日本の深刻なエンジニア不足とその対策:海外人材の活用について
日本の人口はこの1年で50万人以上減少
この記事では、日本の人口減少に伴いIT人材が深刻に不足していることについての解説と、IT化が今後必要不可欠となるwithコロナ時代において、企業が取るべき対策として海外人材の活用が必須であることについてお伝えしていきます。
日本が少子高齢化していることは、日本にお住まいであればニュースなどでよく話題にあがるのでご存知の方がほとんどだと思います。実際に、ネットで調べればそれが事実とわかるデータも存在します。総務省が公表した2020年1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査によれば、全国の人口は1億2713万8033人となっています。日本人は前年から50万5046人減少し、1億2427万1318人で、1968年の現行調査開始以来、最大の減少数かつ、初の50万超の減少となりました。
出生率は下降する一方で、亡くなる人の数は増加していき、もしこのまま政府が抜本的な改革を行わない限りは、人口減少に歯止めがかからない状況です。
引用:https://www.soumu.go.jp/main_content/000701579.pdf
IT人材は2030年までに80万人不足する
日本全体の人口減少に伴い、当然ながらIT人口も不足していきます。
いまや日本の総世帯の8割近くがスマートフォンを所有し、インターネットは私達の日々の生活に欠かせないものになりました。何か新しいことをしようと思ったらまずネットで検索しますし、若い世代ではネットやスマホがない世界なんて考えられないという人も多いと思います。
会社ではパソコンが一人一台支給され、メールでの顧客とのやり取りやオンラインミーティング、社内システムはクラウド化していくなど、オフィス勤務のサラリーマンであれば日々の業務でインターネットを使わない日はないのではないでしょうか。
それだけ重要なインターネットですが、皆さんが日頃使っているネットのサービスや、企業のシステムを裏で支えているWebエンジニアの数は圧倒的に足りない状況に陥っています。
経済産業省の発表したデータによれば、日本のIT人材不足は今後ますます深刻化し、2030年には80万人弱不足すると予想されています。
引用:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/gaiyou.pdf
海外IT人材の活用は必須課題
そのような状況の日本のIT業界において、『海外人材の積極的な活用』が今後必須の課題となってきています。
少子高齢化と人口減少に伴う就業者数の減少を解消するための動きとして、政府は2013年に希望者全員を対象に65歳までの雇用延長を義務化(高年齢者雇用安定法改正)しました。それを機に60歳以上の就業者が増え、また、女性活躍のための取り組みを行ったこと、家計を支えるため働く女性が増えたことも関係して、女性と高齢者の就業者数は一時的に増加していますが、それでもいずれ(近い将来)天井に達すると見込まれています。
高齢者の活用についてですが、Webエンジニアにおいては、常に新しい知識を学び続ける必要があり、見たことのないシステムを新たに作り出すという意味で柔軟な発想が求められる世界なので、20代〜40代くらいまでが現役として最大限活躍できる年代と言われています。
50代以上でも活躍している方はもちろんたくさんいらっしゃいますが、自分でコードを書くというよりは、マネジメント職などエンジニアを管理する立場になっているケースが多いようです。
女性のWebエンジニアはそもそも母数が少ないといった状況があります。
そこで、この人材不足を埋めるのに、注目すべきは海外の若手人材の活用です。
Varealではこの問題を解決するため、海外拠点としてベトナムに子会社を設立して、優秀なエンジニアを集めて開発体制を作っています。
次でなぜベトナムなのかを解説していきます。
ベトナムがシステム開発委託先に向いている理由
ベトナムは日本人にも人気の観光地ですね。旅行で行ったことがある人は、食や文化については知っていると思いますが、実はここ数年、海外にシステム開発を委託する際に、委託先の国としてベトナムの人気が高いことはご存知でしょうか?
