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自主管理運営になる背景

原因や理由はいろいろ
まだまだ寒さが緩まない2月に、管理費の滞納問題を抱えた管理組合様から、管理費等支払保証を採用したいとの連絡を頂き、早速、理事長のところへお邪魔しました。
面談当日は、理事長並びに副理事長にご対応頂き、あいさつもそこそこに、管理組合の運営状況をお聞かせ頂く所から始まり、資金状況や運営状況をお聞きしました。
竣工から60年近く経過している管理費組合で、昨年中旬までは管理会社に管理委託していたが、管理組合の運営の不備と言うのか、総会の席上で管理会社と住民が口論となり、管理会社にとって堪えがたい内容だったのでしよう、すぐさま管理会社から解約通知が届き、自主管理の運営へ移行せざるを得ない状況になってしまったと聞かされました。
最近よく耳にする事例だなと思い、相当口論が白熱してしまったのだと想像していたのですが、白熱する以上に、本来の総会運営ではあり得ない状況がそこに存在していたことが判りました。
 
管理組合の総会と言うものは、組合員の集まりであり、区分所有者の集まりとも言えるものですが、当該管理組合の総会に賃借人が紛れ込み、総会を仕切っていたと言うのです。
 
その賃借人は、長年、賃貸契約で居住し、管理組合の組合員の間でも有名な方だったようです。また、管理組合運営に明るいと公言し、俗に言われる「うるさ型の住民」だったようです。
 
管理組合の理事会としても、管理会社への委託期間が十年にも満たず、それまでは、当時の理事長が独学で管理組合の運営を学び、自主運営を数十年続けていたとのことでした。そのため、管理会社と衝突することも度々あったようです。
 
そのようなことが重なり、総会に賃借人が紛れ込んでも、退出するようなことはせず、発言を止めることもされなかったため、残念ですが、区分所有者でもない賃借人が管理会社に噛みついてしまう現象が発生してしまったのかも知れません。
理事長からは、長年、自主運営を続けてきて、いろいろ知恵を出し合いながら、管理組合活動を続けてきたが、建物自体も老朽化してきており、区分所有者も高齢化が進み、一般的に言われている二つの老いを抱える、典型的な管理組合となってしまったと肩を落とされていました。
 
もう一つの悲劇
理事長自身、竣工当時から居住され、当該マンションに熱い思いを持たれている方なのが良く分かったため、何とか協力できないかと思ったのですが、当該マンションには、予想していなかった悲劇が隠れていました。
現時点の理事長は、昨年夏に就任し、それまでは副理事長を務められていたのですが、殆どの業務は当時の理事長が取り仕切っていたとのこと、副理事長としては理事長にお任せ状態で、全く管理組合運営の知識はなかったようです。
ここまでは、管理組合によくある話ですが、当該管理組合を思いもよらぬ悲劇が襲いました。
 
“管理組合運営の殆どを取り仕切っていた理事長が、交通事故で突然お亡くなりになったのです。”
 
あまりにも突然の悲報により、誰もが管理組合運営をどうするのかと右往左往している中、急遽副理事長であった現理事長が、理事長職に就任されました。
理事長として、何も分からない状況でも、何とか管理組合の運営を続けようと奮闘したようです。手探りの中、運営を手伝ってくれる区分所有者を探し、何とか副理事長職も引き受けてもらえたとのことでした。新たに就任した副理事長はITに強く、管理組合の根幹は会計だとお考えだったため、自ら会計管理や収支報告書が作成できる管理組合用のWebアプリを見つけ、導入すべきと提言されたそうです。
理事会においても、自主管理を続けるために必要なツールだと判断し導入されることとなり、現在に至ったとのことでした。
 
管理運営の立て直し
会計がしつかり把握できる状況になり、管理組合として落ち着きを取り戻したように思えたのですが、今度は、管理費の滞納問題が持ち上がりました。督促等々の活動方法も儘ならない理事会としては、解消に向けた対応策を議論することも難しいと判断し、当社の保証制度を採用すべきとの結論に至ったとのことでした。
管理組合という団体には、それぞれいろいろな背景や歴史があります。
弊社としては、様々な管理組合理事会にお邪魔するのですが、これほど荒波に揉まれた管理組合はあまり見たことがありません。
そのような状況下でも、組合を構成する組合員の方々が解決に向けて苦心されているのを目の当たりにすると、弊社として、何とか協力や支援ができないかと強く思います。
 
