あなたの周りにいる天才の正体。書道家・北村 明游が語る「凡人をやめる方法」とは。
いきなりですが、こちらの作品をご覧ください。
単刀直入にお聞きします。どのような感想をお持ちしましたか?
「なんかすごい」「よくわからない」「かっこいい」、様々な声があがるでしょう。では、もうひとつお聞きします。
この作品を書いたかたは、天才と凡人のどちらでしょう。
恐らく、ほとんどのかたが「どちらかに分けるなら天才でしょ」そんなふうに思うのではないでしょうか。
先ほどの作品を手掛けたのは、北村 明游さん。SNSを使いこなす新しい時代の書家です。
『幼いころから、書道の才能があったんですか?』そう質問を投げかけると、「私は凡人なんですよ」と気さくに笑っていました。
では、彼女を”天才”に見せている”それ”はなんなのでしょうか。また、多彩な北村さんがVALUに参入した理由とは。いろいろとお話を伺ってきました。
「やってみる?」から始まった書道
――北村さんは、なぜVALUを始めたんですか。
北村:ITに詳しい人が周りにいっぱいいて、「やりなよ」って勧められたのがきっかけです。
――たしかに、北村さんみたいに個性的な書家さんだとVALUに向いてそうな気がしますね。実際に触ってみて、いかがですか。
北村:面白いですよ。InstagramやTwitterみたいな他のSNSよりも、応援してくださってるかたの温度がダイレクトに伝わるから。VALUの人たちが見ててくれるから「頑張ろう!」って気が引き締まりますね。
――書道を始められたのは、5歳の時だったんですよね。きっかけはなんだったんですか。
北村:親ですね。小さいころなんて世の中に何があるかなんて知らないから、「やってみる?」って聞かれたものを全部やってました。学習塾はもちろん、新体操や歌、バスケットボールとか。週6、7で習いごとをしている習いごと女王。なんなら人生で1番つらかったのが、小学生のころだったんじゃないかな。
――めっちゃ大変じゃないですか。やめたくなりそうですけど。
北村:やめたかったです(笑)。でも「1回やると決めたことは、最高段や最高級を取るまでやめちゃいけない」っていう謎の親ルールがあったんですよ。
――つ、つらっ…。
北村:つまらなくても、やりたくなくてもやめさせてくれなかったから、早く上達する方法を必死に考えてましたね。これは反復しようととか、これは瞬発で一気に集中しようとか。
書道も水泳もピアノもやっている内容は違うけど、達成へのプロセスっていくつかしかないから。その方法を見極めて、選べる能力がついたのは習いごとをいっぱいしてたあの時期があったからかな。
――過去の習いごと経験をもとに、最短ルートを見極めて実践していたんですね。
――しかし、それだけハードだと友達と遊ぶ時間とか…。
北村:ないですね! 夜に帰ってきて、オンラインゲームをするっていうのがルーティーンでした。
――ゲーマーなんですか! ちょっと意外ですね。
北村:ただのヲタクですよ(笑)。小学校に入学する前に、パソコンを買ってもらってたくらい。オンラインゲームが普及するまでは、自分でゲームを作ったりもしてました。
――プログラミングもできるんですか…。
北村:当時、やりたいと思えるパソコンのゲームがなかったんですよ。そしたら親に「そんなにやりたいなら、自分で作りなさい」って本を渡されて(笑)。
癒しをくれた”好き”が仕事に
――小さいころから、書家になりたかったんですか。
北村:「これになりたい」っていう具体的な夢はなかったですね。セーラームーン世代なので、「ちびうさになりたい」って思ってたくらいかな(笑)。
――ちびうさ…! たしかに憧れますけどね、美少女戦士(笑)。
北村:書家になる前は、普通に働いてたんですよ。
――何をされてたんですか。
北村:美容系の仕事です。専門学校も美容系のところに行って、美容師免許も持ってて。髪も切れるし、まつエクもつけられるんですよ。
――そこから書家に転身するルートが想像できないのですが…。
北村:会社員時代に、趣味で書いた作品をInstagramにあげてたんですよ。そしたら反響がすごくて、オーダーをいただけるようになったんです。そのまま「じゃあ、会社員やめて書家でよくない?」って(笑)。
――すごい…。SNS時代の模範的な転身ルートですね!
