『デザインの言語化』をカレー屋さんに例えるときっとこんな感じ
『デザインの言語化 クライアントの要望に応える4つのステップ』を読みました。
デザインの過程は、クリエイティブな発想と精緻なコミュニケーションが交錯する場です。
本書では以下の4つのステップにそって、デザイン制作における複雑な交渉をナビゲートし、クライアントのビジョンを実現可能な形に落とし込むためのロードマップを提供してくれています。
コンセプトを言葉にする
デザインの意図を伝える
クライアントの要望をくみ取る
チームでの仕事を円滑に進める
本記事では、1~3までのステップを、料理の創作に例えながら探ります。
デザインのプロセスは、まるで美味しい料理を作るようなもの。
この複雑なレシピを理解し、クライアントの味覚に合う料理を提供するためのレシピ本を紐解いていきます。
ちなみに今日の私の夜ご飯はカレーライスにしました。
ここでは
デザイナー:シェフ
クライアント:オーナー
という感じでカレー(作品)を作ります。
クライアントの役割
クライアント(オーナー)はビジョンの源泉であり、プロジェクトの方向性を定める羅針盤です。
彼らは自らのビジネスに深い洞察と情熱を持っており、プロジェクトに必要な知見とエネルギーを供給します。
シェフが食材を選ぶように、クライアントはプロジェクトの要素を熟考し、適切な選択をします。
しかし、彼らの役割はプロジェクトへのパッシブな関与にとどまらず、アクティブな参加者としての側面も持ち合わせています。
彼らはプロジェクトの各段階で重要な決断を下し、その成果に対する責任も共有します。
クライアントの深い関与が、プロジェクトを単なる概念から実現可能な、記憶に残る作品へと昇華させます。
デザインの言語化
1. コンセプトを言葉にする: クライアントの好みを知る
最初の一歩は、クライアントの好みや欲求を理解し、それを言葉のレシピに変換することから始まります。
このプロセスは、シェフが食材の選択から味付けに至るまで、食べ手の好みを考慮する過程に似ています。
クライアントが以前に述べたフレーズやキーワードは、まるで味のヒントを与えるスパイスのようなものです。
「A&B構文」という方法は、異なる食材や味わいを組み合わせて新たな風味を生み出す料理法に例えることができます。
例えば、「シンプル&洗練」という表現は、シンプルだけれども深い味わいの料理、つまり予想を超える美味しさを創り出します。
例えば、オーナー(クライアント)が
「私のカレー屋さんでは子供でも食べられる、優しい味わいのカレーライスを提供したいんだ」と言ったら、
シェフであるデザイナーは、辛さを抑えた甘口のカレーにするか、または辛さを調節できるスパイスを別添えにするといった提案をします。
これは、デザインの言葉でいうところの「A&B構文」に相当し、クライアントの要望(A)とカレーライスという料理(B)の間に最適なバランスを見つけ出すことを意味します。
2. デザインの意図を伝える: 繊細な味のバランス
デザインの具体的な要素は、料理の中の各種の食材や調味料のようなものです。レイアウトの原則や色彩の選択は、料理の味わいを決定づける重要な要素です。
レイアウトの原則を、クライアントが理解しやすい「味」で説明することは、シェフにとって重要な技術です。
例えば、オーナー(クライアント)が「洗練されたカレーライス」を望んでいる場合、シェフは高品質の材料を選び、スパイスを絶妙にブレンドして、深みのある味わいを作り出します。
同様に、デザイナーはクライアントのメッセージやブランドイメージに合う色彩や形を選び、レイアウトを整えて、ターゲットオーディエンスに響くビジュアルを創り出します。
ステップでは、シェフ(デザイナー)がオーナー(クライアント)に対して、料理(デザイン)の各要素がどのように組み合わさっているかを伝え、理解してもらうことが重要です。
具体的には、使用するスパイスの種類やその効果、煮込む時間が全体の味にどう影響するかを説明し、なぜその選択をしたのかを明確にします。
これにより、クライアントはデザインの意図を理解し、より深い信頼関係が築かれます。
3. クライアントの要望をくみ取る: 完璧な料理を提供するための対話
クライアントとのコミュニケーションは、料理を提供する前の味見のようなものです。
これは、クライアントのフィードバックに対応し、最終的なデザインを完成させる過程に例えられます。
オーナー(クライアント)が最初に試食したときの感想や要望を正確にくみ取り、それに応じてスパイスを加えたり、塩分を調整したりすることで、完璧なカレーライスを作り上げます。
このステップでは、デザイナーがクライアントとの対話を大切にし、細やかな要望に耳を傾けることが重要です。
カレーライスに例えるなら、少し辛さを抑えたい、もう少し野菜を加えてほしいといった要望に応じて調理を微調整します。
デザインの場合も、クライアントのフィードバックに基づいて色のトーンを変えたり、レイアウトを修正したりすることで、クライアントが真に満足する作品を生み出します。
特に、「シンプルなデザイン」といった要望は、多くの異なる「味」や「食感」で表現される可能性があります。
ここで重要なのは、言葉とビジュアルを組み合わせて、クライアントの本当の好みやニーズを探り出すことです。
まるで料理人が食材の組み合わせや調理法を調整するように、デザイナーはクライアントの要望をデザインの中に溶け込ませます。
最終的に、このようにして作り上げられたカレーライス(デザイン)は、オーナー(クライアント)の期待を超えるものとなり、長く記憶に残る一皿(作品)になるでしょう。
さいごに
わたしたちシェフ(デザイナー)とオーナー(クライアント)が作ったカレーライス(作品)はたくさんの希望を詰め込んでお客様(ユーザー)に届けられます。
これら3つのステップを通じて、デザインを言葉で紡ぐ技術が明らかになります。
デザインの言語化は、単にアイデアを形にするだけでなく、クライアントやチーム間でのコミュニケーションを円滑にし、共感と理解を深めるためにも不可欠です。
このプロセスを通じて、デザイナーはクライアントの想いを具体化し、双方にとって価値ある成果を生み出すことができます。
デザインを言葉で紡ぐことは、まさに心に残る料理を作り出すことに他なりません。
ごちそうさまでした😋