【ポーカーチェイス】ツールを用いたハンドの検証方法の紹介

はじめに

 いつもお世話になっております?紅林です。ポーカーチェイスのレートが地底に沈んでしまい失意の中、筆を執っています。
前回記事(https://note.com/valuepoker/n/n10f43cb9f361?from=notice)

を書いて筆をおくつもりでしたが、最後のツールへの向き合い方の部分がかなり投げやりで終わってしまった自覚があるので、その補足として、表題の件を紹介させていただきます。今回はポーカーチェイスのクラブマッチでの具体的なハンドでの検証方法を紹介していきます。そして、なるべく数字は使わないように心がけます。(合っているか自信がないので)ポーカーチェイスをプレイしていない方向けで(プレイしてない人はこの記事見ないと思いますが…)前提状況を軽くまとめます。

【前提】
6人で行うSNG、プライズは以下の通り。
1位+5
2位+3
3位+2
4位+1
5位 0
6位ー1

 一般的な6人のSNGは、1位にプライズプールの6割、2位に3割、1割ハウスレーキで3位~6位はプライズなしというようなものなので、結構異なりますね。一般的な6Max-SNGではバブルが強く意識されるのは、3人になったときですが、ポーカーチェイスの場合は、最初から2人になるまで気が抜けません。状況としては、MTTのFTが同じスタック量でいきなり始まるというのが近いです。
それでは、本題に入っていきましょう。


題材のハンド 

残り4人 
Blinds 820/1640/410
CO:12,354(7.3BB)
BU:23,668(14.2BB)←YOU
SB:14,306(8BB)
BB:39,672(22.9BB)

Preflop
CO: ALLIN(7.3BB)
BU(Hero):have 66  Action?

今回は、バブルの状況を踏まえたプリフロップのプッシュオアフォールドなので、ICMを踏まえたナッシュ均衡の計算ができる
Nash ICM Calculator(https://www.holdemresources.net/nashicm)を使用していきます。

解析結果

以下が上記の状況を入力した出力結果です。
https://www.holdemresources.net/nashicm?action=calculate&s1=12354&s2=23668&s3=14306&s4=39672&p1=5&p2=3&p3=2&p4=1&sb=820&bb=1640&ante=410

画像はこちら

COのPUSHは、25.2%(22+ A2s+ A4o+ K9s+ KTo+ Q9s+ QJo J9s+ T9s)
それに対してBUのCALLは、8.9%(66+ ATs+ ATo+)
66はCALL!以上、閉廷!

ここで止まるの、やめてください。

ツールが出した最適解から、定性的なコンセプトを見つける

前回記事で紹介した②の表題の取り組みについて行っていきます。
COのPUSHは25.2%(22+ A2s+ A4o+ K9s+ KTo+ Q9s+ QJo J9s+ T9s)
それに対してBUのCALLは、8.9%(66+ ATs+ ATo+)

この続きを見てみます。
SBのOverCallは、2.6%(TT+ AKs)
BBのOverCallは、4.2%(99+ AQs+ AKo)

BUのCALLレンジは、どのような種類のレンジで構成されているでしょうか。

①vs COレンジ
COのレンジを大ざっばに説明すると全てのポケットペア、ほとんどのAx、その他ツーブロードウェイ系で構成されているリニアなレンジです。それに対してある程度エクイティが期待できるレンジをBUは選択しているといえます。裏を返せば、ツーブロードウェイ系は、Ax、ポケットペアに対してフェイバリットにならないため、採用されていないと思われます。一方でCOのレンジにすべてのポケットペアが採用されている想定のため、ポケットペアも広くコールレンジ(66+)として採用しているようです。

②vs SB、BBレンジ
SB、BBのOverCallレンジは、プレミアに近いハンドでリニアに構成されています。それに対して、BUのレンジは大幅に負けていますが、何か特徴はないでしょうか。そうです。OVERCALLレンジをブロックしうるハンドが多く採用されています。
 このシナリオで最悪のケースは、BUが現状セカンドチップリなのにもかかわらず、BBのチップリに飛ばされ、COが生き残ってしまうことです。そのシナリオの可能性をできるだけ減らしうる(プレミアハンドをブロックする)Ax系、それもTT+などもブロックできる、AT+がBUのレンジで採用されていると思われます。

Aは、数字の中で一番強いというのは言わずもがなですが、Aを1枚持っていることで他のプレイヤーがAを持っている可能性を減らしうるという二重の意味で強さがあり、そのコンセプトがコールレンジの構成にも生かされているということが改めてわかりますね。

こういった定性的なコンセプトを多く引き出しに入れておくことで、自分が検証したことのない場面に遭遇した際に、その定性的なコンセプトを材料として用い、より正しい判断ができる可能性が高まります。

