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サザンカンフォートのオールドボトルを飲んでみる

先日行ったバーで初めてサザンカンフォートを飲んだ。

サザンカンフォートは複数のフルーツを組み合わせたリキュールである。フルーツを使っているということもあり、個人的にはちょっと甘ったるそうという勝手な印象で、距離を置いていた酒だ。

リキュールや割材を探しに酒屋へ行った時に売っているのを見かけることはあるが、大抵21度のみが売られている。40度のサザンカンフォートブラックというのもあるらしいが、売っているのを見たことないような・・・。いや、売っている店にも行ったことがあるのだろうが、気づいていないだけかもしれない。眼中にない酒であったのだ。

そんな余談はともかく、先日あるバーで友人らと飲んだ時に、そのうちの1人がバーテンダーの方へ注文する際に味や雰囲気を伝えたところ、サザンカンフォートを使ったカクテルが出てきた。感想を聞いている限り、あまり甘ったるい感じではなさそう。ということで、私もおかわりで飲んでみようと思ったのだが、その日はそこでお開き・・・。飲めずじまいであった。

というわけで、リベンジ。今度は一人酒なので、同行者の都合を気にする必要はない。当然ながら、同じお酒を注文した。サザンカンフォートは21度になる前の38度のものを使っているそうだ。ボトルのデザインが非常に美しい。牧歌的な農村の風景のようであり、また古き良き時代の思い出の風景とでもいうようなものでもある。現行のラベルよりも個人的には好きだ。

また、サザンカンフォート自体を初めて飲んだという話をしたところ、少しずつ味見させてくださった。古いボトルの方は40度くらい。現行のサザンカンフォートブラックとほぼ同じ度数だ。こちらはフルーツの甘みを感じつつも、アルコールのパンチが効いている。それでも、甘みによって40度もあるようには感じないので、ショットで気兼ねなく飲めてしまう。中毒性がありそう、と言う意味で危険な酒だ。反面、現行の21度の方は、甘みが際立つ。そのまま飲むならいいのかもしれない。いずれにしても、先に書いた個人的な印象にぴったりと当てはまってしまった。後者なら私はあまり飲みたくない。

飲んでいると、バーテンダーの方がサザンカンフォートの歴史を教えてくださった。曰く、1960年代に活躍した歌姫ジャニス・ジョプリン(1943-1970)が愛したお酒らしい。あまりに好きすぎて、ライブでも舞台に持ち込んでいたという話も残っている。ジャニス・ジョプリン、名は知っていたものの、聞いたことのないアーティスト。その人が好んだお酒、どういう人だったのだろうか、ということで調べると、Woodstockに参加したらしい、ということが分かった。ますます興味が出てくる。

バーでの話やその後に調べて得た情報があまりにも気になったので、翌日早速聴いてみた。パワフルであり、シャウトも効いている。それでいながら、若干の甘みのある歌声。まるでサザンカンフォートだ。当然、その当時作られていたような度数の高いパンチの効いたものだ。古き良き時代の象徴というと言い過ぎかもしれないが、少なくとも、ブルースをほとんど聞いたことない人間にとっても、「こういうブルースっていいなぁ」と思える。文字通り素晴らしいアーティストだ。

ジミヘンと同時期に生まれ、同時期に亡くなった歌姫が愛したサザンカンフォート。次に飲むときはジャニス・ジョプリンのライブパフォーマンスに身を委ねながら飲んでみたい。できることなら、当時のボトルで。時代を超えて同じ味わいを共有してみたい、なんて思う、そんな酒であった。

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