降りかかる滞納問題
当該管理組合が抱える滞納区分は2区分存在しており、一つ目の区分は、遺産相続が原因の滞納であり、弁護士が介人しているとの話しでした。二つ目の区分は、専有部と敷地を分離して登記し、誰が管理費を払うべきかと論争になっているとのことでした。
理事長が、当該管理組合の組合員へ、専有部と敷地を分離して登記された区分に対する対応策の助言を求めたところ、不動産資格を有する区分所有者から、登記手続きを行った弁護士のところへ行き、状況把握をするようにと助言されたそうです。早速、当該弁護士のところへ行き状況の説明を求めたところ、担当の弁護士から、「登記を間違えました」と頭を下げられて何も言えなくなったとの事でした。
頭を下げた話は良しとしても、どうなるのかを説明して貰わないといけないはずなのに、何も言われなかったのは、素人だからという態度だったのではないでしょうか。残念な弁護士さんだと思います。
もう少し内容を理事長に聞いてみたところ、当初不動産会社が購入し登記したが、その後、現在の居住者へ転売したと不動産会社から言われたため、居住者へも督促を行うことで、購入者なのかを確認してみたが、当人から「登記はされていないから管理費等を払う義務はない」と言われたとのことでした。
どれが本当の話しなのか分からない上、現行の建物の区分に関する法律(通称、区分所有法) では、上下分離はできないことになっているのに、どうやったら登記が出来るのかと疑問がふつふつと湧いてきました。しかし、弁護士から分離して登記したと言われた理事長からすると、その言葉を信用するしかなかったと思われます。
 
事の真相を確認するために、弊社は、早速登記簿謄本を入手し、登記事項を確認しました。結果として、真正登記が行われ、登記の修正がされていました。
それを知りながら、不動産会社も所有者も、管理組合を欺いていたということになります。
早速、当社の顧問弁護士と情報を共有し、対応策を検討することにしました。
 
また、一つ目の遺産相続が原因の滞納については、弁護士が介入しているとの話しでしたが、亡くなれて3カ月経過しているにも拘らず、誰が相続するのかが決定していない状況のようでした。弁護士が介在しているのは良しとして、管理組合として動くこともできるので、こちらも当社の顧問弁護士と対応策を検討することにしました。
 
注視するべき事案
最近、当社に持ち込まれる滞納事案では、相続問題が増加しています。相続も容易に完結できる事案であれば良いのですが、相続人が見つからない場合や、滞納があると聞いただけで相続人が交渉の場から消えてしまう等、これらを踏まえて、解決するには長い時間を要することが増えつつあります。
マンションで、区分所有者が変更になった場合など、管理組合へ、所有者の変更届等を出すことになっていますが、高経年化マンションではその届出が出されていない事例が多発しています。
理事会が引越しや入居等々の状況を把握し、提出を促して入手できれば良いのですが、届出自体が必要な事を失念し、そのまま入居者一覧等の更新も為されず、ことが発生した際に連絡先が見つからないと言う事例が多く発生しているようです。
また、入院されて長期に不在になる場合などの届出提出を制定している管理組合は少なくい上、隣の人は誰だっけ?顔も見たことがないという状況が相まって、区分所有者の把握をより妨げる要因となっているように思えます。
届出内容を更新していないまたは、更新できない状況に陥ってしまった管理組合では、一度滞納する区分が発生してしまうと、どこに連絡を入れたら良いのか?どの連絡方法を取れば良いのか?分からないため、滞納に対して、迅速な対応ができなくなります。
実際、管理組合より、滞納したから届出の住所に督促状を何度も送ったが、音沙汰がないとのことで、当社へご依頼頂いた事例もあります。
音沙汰がない状況が続けば続くほど、滞納額は増大して行きますが、連絡が取れない状況下では、管理組合に執っても、区分所有者に執っても、良いことは何一つありません。
連絡先の調べ方もいろいろありますが、管理組合自身が連絡先を見つけられれば良いですが、その方法を知っている理事会メンバーや区分所有者はなかなかいません。
 
問題だらけ
そうならないためにも管理組合として、区分所有者の情報を最新の状況で保管し、逐次、更新できるような体制を維持して行く必要があります。
昨今、区分所有者のコミュニケーションが減少しているとの指摘、管理組合と言うコミュニティーが崩壊しているとの問題提起、いろいろ言われ出している状況の管理組合運営、数え出すとキリがないほど問題が山積していることが判ります。
そうならないためにも、できる事から少しずつ、あるべき状態に戻して行く必要があると思います。
少しずつでも行動できたなら、管理組合の完全崩壊は免れるのではないでしようか?
管理組合で、運営等の無関心が蔓延ってしまうと、管理組合の運営も儘ならず、建物自体の維持も難しくなるのは間違いありません。
そのようにならないためにも、滞納を発生させない環境を整える必要があり、滞納が発生してしまった場合には、迅速に対応して解消を急ぐことが肝要だと思います。
そのような事例をお手伝いするのが当社の責務だと思っております。
今回の事例のその後は、追って、記述したいと思いますので、少々、お待ちください。

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