はじめに
アフターワクチンの生活はどうすべきでしょうか? そして、どうなるのでしょうか? これまでに得られている情報やエビデンスを基にして、アフターワクチンの生活を考えてみました。予測不可能なことを書籍で明記しますので、本書で記載した内容と異なる方向性で世の中が進んで行く可能性があることはご了解ください。
本書を読まれる前に、私が「ワクチン促進派」であり、「ワクチン三回接種賛成派」であり、かつ、「経済重要視派」であることをご理解ください。感染対策のみを重視し、経済を度外視することはありません。経済に大きなダメージが与えられれば、そこに生活している人々が困窮し、別の大きな問題が発生するからです。そのような著者が執筆した書籍ですので、「ワクチンに否定的な方」「三回接種に賛同しない方」「経済よりも医療を重視する方」には不本意な内容となっていると思います。これについても、ご容赦ください。
現在のような「ユニバーサル・マスキング(すべての人々は外出時にマスクを着用すること)」「身体的距離」「3密の回避」を今後も続け、忘年会や新年会もできず、歓送迎会も諦め、旅行にも行かない生活を今後何十年も続けることは困難です。どこかで、「ビフォーコロナ時代」の生活に戻す必要があります。それはいつになるのかということは、多くの人々が知りたいところです。
本書は預言書ではありません。これまでに得られたエビデンスを活用して、未来を予測した書籍です。現在、ワクチンを希望する人々のほとんどが二回目を接種して、二週間以上が経過した状況です。このような状況で感染対策を緩和してしまうと、どうなるのかについて記載してみました。そして、どのようなタイミングで感染対策を緩和すれば、コロナの流行を抑えつつ、重症者を増加させないかという予測についても記載しました。
現在、「ビフォーコロナ時代」の生活に戻れる明るい光が差し込みつつあります。しかし、早まった緩和策を実施することによって、人々にダメージが与えられることは是非とも避けたいと思います。本書が皆様のアフターワクチンでの感染対策の座右の書となることを希望いたします。
最後に、このような企画を提示していただいた(株)ヴァンメディカルの山路唯巴氏に心から感謝の意を表します。
二〇二一年一〇月吉日
浜松市感染症対策調整監
浜松医療センター感染症管理特別顧問
矢野邦夫