北村:小さいころからブログを書いたりホームページを作ったりとしてきて、ネットに免疫があったからスムーズだったのかもしれないですね。
――それにしても美容系から書家へ転身していたとは、びっくりです。でも、北村さんは「習いごと女王」だったんですよね? 数ある経験のなかで、書道を選んだのはなぜですか。
北村:当時、1番リラックスしていられたのが書道している時間だったんです。ピアノは一生懸命弾かなきゃいけないし、水泳は疲れちゃう。でも、書道だったら座って字を書いてるだけでいい。その時間が、私にとってすごく落ち着くものだったんです。
どんな努力も夢中には敵わない
――北村さんは話を聞けば聞くほど、多彩な方ですよね。
北村:そんなことないですよ。姉が何をやってもすごいできる人だったので、いつも打ちひしがれてました。私が小5で取った段を、小3で取れちゃうんですもん。
――北村さんも ”できる側の人” に見えます。
北村:いやいや、全然違います。彼女は天才でしたから。幼いながらに、天才と凡人の違いを痛感しました。世の中は平等じゃないんだな、って。
――北村さんは、天才タイプだと感じました。
北村:全くそんなことないですよ。私は姉のことを天才だと思ってますけど、そういう”本当の天才”って滅多にいないんじゃないかな。みんなちゃんと頑張ってて、それにプラスして運がよかったとか。そういう感じなだけだと思うんです。
――では、 ”天才に見える凡人” と ”天才になれない凡人” の違いはなんでしょうか。
北村:その事柄が本気で好きかどうか、じゃないですか。本気で好きなことがある人って寝ても覚めても取りつかれたように、そのことをやっちゃうじゃないですか。周りからしたら努力しているように見えるけど、本人は「楽しいじゃん」「もっとできるじゃん」くらいの感じでやってて、知らないうちに高いレベルに行っちゃう。だから「自分は努力した」って言っちゃう誰かにやらされてる意識のある人は、本当に好きな人に敵わないんだと思うんですよ。
――北村さんにとっては、本気の好きが書道だったと。
北村:そういうことですね。
――本気の好きで作っている作品を「いい」「悪い」と、何も知らない人に評価されるわけじゃないですか。それに関して、辛く感じることなってないんですか。
北村:ないですね。私自身や作品に対して思ってることは全部教えてほしいです。何も知らないからこそ勝手なことが言えるし、その意見が大切なので。
――自分だったら「何も知らないくせに」と思ってしまう気がします。
北村:私、ナルシストだから(笑)。どの作品に対しても「イケてるでしょ?」って本気で思ってるので、どう思ってくれてもいいんです。
作品に対して何かを言われてムッとしてしまうのは、自分の自信のなさの表れ。ナルシストのなりきれてないから、わかってもらえないのが気に触っちゃうんですよ。私は何周も回ったので、もう気になりませんね。だから、どんな意見にでも触れていきたいんです。
世界で活躍する書家に
――これからやってみたいことってありますか。
北村:もっと世界に向けて発信していきたいですね。外国の人って、漢字が大好きなんですよ。文字として読めなくても、絵として楽しんでくれていて。まだまだ海外で活動している書道家って少ないので、先陣を切っていけたらいいな。
――北村さんだったら、展示会をしても人気出そうですよね。
北村:周りには「やったほうがいいよ」って、すごく言われてます。でも、よくあるギャラリーを借りて飾るだけの展覧会はしたくないんですよ。
――と、いいますと…?
北村:たとえば、チームラボみたいな。空間や音楽、匂いとかを全部合わせてひとつの作品になるような展覧会をしたいんです。いろんな要素が組みあわさって、初めて感じられることもあると思うので。
時間はかかるかもしれないですけどね(笑)。思わずInstagramにあげたくなるような、空間づくりができたらいいな…。
――今後、VALUを使って、やっていきたいことはありますか?
北村:もっと面白い人と繋がって、一緒になんかやってみたいんですよ。書道ってアパレルに使ったり、いろいろなことができるけど柔軟な発想がないと活かせないんですよね。
だから、新しいアイディアやコラボの仕方をVALUで探していけたらと思ってます。
――北村さんとコラボしたい人っていっぱいいそう!
北村:本当ですか? そう思ってくれてる人がいたら、全員会って話を聞きたいです。気軽に連絡をいただけたら嬉しいなぁ…。
▲北村 明游さんのVALUはコチラ