20話 高校3年就活中、2軒隣に漫画家が引っ越してきたのでとりあえず押しかけて僕が漫画家になるまで。(17話の続き)
21話はこちら。
https://note.com/valensia/n/nfa2786797edd?magazine_key=mb226382d11c8
お久しぶりです(汗)
今年は本当に大変な年になりましたね。僕も年の頭に始まる予定だったいくつかの仕事が大体案件物だった為、全て延期、中止になり後半まで途方に暮れた感じでした。後半になってようやく、色々仕事を始められたという。
連載をしていない年は大変です……。あ。これ位話していいようなんですが、昨年web誌休刊の為止まってしまった連載、ゲームクリエイター漫画「クランクUP!!」の移動先の移動先が決まりまして。どこかのタイミングでお知らせ出来ればと。
これを読んでくださっている皆さんもまだまだ大変な時期が続くかもですが、僕ももちろんですが、頑張って乗り切りましょう。あ、今鬼滅の刃最終巻読みました、いやぁ、伊之助最高、蜜璃ちゃん最高。
さて、高校3年~ですが、もう高校生ではありませんが、17話で小学館を放逐された後の話になります。何か思い出せばまた高校時代とか描くかもです。
小学館を放逐(何か追い出された)され途方に暮れていた僕は皆プロで週7日勤務という休みゼロの連載を手伝いながらゲームに逃げてまして。それもまずいと友達の夏目義徳君に相談した所、講談社が新雑誌(今のシリウス)を創刊させるため作家を集めているので、話をするから行ってみろ、と言ってくれまして。初の雑誌社移動になるわけです。この頃は皆プロの仕事も忙しくて、対戦格闘ゲームも中々出来ず弱くなっていき自信を失い、自分の仕事は上手く行かず、とちょっと迷走していた時期で。
あ。今回から描く話は全て2000年初頭の話で、当時の担当さんもいるかどうかわからず、もう当時の常識とは違っているはずなので話しても問題ないだろうと思いまして。いや、そんなに凄いネタを話すわけではないですが(笑)
さて、当時の講談社さんは一人の作家に数人の編集さんが付くシステムだったようで、僕にも二人付いたんですが、二人とも出向社員(元の会社は伏せますが、別の編集部や、編集プロダクションから来ている人達)でした。
当時初めて行く編集部へのプレゼン用に持って行った漫画をろくに見ることなく開口一番「ハガレンやりましょう、ハガレン!」。当時はイキなり言われたので唖然としましたが、確かに、成功した作品、過去の名作を参考に勉強するのはまあ、当然でして。
そもそも漫画家志望者は少なからず、あこがれの映画、漫画、小説等の作品に影響を受けたり、あこがれの絵柄を模写したりするものですし。この頃であった講談社の編集さんは、熱量よりロジックというか、分析肌の編集さんが多い気がします。正しいかどうかは別として。で、僕もファンタジーは好きなので…。
小説ゴーメンガースト3部作(タイタス・グローン、ゴーメンガースト、タイタス・アローンからなるゴーメンガースト城という、カルカッソンヌ的な城塞都市国家を舞台にした物語)があるんですが、
これをベースに、崩壊した地球を勝手に移動している城塞都市国家遺跡を目指し冒険する少年と、そこで出会う女性との話を3話まで、半年かけて作ったんですが、何となく会議でボツに。
数年前(2018年)「移動都市モータルエンジン」という、この時考えた内容と驚くほど似ている設定の映画が上映されて、かっこいいなあと思いながら観たんですが…まあそれはさておき。
結局創刊に間に合わず。連載陣が決定した後ではもう、ほとんどその枠に入る事は不可能で、僕は細々とホラー漫画を載せていました。その頃丁度、リィド社が月間コミックファングが創刊され、どういうわけかそこでもホラーを描けと言われ1本載せ、さぁ連載ネームと話していた矢先、まさかの1年で廃刊という。
その間に今度はコミックボンボンの編集さんが「ロボ・ラボという、ヒーローロボットの世界観を描いた1枚絵で競い合う企画」みたいなものに一枚描いてくれという話が来て、ヒーローを無視して、落ちたネームの腹いせに
こんな物を描いたら、結果順位が2位か何かで、ちょっと話が進むかなと思っていたらまさかのコミックボンボンが廃刊。ちなみに、わざわざこの絵を載せたのは、後にこれをきっかけに話が進むからなんですが、それはまた今度という事で。
この期間、美術書(キャラポーズ集的な)ものの表紙を描いたり、スマホアプリゲームのイベント背景をレギュラーで描かせてもらったり、他のカードゲームのキャラデザや、パチンコのデザイン、演出の絵コンテをしながら、皆プロの手伝いを続けるわけです。講談社の明かりが消えて真っ暗になるまで編集とモンハンP2Gとかにドはまりしながら。
そうこうしているうちに、どういうわけかマガジンZから「アニメのコミカライズのプレゼン」の話が来るわけです。
参考にそのアニメの企画書を見るわけですが、画力は当然違いすぎ、そもそも自分に描けるキャラクター象ではない。いわゆる美少女+メカという、観るのは好きですが自分では絶対描けない奴で。当然「これは出しても通らないし、そもそも描けるわけがないので意味がないのでは」と断ったんですが…
担当さんが「上司も絵を見るし、落ちてもこういう作家が居て、こういう絵が描けると伝えるべきだ」「とにかく出してくれ」と、何かこの時だけ押しが強かったんですよね。普段全然押しが無い人だったのに。なんでそんなにプレゼンに出させたいのか。自分をそんなに買っている担当さんでもなかったはずなので。(これについてはまた今度という事で)
確かに一理るにはある。どうせ通らないわけで、出すことにリスクは無い、万が一誰かが絵を見た事で、他の仕事が出来るかもしれないと、自分を納得させ、プレゼンにだすんですね。
この頃の僕は典型的な「背景は長い事描いているからそこそここなせるけど、いざキャラクターになるとアシスタント経験が長すぎて、練習不足」だったのです。
いますよね、バックだけやたらと上手いけど、キャラクターが全然描けないというパターン、僕もまさにそれ。業界潜伏期間が長すぎて、ネーム期間にペン入れを疎かにし、しかもネームが通らないので自分が描きたい物を見失っていくという悪循環(汗)
なんで漫画家を目指していたのか、何を描きたいのか観えていない。当時「何が描きたいのか」と聞かれた時、確かに答えられなかったことがあって、大変ショックだったことがあります。そんな時にしがみつくような形で、プレゼンに出すことになるのです。心の隙間を突かれた(笑)
通るんですよね…どういうわけか……。
それが……アニメ作品スカイガールズだった訳です。
次回は多分、漫画版はどうするか、連載までのドタバタと60ページの1話目を、締め切り一か月半前に編集長の鶴の一声で全ボツを食らいネームをまるまるやり直す話。