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エス語訳『イソップ物語』を読む①


動機

エスペラントの文法学習はひと段落したので、実際にさまざまな文章を読んでいこうと思っている。図書館へ行ったら『エスペラント語訳 詳註 イソップ物語 FABROJ LAŬ EZOPO(小坂狷二,1921,日本エスペラント社)』という本が見つかった。

100年以上前の出版なので古めかしい言い回しが多いかもしれないが……イソップ物語といえば子ども向けの訓話集みたいなものだし、初心者である一伏にはちょうどいいだろう。

この本を書いた小坂狷二氏(Wikipedia)は語学学習に一家言あるようで、「辞書引くのめんどいとか言ってたら身につかんからね?」みたいな説教を冒頭からしている。かわいい。100年前も学生は同じこと言われていたんだな(ちなみに小坂氏は現・一般社団法人日本エスペラント協会(JEI)の前身である、日本エスペラント学会創設者の一人でもある)。

東京帝国大学工科大学機械工学科出身に言われちゃ頷くしかない

そんなわけで、しばらくはこの読解を進めていきたい。1記事1話ずつ、原文引用→私訳→一伏の所感という流れで記録する。

LA AZENO KAJ LA AKRIDOJ

Sur kampo ĉirpis akridoj.
Juna azeno aŭskultis al ili, kaj al li tre plaĉis  ilia kanto.
“Ho, kiel bele ili kantas! ―― pensis la azeno ―― kaj mi tiel malbele blekas! Mi deziras, ke mi ankaŭ povos mem fari tian belan muzikon.”
Li iris al la maljunaj akridoj kaj demandis: “Vi havas tre ĉarman voĉon . Per kia nutraĵo vi vin nutras?”
La akridoj respondis; “Ni nutras nin per rosoj.”
La azeno do decidis sin nutri nur per rosoj, kaj post mallonga tempo li mortis pro malsato.

エスペラント語訳 詳註 イソップ物語 FABROJ LAŬ EZOPO(小坂狷二,1921,日本エスペラント社)

私訳

1.ロバとキリギリス

キリギリスたちが野原で鳴いていました。
年若いロバはその鳴き声を聴き、彼らの歌声をひどく気に入りました。
「ああ、なんて美しい歌声だろう――と、ロバは思いました――それに引き換え僕のいななきの聞き苦しいこと! 僕もあんな風に美しい音楽を奏でられるようになりたいなあ」
ロバは年老いたキリギリスたちのもとへ行き、こう尋ねました。「とても魅力的なお声をお持ちですね。いったい何を食べたらそんな風になれるんです?」
キリギリスたちはこう答えました。「私たちは『草露』を食べているのですよ」
そう聞いて草露以外を口にしないと決めたロバは、しばらくのちに飢え死にしてしまったとさ。

所感

無情すぎない?????????????????????
ロバはロバでいくら憧れの歌手が言ったからって、死ぬまで続けるのは愚直すぎるだろ。推しが死ねって言ったら死ぬタイプのオタクじゃん。
キリギリスもキリギリスでもうちょっとまともなこと言ってやれよ。絶対面白がって言っただろ。カースト上位の陽キャが気まぐれで陰キャにちょっかいかけるときの雰囲気じゃん。「キリオ~なんかロバくん必死だしおしえたげなよ~(笑)」のやつじゃん。
「置かれた場所で咲きなさい」なのか??????
これだからイソップ物語は好きになれないんだよな。

この記事を書いたワイ


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