨、ホームにて
向かい側のビルから見える蛍光灯が、寂しそうに白を放つ。最寄りの駅にて電車を待つ昼前のホーム。電光掲示板は既に三周した。時折、雨の打つ音が強まる。冷たい風が体温を奪っていく。空はどこまでも灰色で、太陽なんて見えやしない。雫が滴る傘を装備した人間が、わたしの横に並ぶ。雨音だけが響いていた耳に、女性のアナウンスが割り込む。遠くからダイヤル通りに働く機械の箱が迫ってくる。決められた位置に停止したそれは、口を開き、人間を吐き出す。わたしは吸い込まれる様に、吐き出した分の補充を自ら志願したかの様に、その大きな口に飲み込まれにいった。扉が閉まる。最後に外から聞こえたのは、相変わらずの雨音と、出発の歌だけだった。
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