経済産業省で働く私が、VALUへのレンタル移籍を決めた理由
みなさま、はじめまして!
9月から、VALUでお仕事している、田口です。
趣味は銭湯とサウナです。ホームサウナは巣鴨のサンフラワーです。
・・・といって、このまま銭湯とサウナへの愛、文化、そして宇宙について語ろうかとも思ったのですが、それはまた(?)にさせていただきます。
さて、私、正確には、VALUに入社したわけではなくて、「レンタル移籍」という制度を利用して、経済産業省から一時的に、VALUに来ています。
今回は、私が一体何者なのか、そしてなぜVALUに来たのか、VALUでどんな世界を実現したいのか、といったことをお伝えできればと思います。
(高円寺の小杉湯さんでイベントをさせていただいた時の写真です)
なぜ経済産業省に入ったか
私は2015年に経済産業省に入りました。経産省は、日本の産業・通商・エネルギー・中小企業に関する政策を担っている行政機関です。
経産省に入ろうと思ったのは、高校3年生の時です。この頃、リーマンショックの影響もあって、父親が経営していた中小企業が倒産しました。すると、自分の身の回りの環境が色々と変わるんですよね。家が引っ越したり、車がなくなったり。経済が人の生活に与える影響って大きいんだな、と肌身に感じ、経済を取り巻くというマクロな課題にチャレンジしたい、と思ったのが、経産省に入ろうと思った動機です。
入省してから5年ですが、色々な分野の仕事をしてきました。原発の再稼働に始まり、政府のクラウドサービスの利用促進、災害対応や働き方改革などを担当してきました。
また、業務外の活動の一環として、内発的動機に基づいて行動する人を増やすことを目標にした、マインド・アクティブプロジェクト、というものを推進してきました。
(過去のイベント時の様子です)
経済産業省で働きながら考えていたこと
経産省で5年間働いていて、ずっと考えていたことがあります。
それは、「価値の物差しが複雑化する中で、社会のシステムをどうアップデートしていくべきか」ということです。
経済産業省の任務は、経済産業省設置法という法律に書かれています。そこでは、経済や産業を発展させていくこと、と書かれています。
第三条 経済産業省は、民間の経済活力の向上及び対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保を図ることを任務とする。
もちろん、経済や産業が発展し、成長していくことは大事です。特に日本が抱える社会構造(高齢化に伴う社会保障費の増大などなど)に鑑みれば、これを否定できません。
ただ、もやもやと考えていたのは、社会は成長だけを求めているわけではないということです。例えば、この30年間で1人あたり実質GDPはおよそ2倍になっていますが、「現在の生活に満足をしている」と答える人の割合は、6割から7割で推移しています。(引用:内閣府「国民生活に関する世論調査」より)
当たり前といえば当たり前なのですが、経済的に豊かになったからといって、生活満足度が上がるわけではありません。
では、もっと多くの人が、豊かさや幸せを感じるためには、社会はどうあるべきなのか(そもそも、それは可能なのか、そうするべきなのか)。
この問いの前提として考えるべきは、我々が価値を測る際に用いる基準(物差し)が多様化していることかと思います。
もともと、定量評価できる価値といえば金銭価値でした。この会社の時価評価額は○○円、この経済効果は○○円、などと良く言います。
でも、これまでは定性的にしか評価できなかった価値(信頼とか友情とかそういうもの)がテクノロジーによって(一面的ではあるものの)計測可能になり、複数の価値を選択したり、評価したり、交換することが容易になっていると思います。SNSのいいね数やフォロワー数は、不完全であれ、そうした価値の一部です。
要すれば、世の中にはもともと、価値あるモノや活動に溢れていたはずで、そうした価値に当てる物差しが発明されているのが、今の時代だと思っています。
そうやって、価値評価の新しい物差しが生まれているのならば、社会のシステムも変わっていく必要があるのではないか。国の制度やお金の流れ、広い意味では社会の”空気”をどうアップデートしていくべきなのか、と考えてきました。
なぜVALUへの「レンタル移籍」を決めたか
そんな中、経産省内で「経営現場研修」の募集がありました。
この研修は、昨年から始まったもので、あくまで経産省に籍を置いたまま、職員がベンチャー企業に「レンタル移籍」し、リスクが高い環境下における、スピード感のある現場感覚を学び、のちの政策立案に活かすことを目的としています。
政策は、何らかの社会課題を解決するための手段です。ただ、私自身、これまでの業務で感じていたのは、社会課題の解決は必ずしも官だけの仕事ではなく、多くの民のプレーヤーがいることでした。つまり、官・民の壁は解け始めており、官民連携の一歩その先が必要なのではないかと思っていました。
しかし現状では、官と民では、文化や行動原理にまだまだ差があるし、相互理解も十分ではない。
そうであるならば、自分自身も一度は「民」の世界から社会課題に取り組み、その中から見えてくる課題を解決していきたいと思い、「経営現場研修」に行かせていただくことになりました。
この研修制度では、企業間レンタル移籍のプラットフォームである株式会社ローンディールさんの提携先企業から、派遣先の企業を選ばせていただくことになります。
提携先の企業は、本当にどこもワクワクする仕事にあふれており、とても魅力的でした。ただ、せっかく行かせていただくのなら、「価値の物差しが複雑化する中で、社会のシステムをどうアップデートしていくべきか」という、もともとの問題意識にフィットする企業に行きたいと思いました。
VALUについては、なんとなく昔名前を聞いたことがある、という程度だったのですが、代表の小川さんとCFOの古磯さんと話をさせて頂き、ビビッときました。「評価の基準を変え、お金の流れを変え、フェアな世界をつくる。」というVALUのミッションも、まさにど真ん中でした。
担当している仕事
今、VALUというサービスは、盛り上がっているとは言えません。
VA(簡単に言えば、個人の応援券のようなものです)を発行している方々からは、発行したところで、なかなか購入されない、という話をよく伺います。
逆もまた然りで、VALUに登録して、誰かのVAを購入しようと思っても、応援したい、と思う発行者があまりいない、という声も聞きます。
要すれば、VALUの理想に対して、アクティブな数が圧倒的に足りてないが現状です。
私のミッションの1つは、新規のVALUユーザーを増やすことです。
誰かにとって価値のある活動をしている人が、VALUを使うことで、お金や仲間を集めることができる。
また、価値ある活動を応援したいと思った時に、VAを購入することでその思いを伝えることができる。
こうした、VALUの特徴と相性が良いのではないか、という方々に対して、VALUの魅力と可能性をお伝えし、VALUを通して、自身が目指す夢を実現できる人を、1人でも増やしていきたいと思っています。
最後に
とはいえ、何が正解かは、全くの手探りです。
そもそも、官庁からベンチャーという、全く異なる環境で戸惑うことも多々あります。
ただ、「レンタル移籍」の期間はたったの7ヶ月。来年の3月までです。
この期間にたくさんのことを学び、経産省での政策立案に生かすためにも、貪欲に、何事にも恐れず、チャレンジしていくつもりです。
VALUユーザーの方々にも、VALUの社員の方々にも、学ばせていただくことがたくさんあるかと思いますが、よろしくお願いします!!
(もし、記事を読まれて、何かご意見などございましたら、お気軽にご連絡ください!)
shuhei.taguchi@valu.is