H3ロケット打ち上げは中止か、失敗か。そんなことより、ロケット産業にどのくらい日本は本気で取り組むのか。
本日予定されていたH3の発射は、天候のため再度明日に延期になりました。当初予定されていた2月末の次世代主力ロケットH3の打ち上げ中止は、ホリエモンも巻き込んで、失敗なのか中止なのかが話題となりました。
H3は、打ち上げ費用50億円程度とマスク氏のスペースXとほぼ同等のレベルを目指し、電子部品の9割で自動車向けを流用するなど、ビジネス面も考慮された設計となっています。ただ、スペースXが昨年61回発射していることを考えると、背中は遠いと言わざるを得ません。
やや話題はそれますが、先日、三菱重工が旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発中止を決定しました。ロケットも航空機も共有できる構造や部品が多く、ひとまとめに航空宇宙産業という括りで見ると、日本の競争力には懸念があります。ただ、ホンダはホンダジェットの販売機数で、小型ジェット市場3年連続トップを取っています。なぜ、ホンダに出来て、三菱重工に出来ないのか。そもそも日本のモノ作りは、世界で強かったはずなのに、なぜ最近は電気自動車やスマホ、半導体で勝てないのか?などなど、産業競争力の観点で興味深い研究が多くなされています。
ただ、航空宇宙産業と自動車産業を比べた場合、やはり一番の差は、関連産業のすそ野の広さだと考えています。米国の場合、ロッキードマーチンやボーイングをはじめ航空宇宙・兵器産業が巨大なサプライチェーンを持っています。航空機製造で絶対に必要な型式証明の取得で三菱重工は苦戦しましたが、多くのサプライヤーがポイントを理解している米国と、そうでない日本では、大きな差が出たと考えます。ホンダジェットが本拠地を米国とし、三菱重工が日本を開発拠点としていたことから伺えます。
日本のモノ作りは弱くなったのか、という問いに対しては、そもそも日本のモノ作りが強かったのは、自動車産業や工作機械(今でも強い)、家電・民生エレクトロニクス・半導体(強かったのは90年代まで)といった分野です。
日米半導体摩擦の影響や設備投資競争に敗れ、半導体完成品ではほとんどのシェアを失いましたが、日本の半導体サプライチェーンには、シリコンウエハーやレジスト、切削装置、めっきなど、今でも日系企業が圧倒的な強さを示しています。日本の機械・自動車(技術基盤で共有部分が多い)も、それを支えるサプライチェーンに、優秀な中小企業が数多く存在します。
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