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忘れないでいたい事

夏の終わり秋の始まりの頃。
友人と夜の海に。

砂浜はほぼ無いようなテトラポットたちがいる場所で。
国道沿いの防波堤に座る。
することは何もなく波の音を聞くだけで。

声をかけられる。
恋人らしき落ち着いた雰囲気のふたり。

「これ、よかったらもらってくれますか?」

何もすることがなかったけれど。
思いがけず線香花火を手にしたわけで。

向かいにコンビニがある。
道路を渡ってライターを買った。

防波堤に座り線香花火。

こんなに綺麗な星花火だったっけ。
こんなに綺麗な花火音だったっけ。

予定外に行うことの方が記憶にずっと残ったり。
不意に出会う画や音の方が心にずっと残ったり。

本当に綺麗なものを見極められる人でいたいと。
本当に優しいものを見極められる人でいたいと。

夏の終わり秋の始まりの頃。

波の音と海の風に吹かれて。

そんな事を思いそんな事を思い出す。

ワスレナイデイタイコト。



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