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取手のバーで飲んでみよう

茨城県取手市。ぱっと思い浮かぶことがあるとするならば、茨城県の入り口といったところだろうか。人によっては高校野球(取手二高)を思い浮かべるかもしれない。人によっては釣りやサイクリングといったレジャーかもしれない。ただ、私にとっては上野方面から出る常磐線の終点(当然、その先まで行く電車もあるが、取手行きが多いという意味で)というくらいメージでしかなかった。

その取手に最近行く機会があった。成田方面で用事があった際に、自宅から行くには少々遠いので、前日に茨城南部を散策し、取手で一泊してから行くことにしたのだ。

夕方に守谷方面から関東鉄道で取手につく。ホテルは取手駅東口の近く、ということなので、東口に向かおうとしたら、ここで問題発生。関東鉄道の改札(JRでは西口改札側にある)から東口に行く方法が見当たらない。やっと見つけた地下道を通り、東口へ。東西の改札を移動するのが、少々面倒だと思わされる。ホテルに荷物を置いた後、夕食とお土産を買うために付近を散策。線路の反対に出るのにも一苦労であったが、これに加えて「劇坂」のオンパレード。なぜここに段丘が広がっているのだろうか。と疑問に感じさせられるほどに坂だらけ。それは東口・西口の違いに関わらない。西口はアトレや西友がある代わりにそれ以外にめぼしい場所はない。東口の方は面白そうな店はあるものの、お土産を買うには少々適さない。といった塩梅で、お土産をアトレで買い(地酒が売っていたが、それ以外はそんなにめぼしいものはない)、東口で晩御飯という、なんとも面倒な事態になった。

食後、一杯どこかで飲もうかなんて感じで歩き、1軒のバーに立ち寄った。そのバーは散策時に見かけており、雰囲気がよさそうであった。その店に入ったのだ。

落ち着いた雰囲気のオーセンティックバー。ウィスキーやバーボンがメインらしいが、残念ながらウィスキーは全くもってわからない。ジョニーウォーカー、マッカランなど、多少の銘柄は知っている。だが、ほとんど飲まないので、その違いが全く分からないのだ。

カンパリを使った酒を2種類飲む。うち1つはネグローニ。ネグローニ伯爵にちなむカクテルだ。そして、初めて飲むカクテルだ。このカクテルは度数が20度以上なので、結構強い酒の部類に入るが、伯爵はアペリティフ、つまり食前酒として飲んでいたらしい。あまり酒に強くない身からすると、どんだけ酒に強いのやら、と思わされる。

カンパリを使ったカクテルは特徴的な赤い色をしている。自宅には(半)間接照明などあるわけもないので、どんな色合いの酒やカクテルを飲んでも、あまり色合いを気にすることはないのだが、オーセンティックバーの持つ、独特の暗さの中でネグローニの赤は非常に良く映える。ジン・カンパリ・ドライベルモットという特徴的な3種類の酒をブレンドしているのにもかかわらず、思っている以上に味がまろやかだ。アルコール度数が高いので、ゆっくりと味わうのにもちょうどよい。

マスターいわく取手は、あまりめぼしいものがないらしい。ないもの自慢のオンパレード。だが、取手の街を愛している、そんな印象を受ける。出なければ、20年以上も取手で店はやらないだろう。

千葉方面からのお客さんは少ないらしい。柏や我孫子が近くにあるが、その町の住民は柏やより都心に近いところへ行ってしまうらしい。そういう傾向もあるのか、店の雰囲気が非常に落ち着いている。しかも、常連の方との距離感が近く、非常にいい雰囲気を醸し出している。

1,2杯飲んでホテルに戻ろうとしていたのだが、マスターや常連の方と話しているうちに気づいたら、日付をまたいでいた。文字通りの満喫。またどこかで行く機会があったら、行ってみたい、そんな店であった。

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