[Valorant Champions Tour 2022] IGZISTのフラクチャー戦術 [IGZIST vs Detonation Gaming White]
この記事は先週放映されたVCT 2022 IGZIST vs Detonation Gaming Whiteの公式放送(公式Twitter: https://twitter.com/valesports_jp)を元に執筆しました。
エージェントピック
IGZISTとDGWともにBreach、Raze、Astraの本マップではよくピックされるエージェントをピックしています。加えてIGZISTはChamberとViperをピックし2コントローラー体勢、一方でDGWはSageとCypherをピックしました。DGWは韓国勢のSuggest選手とhsk選手がデュオで動くような構成となっています。注目は世界3位の入賞実績を持つIGZISTのLakia選手(元NUTURN, VS)とDGWのSuggest選手(元NUTURN)。
参考までに、並行して進んでいるEMEAとNAのMain EventではBreachが100%、RazeとAstraがどちらも50%を超えるピック率となっています。
IGZISTとDGWでピックが分かれた4エージェントについて、NAではViperとChamberのピック率がそれぞれ87.5%・100%と高く、Sageは0%となっている一方、EMEAではこれら3エージェントは25%のピック率でした。一方でEMEAではCypherのピック率が75%と高く、NAでは12.5%とあまりピックされない傾向にあります。こうしたEMEA・NAのピックの傾向の違いは以前から指摘されています(参考:https://esports.gg/news/valorant/valorant-meta-eu-versus-na-post-challengers-2/)。なお、両チームともJettはピックされていませんが、EMEA/NAの両地域では75%/37.5%とそれなりのピック率になっています。
守備サイド
ラウンド開始直後の各キャラクターの配置がこちらになります(同定が難しいAstraは大体右下にBreachと一緒にいます)。上図から以下の傾向が分かります。
ダブルコントローラーのためいわゆる「デフォルト配置」のスロー攻めが多い
Raze(Lakia)、Viper(oitaN)、がBメイン進行
Breach(poem)、Astra(RIPablo)がAメイン進行・エリア確保
Chamber(Pepper)はサブリス(初期リスポーンからロープを渡った先)側からAまたはBに進行
上の図は自分が注目していたRazeのLakia選手でしたが、実際この試合では大活躍でした。
この図からも分かりますが、Lakia選手がスローでBメインまたはサブリス側から地下を通りつつB側に進んでいき、ピックできたらそのまま進行、危なそうだったらAに展開というのがIGZISTの攻め側の標準的な流れだったかと思います。6Rや12RなどはAに最初から人数を振って攻めています。
上の図はIGZIST側の全メンバーが、Atacker側の各時点でどこに位置していたかを示す図です。ここからも、AメインとBメインを確保しつつ幅広くエリアを展開していることが分かります。
そのほかにoitaN選手のViperによるAサイトでのエリアコントロールのためのUltや、フェイクのUltも見ていて面白かったところでしょうか。
守備サイド
ラウンド開始直後の配置です。B側にRazeとViperが配置され、A側は主にAメインをAstra、Breach、Chamberの3人で固め、Aパラボラは基本的にChamberのアラームボットでケアしています。たまにパラボラをBreach、Astraでプッシュしているのもわかるかと思います。
守備側もLakia選手のフィジカルが目立ち、スローで攻めてくるDGWを多彩な配置や、グレネードなどを用いた立ち回りでうまい具合に止めたりピックして、相手に思う通りに攻めをさせなかったのが目立ちました。
上図はDefense側のIGZISTの各時点での位置ですが、B側の二人はわりとフレキシブルに動きつつ、A側はメインを三人で固めているのがわかると思います。
以上、両チームともに個人的に好きな選手が多く、注目の1戦でしたが、Lakia選手が下馬評通りの活躍を見せた1戦だったかと思います。各選手間の連携もよく取れているように思い、BBIからIGZISTとなって新体制になってまだ日も浅いはずですが、コミュニケーションの課題は感じさせない内容でした。応援しているチームなので、Main Eventも楽しみにしています。