#106 「のりこハウス」in トドラ峡谷🇲🇦
8/28 ワルザザートからティンジルへバス移動🚌/ティンジルからギアの効かない乗合バスでトドラ峡谷へ/日本人宿の典子ハウス
9:30発のバスを昨日の時点で取ったので、8時にホステルをチェックアウトした。昨晩子どもたちのサッカーをして、そのままであれば酷い筋肉痛になってしまうと思った。しっかりとアフターケアをしていたおかげで足は軽い。グランタクシーが長距離バスターミナルまで7ディルハム(100円)で出ている。タイミングが良いことに、自分が最後の一人だったのでグランタクシーはすぐに出発した。バックパックは車の天井に乗せられている。
思いの外早く着くことができたので、バス停前のレストランで朝食を取ることにした。卵が鉄板で出されているメニューが美味しそうだったので、指差しで注文した。腹ごしらえは完了だ。今日は大型バスでティンジルのバスステーションまで行き、そのあとグランタクシーかバスに乗ってトドラ峡谷のホステルを目指す。4時間ほどバスに乗ることになるが、ワルザザートに来た時のアトラス山脈越えとは異なり、ただ砂漠地帯を進んでいくだけなのでそれほど大変ではない。途中バスがオーバーヒート気味になり小休止していたが、水をぶっ掛けて直していた。
ティンジルに着いたのは13時半前だった。ここからトドラ峡谷まで移動する必要があるが、腹が減ったのでここで昼食を取ることにした。レストランを覗き込んでいたところ、閑古鳥が鳴いている店の主人から声がかかった。「ウチは安いから食べていきな!」メニュー表を貰おうとしたが、「そんなものは無いよ!スープだけ」という。浅草キッドの歌詞かよ(笑)
〜お前と会った仲見世の 煮込みしか無い鯨屋で♪〜
一つもらうことにした。すぐに出てきたのは豆とセンマイのスープだった。ローカル飯丸出しのスープで気に入った。味もそれなりに美味い。すぐに完食し、値段も15ディルハム(215円)と安かった。
バックパックを担ぎ、人に尋ねながらバスを探す。広場から少し奥まった所にタクシー兼バス乗り場はあった。かなりの人が列を作って待っていて、しばらく様子を伺っていると、それまでせっかく列を作っていたくせに、いざタクシーがやって来ると、我先にと群がる光景が可笑しく笑ってしまった。これもモロッコ人の国民性だろうか。
それからしばらくすると、一人の男性が「あのバスはトドラに行くよ」と、遠くに停まっているバスを指さしてくれたので、お礼を言ってからバスまで歩いて行った。バックパックは車の屋根の上に載せられた。バスの中はすでに満員だが、さらに多くの乗客が乗り込んできた。自分も通路に立っていた。このバスが怖かったのは、ローギアにうまく入らないらしく、大の大人が度々車の下に潜り込んで、砂だらけになりながら頑張って調節しているところだった。途中で完全に故障しないかだけが気がかりだった。
30分弱でトドラ峡谷のホステルに到着し、車の屋根からバックパックを降ろしてくれた。運賃は7ディルハムだったらしいが、このポンコツバスを大事なく運転してくれたので10ディルハム渡しておいた(143円)。
チェックインすると、早速オーナーがウェルカムドリンクとナッツを出してくれた。ベルベルウィスキー(砂糖の入ったミントティー)である。モロッコでは客が来た際、ベルベルウィスキーでおもてなしするのが通常らしい。
部屋はドミトリーだが、泊まっているのは自分だけだった。荷物を置いたあとは、近隣を散策してみることにした。座っていたお爺さんに、おすすめのレストランを聞いて行ってみたが、値段が少し高かったので入らなかった。
ところでこのトドラ峡谷には、バックパッカー界隈で有名な日本人がいる。彼女の名前は典子さんで、「のりこハウス」という通称で親しまれている。「のりこさんは10月まで日本に帰っています」という口コミもあったので、期待は抱かずダメ元で宿に訪れてみたが、「彼女は今いるよ!」と、モロッコ人のオーナー?の人が教えてくれて会うことができた。数週間前に日本からトドラに戻っていたのだという。階段を上がって中に入ると、のりこさんはいた。勝手ながら、目的の一つを達成できた喜びがあった。
というのも、エジプトのカイロで出会ったAさんという方が、「モロッコのトドラ峡谷に行ったらぜひ典子さんを訪ねてみてね」と言われていたからだった。そうでもなければ、トドラを訪れるという選択肢さえ無かったかもしれない。彼との約束が果たされた瞬間だった。
彼女によると、コロナ禍以前は多くの日本人のバックパッカーがいて、太巻きやカレーライスを毎日作っていた。あの頃は毎回配膳の列が出来ていて嬉しかったと懐かしんでいた。
今回のコロナ禍を通して、彼女自身も思うところがあり、新たなチャレンジに向けてこれから色々と忙しくなりそうだという。とにかく、典子さんに会えてよかった。
トドラには湧水が湧いているらしく、トドラの村民は大きなペットボトルを持って汲みに行き、生活飲料水として愛飲しているということなので、オーナーと車に乗って湧水汲みを手伝いに行った。たくさんの現地住民が並んでいたので、先の広場で時間を潰した。峡谷が月に照らされて存在感を出していた。湧水は確かに美味しく、自分もペットボトルに詰めて飲んだ。
ちなみに自分は三日連続で典子ハウスに足を運んでお世話になった。典子さんはモロッコのお母さんといったような感じで、自分はついつい、どの日も長居をしてしまった。2日目には夕食に親子丼を作ってもらった。久しぶりに日本食に舌鼓を打つ。日本食の極意は出汁であることを確信した。ここの宿の5歳と3歳の息子さんも日本食が好きなようで、典子さんは彼らの分の親子丼を持って行った。小さい頃から日本食の味がわかるとは大したものだ。
食後、自分が世界一周で使っている為替アプリや語学アプリ「Duolingo 」のアプリを典子さんに教えてあげると、直ぐにHPを使い切ってしまうほどハマったらしい(笑)
典子さんのおかげで有意義な3日間を過ごすことができた。