ツールが出した最適解を自分で現場に合わせて修正して考える

次は、前回記事で紹介した①にあたる表題の取り組みを行っていきます。
皆さんにも考えていただきたいのですが、もう一度計算機が提案しているハンドレンジをよく見てください。
COのPUSHは、25.2%(22+ A2s+ A4o+ K9s+ KTo+ Q9s+ QJo J9s+ T9s)
SBのOverCallは、2.6%(TT+ AKs)
BBのOverCallは、4.2%(99+ AQs+ AKo)

どうでしょうか。自分が当事者の立場だと考えた時採用するレンジでしょうか。あるいは、今までの自分の経験と照らして、他のプレイヤーが採用しているレンジと差異はない妥当なレンジと言えるでしょうか。
私は、少なくともポーカーチェイスのアプリにおける一般的(データはないです)なプレイヤーが採用しているレンジとは次のように乖離していると考えています。
・実際のCOのPUSHレンジはもっと狭い。
・実際のSB、BBのOverCallレンジはもっと広い。

それでは、どのような誘因がBUのレンジに影響を与えるか整理していきたいと思います。

BUのレンジを広げる誘因
・COのPUSHレンジが25.2%より広い
・SBのOverCallレンジが2.6%より狭い
・BBのOverCallレンジが4.2%より狭い

BUのレンジを狭める誘因
・COのPUSHレンジが25.2%より狭い
・SBのOverCallレンジが2.6%より広い
・BBのOverCallレンジが4.2%より広い

以上を踏まえ、以下の見立てを改めて整理すると
・実際のCOのPUSHレンジはもっと狭い。
・実際のSB、BBのOverCallレンジはもっと広い。

具体的には、
COのPUSHレンジ    14.18%(55+, A9s+, KTs+, QTs+, JTs, ATo+, KJo+, QJo)
SB、BBのCALLレンジ 8.30%(88+, ATs+, KQs, AJo+, KQo)

くらいになっているのではないかと仮定します。

上記の仮定で進めると、COのPUSHレンジが狭いこと、後ろのブラインドから広くコールされてしまうことをもって、BUのコールレンジは出力結果より狭くしてよいと言えると思います。そして、BUのコールレンジからリストラするハンドは、ポケットペアで下から削っていくのが良いと考えています。        
 計算機はCOがすべてのポケットペアとほぼすべてのAxでPUSHする想定でしたが、そのボトムからレンジが削られているので、BUのレンジについても相対的にエクイティが下がりブロッカーにもならないところを削りましょうという発想です。
 よって、BUのコールレンジは、計算機の出力結果より狭くしてよく、少なくともボトムレンジである66はエクスプロイト的な思考でフォールドしても良いというのが私の考えです。 
 また、上記の戦略を採用することにより、こちらは、CALLレンジを狭くしているため、COに広くPUSHされることでエクスプロイトされ得ます。
 ですがその場合でも、他のプレイヤーのCALLレンジが広いためPUSHが通りにくく、COのPUSHレンジのブラフ部分のEVはあまり上昇しないのではないかと思っています。

じゃあ実際、レンジの細かな調整はどうやるの?どこまで行って良くて、どこからダメなの?

これが腕の見せ所です。テーブルの相手をよく観察し、傾向を分析してください。そして現場でレンジを修正してください。としか言えません。
実際のICMを用いた必要勝率の計算は、テーブル上でできるようなものではありません。ポーカーチェイスのように最大20秒の思考時間では到底無理でしょう。専用の計算機を用いて、レンジに対して必要勝率を満たしているか確認する作業を地道に繰り返し、感覚として体に染みつかせていくしかないと思います。

プレイ前、プレイ中、プレイ後何をするべきか

ICMを用いた判断に限ったことではないですが、以下のとおりタスクを分ける必要があると私は考えています。

プレイ前
・計算機の出力結果をイメージでとらえる(完全暗記は不可能、頻出のスポットを優先)
・計算機の出力結果から定性的なコンセプトを蓄積させる(検証していないスポットでも柔軟に対応できる力を身に着ける)

プレイ中
・(ポットに参加していないとき)相手の観察に集中する。計算機の出力結果のイメージからどう離れているのかを見極める。
・(ポットに参加しているとき)相手の傾向と照らして、計算機の出力結果をどう変化させるか判断する。※前述の見極めができていないと、20秒で判断することはできない

プレイ後
・計算機で細かい数字を出力し、実際にあっていたか検証する

基本的に、このサイクルの繰り返し以外にポーカーを習熟する方法はないかと思います。
プレイに偏る人は、実際の結果からプレイの善し悪しを判断したりするので気づいたら正解とはまるで遠いところに行ってしまっていたりしますし、逆に座学に特化した場合、実際のテーブルで相手に応じて修正することができなかったりします。(かつての私がそうでした)

おわりに

最初は、書く気があるのにいざ書き出すとだんだん投げやりになってしまうのはなんでだろうか。ただ、座学をしていると前に進んだ気がするので安心しますね。以上です。



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