三月の初めに書く二月終わりの日記、私の故郷はいつでもやさしい

白梅が控えめに笑っていた。ふうわりとした風が、私の髪に潮の香を纏わせる。彼方で瀬戸内海がうたた寝してゆらゆら揺れていた。すべてが幸福に包まれているかのような二月の午後だ。

帰省を終えて、じきに私は日常にかえる。そのことを考えるとぎゅうと胸が痛くなる。それでも。父と母の元気そうな姿を見れてよかった。遠く離れて暮らす娘への変わらぬ愛情が、どれほど私をあたため、ときほぐしてくれただろう。

左様なら、愛する故郷よ、父よ、母よ。どうかいつまでも優しい陽だまりのようでいて。私もいつかそうなれるように、春を抱きしめて生きよう。





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