赤い針か、青い針か

腕時計を選ぶ時、重要なファクターは何か。
予算内か否か？耐衝撃性？防水性？ブランド？
デザインは欠かせない点だろう。その中で特に僕が拘りたいのは針の色だ。

腕時計全体を服装に例えるなら、針はさしずめネクタイになるだろうか。僕は外回りや来客でもない限り、意地でもネクタイをしない(したくない)人間だが、アクセントを加えたい時にはうってつけのアイテムだ。
同様に腕時計の第一印象は針の色によって左右されると言っても過言ではない。

特に赤色の針を選ぶか、青色の針を選ぶか、この二択で腕時計のキャラクターは180度変わるのではないだろうか。
それこそネオが迫られた二択に劣らない重大事だ

F1にあやかって名付けられたモナコ
クロノ針だけでなくダイヤルの赤い配色も見事

僕はどちらかと言えば赤色の針が好きらしい。今持っている11本のうち4本が赤い秒針を持っている。
僕の根底にあるモータースポーツへの憧れが無意識のうちに時計のチョイスに現れているのだろう。赤い針はスポーティな印象で、特にモータースポーツをリスペクトした腕時計によく採用されてきた。

元々は視認性の良さゆえに好まれた配色だろう。だが文字盤の上を駆け抜ける赤い針はオーバルトラックを縫うように走るストックカーが頭に浮かぶ。
意味もなくクロノグラフのスタートボタンを押し、適当に針を流してリセット。コースを疾走するレーシングカーを妄想すると、これだけでたまらなく楽しいのだ。

密かに狙っているオメガ・クロノストップ
積算計もないシンプルな文字盤に大胆に配された赤いクロノ針が最高だ

対して青い針も捨てがたい。アンティークウォッチにも多く見られるブルースチール(ベン・スティラーのキメ顔ではない)の針は個人的にこの世で最も美しい金属だ。

写真への造詣があまりにも不足しているために、この美しさを伝えらえない

ステンレスを焼き入れすることで酸化皮膜ができ、なんとも言えない青い輝きを放つブルースチール。角度によって表情を変える様は、ずっと眺めていられる美しさだ。
SS製のドレスウォッチもしくはビジネスウォッチを探したら、白い文字盤にブルースチールの時計を迷わず選んでしまうだろう。
その色の対比はこの上なく上品な組み合わせだ。

憧れのタンクアメリカン。完璧な一本だ。

あなたのキャラクター、好みは知らぬうちに針の色に現れているかもしれない。