日本の企業が海外へシステム開発を委託することを、オフショア開発と呼びます。中国、東南アジアやインドなど、人口が増加していて、かつ日本と比較して物価が安い国にシステム開発を依頼することで、優秀な人材を安価に確保できるメリットがあると言われてきました。
オフショア開発の委託先として、20年前は中国に人気が集まっていました。日本と同じ漢字を使う国であり、文化的に近いと考えられていたため、中国にシステム開発を依頼する日本企業が多かったのです。
ところが実際は、漢字を使うという点以外の文化的な違いが多かったり、日本との政治的なリスクがあったり、また、中国経済の発展に伴い物価も上昇したりしたことから、中国以外のオフショア開発先も開拓していこうという動きが出てきました。そこで注目されたのがベトナムです。
次のような理由から、ベトナムが日本企業の開発委託先として注目を集めています。
1.親日国であり、勤勉で真面目な国民性
2.平均年齢32歳で労働力が豊富
3.政府からのIT産業・教育支援が強い
4.理数系に非常に強い
1.親日国であり、勤勉で真面目な国民性
ベトナム人の国民性は日本と相性が良いと言えます。ベトナム人は真面目で勤勉、器用で性格は穏やかな人が多いと言われています。日本人に共通する性質を持っているため、一緒に仕事をする場合にコミュニケーションがスムーズにいくことが多いようです。
資格試験の勉強に燃えるベトナム人も多く、Webエンジニアのように、常に学習する姿勢が求められる職業には向いている素質と言えそうです。
また、2019年10月の厚生労働省の調査によれば、日本にいる外国人労働者数を国別に分けると、1位が中国で41万人、2位がベトナムで40万人、3位がフィリピンで17万人となっており、中国と並んでベトナム人の労働者が非常に多くいることが分かります。
日本で働いているベトナム人から母国へ日本の文化が紹介されることも多く、若者の間では日本のアニメやカラオケはとても人気があります。
日本製品もベトナムでよく使われており、バイク社会のベトナムではHONDAのバイクを街中でよく見かけます。日本文化や日本製品に触れる機会が多いため、それがそのまま日本への信頼感や敬意に繋がっているようです。
2.平均年齢32歳で労働力が豊富
2020年時点での日本の平均年齢は48.9歳であるのに対し、ベトナムは32歳となっています。
2019年の調査によるとベトナムの人口は9620万8984人で、このうち男性は4788万1061人(49.8%)、女性は4832万7923人(50.2%)、人口規模は世界15位、東南アジアではインドネシア、フィリピンに次ぐ3位となっています。
以下の図から分かるように、15歳以下の若年人口が非常に多く、今後も豊富な労働力が期待されています。
引用:https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/vn/data/vn_overview201608.pdf
3.政府からのIT産業・教育支援が強い
ベトナムでは国をあげてIT産業を支援しています。
2030年までに世界のソフトウェア製造トップ 10に入ることを目指し、IT企業に対しても積極的な援助を提供しています。
また、ベトナムではIT教育を推進しており、ベトナムの理系大学で上位にあるハノイ工科大学では、日本のODAと連携した、日本語のできるブリッジエンジニア育成プログラム(HED SPI)が設けられています。IT技術者はベトナム国内に30万人以上いるといわれています。
さらに毎年新たに5〜6万人が、教育機関などを経て輩出されており、ベトナム国内のITエンジニア数は年々増大しています。
4.理数系に非常に強い
ベトナムでは子供の数学教育にとても力を入れています。
各国の数学に秀でた高校生が参加する国際数学オリンピックでは、2002年と2015年に5位にランクイン、2003年、2004年に4 位を獲得し、ハノイで大会が開催された2007年と、ブラジルで開催された2017年には3位に入っています。
数学に強い学生が多いことが実証されています。
ベトナムにシステム開発を依頼する際の注意点
ここまで、ベトナムが日本企業のシステム開発の委託先として向いている理由について説明してきました。
それでは、実際にシステム開発をベトナムに依頼したいとなった場合、注意した方が良い点について解説していきます。
国民性が日本と似ていて仕事が比較的やりやすいと言われるベトナムですが、そうはいっても母国語の違う者同士がひとつのプロジェクトに参加するときに、気をつけたいのがコミュニケーションについてです。
日本人同士でのコミュニケーションにおいては、『行間を読む』、『あうんの呼吸』と言われるように、言わなくても分かるだろうという、いわゆる暗黙の了解で仕事を進めがちです。
文化的背景から、日本人なら知っていて当然のことだったり、やって当たり前と考えられている行為を言葉にしないで進めてしまうケースがあります。日本人だけで仕事をする場合はこれで問題ないのですが(システム開発においては結構問題がありますが)、いくら親日国で国民性が似ているとは言ってもベトナムは違う国なので、日本の常識とベトナムの常識は違うということを前提として、確認しながら話をすることが大切になってきます。
Varealベトナムオフィスでのチームメンバーの様子。
これはベトナムだけでなく、中国やフィリピン、ミャンマーの人々と仕事をする場合も同じです。
ベトナムだけでなく海外の人と一緒に仕事をする際は、日本人同士のときよりも蜜にコミュニケーションを取り、ひとつひとつ確認しながら仕事を進めていきましょう。コミュニケーションの問題がクリアになれば、ベトナム人エンジニアは優秀な人が多いので、結果的に希望通りのシステムを作ることができるはずです。
まとめ
以上、日本の人口減少に伴うIT人材不足はベトナムの優秀なエンジニアを活用することで対策できるということについて、解説しました。withコロナ時代において、人と人が触れ合う機会が極端に減ることで、ますます世界のIT化は進んでいきます。日本企業は世界的にもITリテラシーが低いと言われがちですが、これからの時代、そんなことは言っていられません。企業の生き残りをかけて、これまでの古い仕組みをIT化させていくためには、海外の優秀なWebエンジニアを積極的に活用していくしか道はありません。
Varealでは、ベトナム子会社の優秀なエンジニアと日本人SEを入れたチームを作って、一定期間業務委託としてエンジニアを確保する、ラボ型という形で企業のシステム開発のご支援をさせて頂いております。
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