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「事故物件  怖い間取り」いや、人間自分が望む以上に怖いのは嫌なんです。というポイントを優しく突いている、ような気がする映画。怖い怖い!!え!?何怖くない!?どっち?どっちで締めればいいのこの感情。


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事故物件  怖い間取り

事故物件住みます芸人・松原タニシ著作の映画化。


僕はこの事故物件芸人さんをこの映画で知ったので、そちらの情報は
他に任せるとして(笑)
中田秀夫監督による1998年の映画、鈴木光司原作の「リング」が
大好きなので、同監督のホラーと言う事で観に行きました。

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売れない芸人山野ヤマメ、中井大佐は
10年以上続くコンビ「ジョナサンズ」を解散。
中井は放送作家、山野は途方に暮れる。
そんな折、山野はテレビプロデューサーの松尾から
「事故物件に住み、怪奇現象を撮れ」と言われ、
殺人事件の起きた物件に住むことに。

初日にオーブを撮影したり、怪奇現象を発現したことで注目を集める。
これを良しとした山野は不動産屋の横水に事故物件を紹介してもらい、
様々な怪奇現象に遭遇、事故物件住みます芸人としてブレイクを果たす。

しかし、ジョナサンズ時代からの唯一の女性ファン、小坂はその状況を
快く思っておらず、心配の声をかける。
小坂は「そういう物」が見える体質だったのだ。

小坂の助言を聞かず、不動産屋を訪れた山野は、とうとうとんでもない
物件に住むことに……

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まず、事故物件を演出した建物自体のデザインが後半に行くほど
昭和レトロで大変良く、
出来ていました。日本の撮影特有のライティングと、視聴者も
体験するであろう日常の既視感も強く、映画なので「霊現象が起きる」のが
「わかっている」がゆえに、鏡やドア、ライティングによって意図的に
作られた部屋の片隅の真っ暗で見えない部分。
少しだけ空いている押し入れ等に興味が行き、
何も起きていなくてもとりあえず怖い。
こんなとこ内見の段階で住みたくねぇ、と思ってしまいます(笑)

心霊現象なんですが、現象が怖いというより「その時どうやって人が死んだか」を、見せていく流れなので、事件そのものが不気味で、
あの部屋の傷は何で付いたのか、とかあの場所に残されているアレは…
というのを解明していく(物件に残されている物自体が霊現象なのか、不動産屋と警察がザルなのかはわかりませんが)
というのも、探偵気分です。

ヒロインでジョナサンズのファン役の女優・奈緒の表情の演技がとても
素晴らしいです、決してギャグに行かず、地味でもない目力。
ダボっとした服装も可愛げがあってよいのではないでしょうか。
亀梨和也演じる山野も「売れてない芸人」的な表情が上手い、
イケメンで何でも出来るのでなんか、羨ましいw

立て続けに事故物件に住み続ける山野は、どういった変化を起こしていくのか、どうなってしまうのかを楽しみながらも、売れない芸人が、売れる為なら何でもする努力。しかしプロデューサーはその時その瞬間の視聴率、人間関係が大事で、1芸人の事などさほど考えていない。入れなければいつでも切れる。そんな芸人の辛さが端々に出ていて、そっちも辛い(笑)


脇を固める江口のり子や高田純次、木下ほうか等もいい味を出しています。
怪しい宮司役の高田純次にはもっと出番を多くしてほしかったです。
この映画に絶対生えるキャラクターなのに、なんでカメオ的にしか
使わなかったんですかねえ……。

さて、特に探偵、刑事ものもそうですが、ホラーも同じく「オチ」や最終場面がどうなるかがとても重要なジャンル……。ですよね?多分(汗)


パンフレットに端々に「ハロウィンが定着してきたので面白怖がる文化」が
定着してきた、とか「怖さと面白さは紙一重」とか
「これまで作られたJホラーと、今の時代にあった新しいホラー」というような事が散見されるんですが……どうなんでしょう、意識してそうしたのか、ちょっと考えと違っていた結果、こうやって書くことにしたのかはわかりませんが……ホラーは怖ければいいと思うので、今の時代にとか関係あるのかと最初は思ったのですが…

場面の絵作りや「怖そうに思える構図」「時刻」や「ライティングの日本的地味さ」は中々にいい感じでした。怖い。怖すぎる。




以下ネタバレは極力避けますが、知りたくない人はご注意くださいー。
              
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観た感想は

「序盤は昔ながらのJホラー、後半はアトラクション的異能力バトル」


序盤~終盤前は最初に話したような、日本人の生活習慣、歴史における
恐怖を演出した展開。
終盤は少し古い海外ホラーの演出、ゾンビとか。今でいえばそれこそ
パンフにあるような、ハロウィンでみんなが楽しむような感じですかね。
最近のゾンビものなどのような(ゾンビは出てきませんが)
変なポーズを決めながら近寄ってくる霊に、それを操る死神的な何か。
光的ななんやかんやの攻撃等々……。悪い意味でいうのではありませんが、突然の過剰演出、バトルアクション化します。


僕は最初から最後まで怖いホラーが好きなので、ラストで「はぁ?」
となってしまいましたが、
お子さんだったら最初から最後まで怖いかもです。
「ホラーは観たいけど、ずっと怖いのはやだ」という人にも
とても見やすい映画じゃないでしょうか。

僕にはありませんが、そういう考え方について理解はできます。自分が望んでいる以上に怖いのはもう不快である、自分の限界手前の恐怖感で何とかしてくれ、というのはわかります(笑)

ホラーみたいな映画はギャグやコメディと同じく、どうしても世代差があるので、今これを作れる監督はすごいんじゃないかというのと同時に、
僕はどうもリング位の時代のホラーが好きなのかもしれません。

事故物件の後半のホラー演出は、僕の子供時代の記憶でいえば、
バタリアンとかハウス……角川映画的な何かというか……
今と昔の融合というよりは「序盤は昔、終盤は最近」みたいなすみわけが
されている感じで、逆に冷めた感は否めないというか。
怖かったのに最後ギャグかぁぁぁ。と。

いや、逆じゃなく純粋に怖い人もいると思います。というのも、僕が子供の頃心底怖かったダン・オバノン監督作品「バタリアン」は年上の師匠漫画家皆川さんに聞くと「え!?あれ怖ったの?ギャグじゃん」と言ってたので。いや当時子供には恐怖映画だったんですよ、オバンバとかだってギャグじゃないのです。

が。

後に知るんですが、バタリアンThe Return of the Living Deadはジョージ・A・ロメロの歴史的作品ナイト・オブ・ザ・リビング・デッドNight of the Living Deadのパロディ映画で、2004年に初のDVD可化された時、スペースヴァンパイアかなにかとセットでしたっけ…あれに「スプラッタコメディー」と煽りがついてたんですよ……話がそれましたが、まあ、そういう事なのです、ホラーとかって……。

なので事故物件は、考え方を変えれば、これがツボに入る人にとっては素晴らしい演出かと思います。

あ…わかりました、あの妙に感じていた既視感の正体。

序盤は伝統的ジャパニーズホラー、終盤は

ディズニーランドのホーンテッドマンション。

あんな感じ。セーフティーバーは私が上げる。

もし気に入って頂けましたらサポート頂けると大変嬉しいです(^^)業界が偏ってしまう内容が多いですが、色々参考になるような記事が書けるようにしていこうと思います。