(60)病院から始まる社会参加
ケンの外出は、ほぼ病院。その日も、歯が痛くていつもの歯科医院へ行った。病院までの送迎は相変わらず私の仕事だが、1人で予約から受診、支払いまでできるようになり、もうハラハラすることはなくなった。イメージは中学生くらいかな(笑)。
翌週には紹介された総合病院へ。
私とメイの心配をよそに抜歯の前日になり、ケンは
「明日行くの、ちょっと難しい」
と、言い始めた。しかしその言い方には
「でも行けるかもしれない」
という含みがある。ここで
「そんな迷いは1ミリも持ってはいけない。明日だぞ!抜くしかない!放っておいたらもっと恐ろしいことになる!」
と、私が脅したところで震え上がる男ではない。それよりも抜歯の方が怖いのだ。顔色も悪い。どちらかといえば
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