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今上期の首都圏マンションの平均価格が1億円越え(バブル越え)の中身を見る。

不動産経済研究所が発表する東京23区の新築マンションの販売価格が、この上期(4~9月)は1億2962万円(前年比+60.2%)と、はじめて1億円を超えたことが話題となっています。この期間は、首都圏平均価格で見ても前年比+23.7%の値上がりで、資材費や人件費などの高騰や、外国時による購買意欲の強さから、今後も価格の高止まりを予想する声が広がりつつあります。

下のグラフは、首都圏と近畿圏のマンション販売価格と販売戸数の推移です。

不動産経済研究所データより

首都圏も近畿圏も棒グラフで示した発売戸数は緩やかな減少傾向にあります。マンションに適した土地が少なくなり供給が絞られていることや、価格の上昇により買いを見送る動きが出ているという需給両面の影響がある模様です。次に販売価格を見ると、近畿圏は概ね過去3年間横ばい圏が続いており、直近数か月はやや下落傾向ですらあります。また、首都圏で見ても、今年3月と7月に高い山がありますが、それを除けば、それ程値上がりしている訳ではなさそうなことが分かります。

この3月の価格を押し上げたのは、浜松町のワールドタワーレジデンスで、平米当たり平均1050万円の超高額物件です。また、7月は全戸1億円以上の三田ガーデンヒルズの販売がありました。こうして見ると、マンション全体が値上がりしているというよりは、富裕層が買える超一等地だけが値上がりしているということが分かります。2極化を通り越して、千代田区、港区、品川区といった超好立地への一極集中と言って良いでしょう。こうした超好立地については、供給も少なく当面の価格は高止まりの可能性はありそうです。

一方で、その周辺となりますと、すでに販売戸数も減少しており、一般的な購入層が値上がりに付いて来られない可能性もありますので、個別に慎重な判断が必要と考えています。毎月勤労統計で見る日本の実質賃金は、9月まで18か月連続で前年比マイナスが続いており、一般家計の厳しさは日々増していますので、住居費に使える資金も限界が近づいている可能性はあります。こうした標準世帯向けの不動産価格は軟調となる局面が来るでしょう。

現に、中間決算で見ると、飯田グループやオープンハウスといったパワービルダーは在庫調整局面にあります。当面は、高額物件と一般物件の価格差が益々広がる可能性が高いと予想しています。この差がどこまで拡大するかは判断が難しいところですが、ニューヨークやロンドンも中心部と周辺部では大きな差がありますので、東京もそうした価格分布に近づいていくのが避けられないと考えています。

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