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“日本最北端”への旅③―稚内市街地を散策する―

16時前に稚内市街地へ戻る。帰りの特急は17時44分発なので、稚内に滞在できるのも今回は残り2時間ほどしかない。最低限行っておきたいのが、稚内港北防波堤ドームである。稚内公園も行ってみたかったが、迂闊に足を延ばすと帰りの列車に乗り遅れかねない。今回はあきらめ、散策しながら、面白そうなところがあったら寄ってみることにした。

道の駅で軽くおやつを食べる。道の駅が鉄道駅に併設されているのはとても便利だ。おやつを食べたら、散策開始。まずは稚内港を散策しつつ北防波堤ドームへ向かうことにした。道中、稚内の名物がてんこ盛りなカラーマンホールがあったので、記念にパシャリ。タロ・ジロがなんともかわいらしい。

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海に面した広場から稚内港を眺める。海の向こうに見えるのは、声問・宗谷といったあたりだろう。宗谷岬の遠さ、そして北海道の広さを感じざるを得ない。

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稚内港自体は最盛期に比べたら規模は小さくなっているのであろう。それでも道北を代表する港町、大きな港だ。その港の最北端にあるのが稚内港北防波堤ドームだ。冬の荒れ狂う風や波から鉄道や人々を守り続けてきた構造物だ。間近で見るとかなりの迫力がある。そして、北風を受け流すかのように形作られた曲線の屋根が美しい。

稚泊連絡船があった頃の稚内はどんな様子だったのだろう?そして、この港の賑わいはどうだったのだろう?そんなことを思いながら、稚内港をゆっくりと回った。

稚内港をゆっくり散策していたこともあり、博物館のような場所へ行ったり、高台へ行ってゆっくり海を眺めたりする時間はない。なので、街中を散策してみた。道中、本屋を見つけ、本を買ったが、これはまた後日。

その他、ロシア語が併記された商店街があるものの、街中からなんとなく寂しい雰囲気が漂う。厳しいのは気候だけではないのだろう。道北最大の都市といっても過言ではない稚内だが、市の人口は3万人台。稚内が属する宗谷総合振興局に含まれる9市町村すべてで過疎化が進み、当然、経済圏も縮小し続けている。それをまざまざと見せつけられたかのような気がした。

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駅に戻ると、特急列車が到着していた。乗り遅れは厳禁。一応、乗り遅れても旭川に戻れるが、到着は23時台。翌日のスケジュールに影響を来たしてしまう。道の駅でシカパン、そしてお土産を購入し、列車に乗り込む。

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17時44分、日の入り時刻とほぼ同時刻に稚内を離れる。南稚内の市街地を抜けると、進行方向右手には利尻富士のシルエットがかすかに見えたが、抜海を通過する頃には、暗がりの中にかろうじて見える程度になっていた。ここから先は暗闇の中を疾走するのみ。当然、車窓の風景は期待できない。朝日から稚内への“日帰り旅行”もここまで。旅の思い出を振り返ったり、稚内で買った本を読んだりして、旭川までを過ごすことにした。

豊富や幌延、名寄などの停車駅で少しずつ乗り降りがあったが、大半の乗客に変化はなし。定刻通り21時26分に旭川駅着。旅の道中での稚内への「日帰り旅行」もこれまで。移動ばかりではあったものの、稚内での経験はそうできることではない。満足感とともにホテルへ戻った。

これまで稚内・宗谷岬へ行った時のことを振り返ってきた。稚内に行くことがあったとして、その時に宗谷本線はもう走っていないかもしれない。街ももっと厳しい状況に置かれているかもしれない。ただ単に「稚内へ行った」「宗谷岬へ行った」という記憶や経験だけでなく、そこで見た光景、感じた風、それらを忘れるわけにはいかないだろう。

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