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#111 北部の町タンジェ!アフリカ旅終幕!!🇲🇦

9/7-11 タンジェ滞在/モロッコ地震/3か月振り散髪/フェリーチケット購入

タンジェの街に着いた時は19時近かったが、夏で陽がのびているのでまだまだ明るい。パウロ=コエーリョ著『アルケミスト』で、タンジェは確か、主人公の少年がピラミッドを探しにアフリカに渡った最初の町だったと記憶している。羊飼いの彼が羊を売って得た全財産を失ったのもこの町だった。この自分はまさかそのような不運は辿らないとは思うが、気をつけようと思った。

10番のバスに乗った
4ディルハム
夕方はみんなチルってる

バス停から旧市街までは少し距離があるので、バスを使う。大通りの最寄りのバス停でやってきた10番バスを指差し、「メディナ?(旧市街?)」と聞くと「Si.(そうよ。)」と答えてくれた。運賃は4ディルハム(58円)。しばらく乗ってたが、旧市街から離れていくので運転手に聞くと、「ここで降りるといいよ」という。そこから1km歩くと、旧市街入り口の広場と門が見えてきた。最初市場に迷い込んだが、大通りに出て進んでいく。フェズやマラケシュの旧市街と似てはいるが、スペイン語が多く聞こえてくる。そう、このジブラルタル海峡を越えると、スペインなのだ。懐かしのヨーロッパが目の前にある。今回も当然ドミトリーに泊まったが、部屋には自分だけしかいなかったので貸し切りだった。

旧市街入り口の公園
旧市街大通り
今夜のホステル

タンジェ2日目の午後、映画館を見つけた。日本映画特集をやっているようで「すずめの戸締り」「スラムダンク」「犬王」の3本が上映されていた。係員に聞くと、日本語音声にフランス語字幕らしい。値段も35ディルハム(507円)とのことなので、「すずめの戸締り」を観ることにした。前の時間に上映されていたスラムダンクは若いお客さんが3人入っていたが、すずめの回は自分一人だけでまた貸し切りだった。映写機の角度がずれていて、下が少し見切れてしまっていた。係員に伝えたがどうにもならないらしく、そのまま最後まで観ることになった。細かいことは気にしない。それがモロッコクオリティである。
映画に出てくるすずめの椅子の脚が3本なのは、主人公すずめが東日本大震災で母を失った悲しみを表していて、「大切なものを失っても人は前を向いて生きていける。生きていかなければ」という新海誠先生の強いメッセージがあると誰かが言っていた。

下町映画館
安いぞ!^_^
古い映写機📽️
スラムダンクは何人かいた笑
下1/5が切れてる笑

翌日、起きるとスマホにメッセージが多く入っていた。そのうちの一つを開くと「地震大丈夫?」と書いてあった。何のことかわからなかったが、ニュースを開くと、
「昨夜モロッコの中部マラケシュ付近で大規模な地震が発生した。マグニチュード6.8」
という情報が入ってきた。タンジェは全く揺れていない。それより、フェズで出会った日本人大学生がこれからマラケシュへ行くと聞いていたので心配になったが、インスタで無事を確認できてホッとした。

3千人を超える人が亡くなったと聞いた。これからさらに増えるだろう。数日違っていたら自分が被災していたかもしれないということ。今この瞬間を生きれているのは偶然かもしれないこと。昨日の映画「すずめの戸締り」を観た後だっただけに、人は死と隣り合わせであるということを思わずにはいられない。

なぜか5時くらいに起きた。

ヨーロッパに入ると物価が上がるので、タンジェに滞在するこの五日間で諸々準備を進める必要がある。
髪が伸びてきて鬱陶しいので、散髪に行こうと思った。モロッコには床屋が多い。旧市街外を歩いていると、何軒も見かけるが、ファシリティが充実していて良好そうな一店を選んだ。値段も40ディルハム(580円)という。英語は伝わらないが、「どんなふうにして欲しいのか写真を見せてくれ」というジェスチャーがあり、見せるとバリカンでサイドを削り始めた。
後から来た店員さんが日本の漫画アニメ、特にナルトが好きらしく、「モロッコ人を代表して日本人にお礼を言わせてくれ。ありがとう」と言われた。

これが
こう

散髪が終わって、タンジェの北側を散歩してみた。高台になっていて、海の向こう側にイベリア半島が見える。右側に見えるのがタリファだ。スペインを遠くに見つめながらアフリカ旅がもうすぐ終わることを悟った。

イベリア半島が見える
タンジェ旧港

当初の計画ではアフリカ大陸を陸路で南下してナミビアの方まで行こうとしていたが、調べていくうちに時間が足りず、準備も不足していることを思わされた。単純に言えばアフリカを甘く観ていたと言える。今のキャパシティでは十分ではないので、残念だが今回は断念した。この世界一周が終わった後、アフリカだけに焦点を当てた旅を数ヶ月間でしようと思う。
一方でこの2ヶ月間のうちにエジプト、チュニジア、モロッコと、北アフリカの主要国を旅できたことはこれから生きる上で間違いなく自分の財産になったし、たくさんの出会いや経験にも恵まれた。そして旅人としても成長させてくれた。自分の選択に悔いはない。

タンジェに着いてからずっと、いつ海峡を渡るかを思案していた。9/13にはアルヘシラスからマドリード行きの夜行バスが出るのだが、ホテル代を考慮すると、ぎりぎりまでモロッコにいた方が安く済む。しかし英国領ジブラルタルにも遊びに行きたい。
色々と考えを巡らしていたが、結局9/12にアルヘシラスの宿を取ることに決めた。おそらくこの決断が最善だ。ブッキングドットコムで予約すると、早速明日のフェリーチケットを買いに、港へ赴いた。FRSというフェリー会社でタンジェ旧港からタリファまでの12時発のチケットを440ディルハム(6385円)で買った。

タリファまで税込440ディルハム

これで残るはモロッコの伝統料理「タジン鍋」に後悔を残さないことだけだ。タンジェ最後の夜、旧市街入り口のレストランでおじいちゃんの店員に促されて席につき、チキンタジン鍋を注文した。鶏肉といっしょにズッキーニや人参、オリーブが煮込まれていて美味い。これでもうモロッコに未練はなくなった。

最後のタジン鍋!美味すぎ^_^

現金があと150ディルハム(2176円)残っていたが、無理に使うことはせず、120ディルハムは両替所でユーロに両替を頼み11€になった。ありがたいことに手数料はほとんど取られなかった。そして明日のフェリー内で食べる用に、出店で15ディルハムの高級ポテチを買ってホステルに戻った。

これも美味しかった

新たな旅が始まろうとしている。そして日本を立ってから、5ヶ月が過ぎようとしていた。

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