「世界一周がすごいって、一体誰が決めたんですが」5年前を僕は思い出す
前置き:旅を広める会社の旅人が集まるイベントに久しぶりに参加した
僕は昨日、株式会社TABIPPOが主催しているBackpack FESTA 2023というイベントに参加してきた。
どんなイベントかといえば、
旅を広める会社の、旅が好きな人たちがイベントをつくり、旅が好きな人達やこれから旅をしてみたいと好奇心を膨らませる人らが集まるイベントだと思っている。詳しく知りたい方は、補足に概要を書いたので飛んでみてほしい。
ちなみに、僕はこのイベントに2回ほど足を運んだことがある。
最初に足を運んだのが、大学生1年生(19歳)の時だ。
僕はこのイベントに参加して衝撃を受けた。それは世界一周コンテストDREAMという企画だ。この企画では、世界一周航空券を賭けて、自分の夢を叶えたい・世界一周に行きたいなどの想いを持つ若い学生らが約2000人以上の方々の前でプレゼンをするというものだ。
その舞台に立つ為には、いくつかの過程がある。
まずは面接審査。これは確かTABIPPOの学生スタッフによる面接審査がある。次に社員・学生スタッフの面接審査と約1週間に及ぶWEB投票。そして小さいホールの舞台に実際に立ち、700人程度の前でプレゼンをする。そこで勝ち残った者が最終審査の舞台に立てるというわけだ。ここまでで約5ヶ月間の時間を要する。
そして約5ヶ月間に及ぶ集大成として、最終選考まで残ったプレゼンターが各々が7分間の中で自分自身の想いをプレゼンテーションをする。その中の1人だけが世界一周ができる航空券を貰えるわけだ。
その選考方法は、会場の方々による投票だ。実際に彼ら・彼女らのプレゼンテーションを私たち観客は聴くわけである。彼らの息遣いや表情、声色、空気感なども含めて。2000人もの人がひとりの人間の主張を静かに聴く。異様な緊張感が漂う会場。そんな中で「誰に世界一周に行ってもらいたいか」「誰を応援したいか」というような軸で一人を選ぶ。そうして、会場にいる人の心を最も動かした人、つまり会場の方々から一番票数を貰えた人が、世界一周の航空券を切符を掴むという訳だ。
僕は当時、心が震えたのだ。
彼ら・彼女らがこれだけの大勢の前で物怖じをせずに、自分が信じる・信じたい気持ちを大声で叫んでいる姿が。そして、僕の一番心打ったのが高校生のプレゼンだった。僕よりも歳の若い女性の素直で、等身大の姿に僕は涙を浮かべていたのをまさに昨日のことののように思い出した。
「世界一周がすごいって、一体、誰が決めたんですか」
世界一周という言葉から連想するのは「進化」
彼女の世界一周のテーマは、「平凡すぎる世界一周」だ。
世界一周と聞くと、なんだか壮大なことのように思う人も多いのではないだろうか。綺麗な女性が砂浜でGopro片手に水着姿であったり、派手な男性が壮大な絶景の前でカメラから目線を外してクールな感じで写っている。だいぶ偏見でごめんなさい。そんな、なんだかそうしたキラキラした言葉の響きとそれを裏打ちするようなSNSのイメージに嫌悪感を抱く人だっているかもしれない。
一方で、彼女の世界一周はどうやら「平凡」らしい。一体彼女のいう平凡な世界一周とはなんのか。こんな疑問が出てくる。
また、一般的に想像する世界一周と彼女の連想する世界一周は違うらしい。彼女が世界一周という言葉を思い浮かべて真っ先に思い浮かぶのが、「進化」だそうだ。急にダーウィンが出てきた、と驚くかもしれないがそんな難しい話ではない。しかし、一体全体彼女のいう「進化」とは一体なんのか?
