コロナ禍の今、思考停止よりもリアル・オプション発想を
金融工学から派生した経営理論に「リアル・オプション理論」というものがあります。
不確実性が高い環境下での投資案件の事業評価に活用される理論ですが、その発想はとってもシンプルで、「先の見通しがよくわからない状況なら、とにかくまずは小さく始めよう。」と、いうのがリアル・オプション理論のエッセンスです。
ポスト・コロナの世界が、日本が、地域社会が、どう変化するのか。それに伴って顧客ニーズや市場環境がどう変化するのか。現時点では確定的なことは何も言えません。現在のような、変化が目まぐるしく、先の見通しが立たない環境下では、調べて可能性を見極めて計画する、というプロセスで考えると、何もできなくなってしまいます。
そこで、必要になるのが、冒頭でご紹介した「リアル・オプション理論」です。
◆リアル・オプション発想のメリット
✓ アップサイドのチャンスをつかめる
先が見通せないということは、市場が膨らむ可能性も大きいということ。何もしなければ成功は得られませんが、目の前のチャンスに手を付けることで、この新しい市場が拡大した場合の大きな成果を獲得できます。
✓ 学習効果
とにかくやってみることで新たな知識・経験を獲得し、成功の可能性自体を高めることができます。また、渦中で情報を得ることで、将来見通しも立てやすくなります。
✓ ダウンサイドのコストが限定的
安く、小さく始めることで、結果的にうまくいかなかった場合でも、損失を小さく抑えることができます。
「小さなコスト」で「スピーディー」に
リアル・オプション発想の経営で上記のメリットを得るために重要なのは、「小さなコスト」で始めることと、「スピーディー」に始めること、の2つです。お金をかけずに、今あるものですぐにやれることから始めてみてください。
まとめ
外部環境の変化を読み切れずに何かを迷っているのなら、今はとにかく、「今すぐ小さくやってみる」ことが大切です。
(参考文献:入山章栄「世界標準の経営理論」ダイヤモンド社)