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伊予の地に残る鉄道遺産を巡る

松山と言えば「伊予鉄」。路面電車は松山駅(これがなかなかに寂しい)と中心部(松山城、大街道等)、道後温泉を繋いでくれる。また郊外線(こっちは一般的な電車)は三津浜(『坊っちゃん』の主人公が下船したところ)がある。観光には持ってこいの路線であり、日常の通勤・通学でも便利な路線である。松山を訪れたときに出会った伊予鉄の光景を紹介しよう。

①ダイヤモンドクロス(大手町駅付近)

観光という意味では、伊予鉄の路面電車・郊外電車が交差する「ダイヤモンドクロス」、これは見逃せない。タイミングが良ければ路面電車が踏切待ちをする様子に出会える。ちょうど朝の通勤時間帯、松山市駅方面へ徒歩で移動する道中に路面電車の踏切待ちに遭遇した。松山では日常の風景でも、なかなか出会える光景ではない。快晴の空と伊予鉄の鮮やかなオレンジも相まった見事な光景であった。

②道後温泉駅

松山観光で道後温泉は外せないだろう。道後温泉本館は改修工事中ではあるが、入浴は可能である。他にも温泉施設・旅館があり、平日の昼間でも観光客が多い。近くには前回紹介した湯築城跡のある道後公園や正岡子規記念館もあるので、温泉とは関係なく、訪れてみて損はない。その道後温泉の入り口ともいうべき場所が道後温泉駅だ。

この駅舎は建築当時のものではないこともあるのだろうか。ちょっときれいすぎる印象が否めない。しかし、路面電車の停留所に駅舎がある光景そのものが非常に珍しい。また、夜にはライトアップもされるそうなので、昼に散策、日が暮れたらライトアップとともに記念写真を1枚、なんてことも良さそうだ。

③伊予鉄道煉瓦橋

松山市―石手川公園間にある煉瓦橋だ。トップ画像に使ったものがこの煉瓦橋である。晴れていると煉瓦橋の赤銅色、伊予鉄のオレンジ、そして空の青のコントラストが非常に美しい。本数も多いので、電車が来るまでじっと待つ必要もないのもいい。もっとも、住宅街のど真ん中なので、ここでゆっくりと電車が来るのを待つには厳しいのであるが…(あらかじめ構図を決めたら、時刻表を見つつ、周囲を散歩するのをお勧めする)。

余談ではあるが、煉瓦橋近くにある石手川公園駅も見逃せない。現用のものでは最古のトラス橋がある。伊予鉄のカラーリングは青空に映える。時間の都合上、橋をいい感じに撮影できなかったものの、橋と電車のコントラストはさぞ美しいだろう。

これらの光景は似たものすら他の地域にあまりないようなものばかりである。様々な歴史が「再開発」の名目で次々と消し去られる中、これらの環境が残っているのは、観光客としてはありがたい。

鉄道の走る風景も、かつての武将が作り出した街並みも、そして、昔の人々が築き上げてきた土着の文化も、それら自体が街を彩る観光資源となる。中世から近現代までが上手に同居する街。松山を訪れた友人の多くがこの街を好きになるのも納得だ。

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