このプレゼンは、なぜ彼女が世界一周のテーマを「平凡な世界一周」というテーマにして、その過程でどんな「進化」をのかを記した短い物語だ。
私はいつか世界一周をして、たくさんの人と出会い、おしゃべりをしながら、たくさんのジャングルを知るんだ
彼女はアルペンスキーというスポーツをやっていたそうだ。小学生からこのアルペンスキーに夢中で、友達とも遊ばずにまいしゅうま毎週末に長野県に行って練習していたそうだ。そこで、なんと13歳の歳で、大学に通い、アメリカからの留学生と出会ったそうだ。そこで自分がこれまでに見てきた世界がいかに狭かったのかを痛感した。「自分の世界って、くっそ狭いな」と。
そこで彼女は言う。
そこで彼女は決心した。
彼女は世界一周という手段で、彼女自身の「世界」を拡げることに決めた。
私の世界一周の理由は平凡。いつしか世界一周は誰かの他人事になった
ただそこで問題が発生する。
それは、他の世界一周をしている人が、「キラキラ」しているということだ。世界一周をしようと思い、周りを見渡すとキラキラしたテーマやユニークな世界一周をしている人がたくさんいるではないか、と。
例えば、宮川大輔のように、いやそれを超えるお祭り男になるという人もいれば、風呂敷で世界一周をするという人、はたまた一輪車で世界一周という強者までいる。す、すごいなあと額に汗を浮かべる訳である。
ここで彼女は「世界」を広げるための、世界一周ではなんだか平凡すぎると思ってしまつまた。そこで彼女はどうしたのかといえば、「盛る」だ。実に高校生らしいと思ったし、久しぶりに聞いた表現方法だ。ちなみにプレゼンテーション時の写真にはプリクラを載せていた。二時審査までは、彼女の世界一周の理由は、他人がワクワクするような世界一周の理由に寄せ、本来の理由よりも少し盛ったわけだ。
そうして彼女は自分の心から震えた「世界を拡げたい」という理由の世界一周だったはずが、いつしか自分の世界一周が。平凡すぎて劣等感を感じる世界一周に映ってしまった。だから彼女は盛ったのだ。そこで、彼女は自分自身の気持ちに嘘をついているという「罪」の意識に苦しむことになる。なぜなら、自分に嘘をつくということは、誰かに嘘をつくことでもあるから。
彼女はそんな自分を否定し、苦しむことになる。そうなると、あんなにも自分の中で心が躍っていた世界一周が、色褪せていき、世界一周なんてもう他人事にしか聞こえなくなってしまっていたそうだ。
私の平凡で、等身大の世界一周のハードルを下げることができるのではないか
ただそうした苦しみを抱えながらも、あることに気付いたという。
彼女は、思った。
私と同じように世界一周へ行き、まだ見ぬ世界の足音や息遣い、そして見た目も話す言葉も身につけている服も何もかもが違う土地へ足を運びたいと願う人はいる。一方で、世界一周はあたかも「キラキラ」した理由を持つ人間だけがいくことの許される特権なのではないのかと思ってしまい、自分ではない「誰か」がワクワクするような理由を作ることができない人がいるのではないのか。半ば諦めてしまう人がいるのではないのか、と。そして、それは彼女自身であり、観客席に座る「僕」であったし、隣に座る「誰か」だのではないのかと僕は思った。
そこで彼女は、自分自身が世界一周を通じて、自分の「世界」が拡がることに再びワクワクし、他の誰かの世界一周のハードルを下げることもできるのでは、と思い立ったそうだ。
彼女はこれまでの過程の中で、自分に正直に生きるということをこの大会を通じて学んだ。でもそれだけじゃない。彼女は夢を見つけた。
それは、この大会を陰で支えるTABIPPOのスタッフから「みさると話すとワクワクする」「なんだか自分も頑張ろうと思ったよ」との声かけがあった。彼女の世界一周という目標に向かう姿勢や態度が、その周りの人にまで好循環し、影響を与えた。その結果、彼女自身に回り回って、ポジティブなフィードバックが返ってきた。そして、彼女は「夢」ができた。僕はここで、彼女の「進化」の真意がわかった気がした。
「自分の言葉で、誰かの心を震わせるような人間になりたい」と。
そして彼女はそういった類の人間をこう定義する。
彼女は続けて叫んだ。
これが彼女の「平凡な世界一周」というテーマと、彼女の「進化」の真意だったわけだ。
僕は彼女のプレゼンを聴いて、抑えきれない胸の高鳴りと僕自身の「進化」に可能性や希望を抱いていたのだ。そう、彼女のいうように、僕の中で確かに「世界一周」が自分の身近になものに感じられ、「自分事」として捉えることが出来たのだ。
それは、まさに彼女のように「世界一周」にキラキラした理由がないと行ってはいけないのではないのかと僕自身が思い込んでいたからだ。
彼女のおかげで「僕」と「世界一周」の間にある「壁」を壊してもらったのだ。彼女にそっと、背中を押してもらえた。
そうして僕はあの当時誓ったのだ。
『俺だって、世界一周にいけるんだ。僕も世界一周を通じて、もっと自分の「世界」を拡げたいんだ。もっと僕の知らないことを知りたいんだ。だから、僕は未だ知らない土地へ行き、その土地に生きる人の息遣いを感じたいんだ』
そして、僕はこうも誓った。
「僕も、あの舞台に立ちたい」
ここからは、
約4年前に僕が世界一周コンテストに出場し、世界一周の航空券の切符を勝ち取るまでの物語です。(明日の記事に続く)
補足
Q1 株式会社TABIPPOさんとは?
Q2 Backpack FESTA 2023とは?
私が紹介するプレゼンターのYoutubeは?
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